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異なる立場で学び合う対話が真のDXを促進する

DXは手段とよく言われます。だとすると目的は何でしょうか?

#日経COMEMO #NIKKEI

こちらの日経の記事は、見出しこそ「DX人材が武者修行」となっていますが、工場側の社員もDX人材から学び、考え方が変わっていく様子が書かれています。

記事からの抜粋です。

日立製作所は、新人のデータサイエンティストをものづくりの現場に送り込み、3カ月間の武者修行をさせている。工場のベテランとの議論を通じ、「机上の空論」ではない課題解決の手法を考案する。高度人材の獲得競争が激化するなかで成長を実感できる場をつくり、現場の社員たちにもデジタルトランスフォーメーション(DX)への意識改革を期待する。

太字は私によるものですが、データサイエンティストとの対話を通じて、「DX、使えるじゃないか」と工場のベテランも意識が変わるというわけです。

記事の最後の方に、以下のように書かれています。

いままで頭の中にあったアイデアが、専門知識と技術があれば実現できるんだと意識が変わった」(木村部長)。人事担当のもとには実習生を受け入れた現場から「次はいつ派遣してくれるんだ」との問い合わせが相次いでいる。今後は鉄道やエネルギーなどインフラ事業や、海外拠点での実習も検討する。

この記事で取り上げている修理件数の予測は、ベテランのK・K・D(勘・経験・度胸)で行われてきたとされています。そこをデータを使って、AIに分析させて…となりがちですが、これでは本質的な解決になりません。

ベテランのK・K・Dは、大事なノウハウであり、アイディアです。
「いままで頭の中にあったアイデアが、専門知識と技術があれば実現できるんだと意識が変わった」とありますが、知識と技術とそれに加えて新人データサイエンティストとの「対話」が重要なのだと私は思います。

イノベーションの本質は、異なるものの結合です。いくらデータサイエンティストが優秀でも、現場のノウハウが蓄積されていなかったら、今までにないものは生まれなかったでしょう。そして、彼らが対話をしなかったら、それはベテランの頭の中に埋もれたままだったはずです。

まだまだ「DXが進まない」という声が止まりません。これは今に始まったことではありません。昔からある「ITシステム化が進まない」問題の延長にあります。単に情報システム部を作っても、現場も情シスもまともに対話しなかったら互いに何も学びません。つまり、変化を受け入れようとしていないわけです。私たちは、現状維持が一番効率的だと思ってしまうのです。

DXの目的は単にデータを活用するのではなく、業務自体を変えていくことです。業務を変えるには、業務フローを変えれば済むわけではありません。業務フローによって、あるいは、それを考えることによって、一人ひとりの考え方ややり方が変わる必要があります。

結局、仕事をしているのは人間。デジタルを活用して生産性が上がるように見えるのは、その経験を通じて学び、やり方、考え方が変わった結果です。

それを踏まえて、実際に使いながら対話し、異なる知見を持つ者同士が学び合う仕掛けをいかにつくるか。そこに真のDX化のカギがあるのだと思います。

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