異なる立場で学び合う対話が真のDXを促進する
DXは手段とよく言われます。だとすると目的は何でしょうか?
こちらの日経の記事は、見出しこそ「DX人材が武者修行」となっていますが、工場側の社員もDX人材から学び、考え方が変わっていく様子が書かれています。
記事からの抜粋です。
太字は私によるものですが、データサイエンティストとの対話を通じて、「DX、使えるじゃないか」と工場のベテランも意識が変わるというわけです。
記事の最後の方に、以下のように書かれています。
この記事で取り上げている修理件数の予測は、ベテランのK・K・D(勘・経験・度胸)で行われてきたとされています。そこをデータを使って、AIに分析させて…となりがちですが、これでは本質的な解決になりません。
ベテランのK・K・Dは、大事なノウハウであり、アイディアです。
「いままで頭の中にあったアイデアが、専門知識と技術があれば実現できるんだと意識が変わった」とありますが、知識と技術とそれに加えて新人データサイエンティストとの「対話」が重要なのだと私は思います。
イノベーションの本質は、異なるものの結合です。いくらデータサイエンティストが優秀でも、現場のノウハウが蓄積されていなかったら、今までにないものは生まれなかったでしょう。そして、彼らが対話をしなかったら、それはベテランの頭の中に埋もれたままだったはずです。
まだまだ「DXが進まない」という声が止まりません。これは今に始まったことではありません。昔からある「ITシステム化が進まない」問題の延長にあります。単に情報システム部を作っても、現場も情シスもまともに対話しなかったら互いに何も学びません。つまり、変化を受け入れようとしていないわけです。私たちは、現状維持が一番効率的だと思ってしまうのです。
DXの目的は単にデータを活用するのではなく、業務自体を変えていくことです。業務を変えるには、業務フローを変えれば済むわけではありません。業務フローによって、あるいは、それを考えることによって、一人ひとりの考え方ややり方が変わる必要があります。
結局、仕事をしているのは人間。デジタルを活用して生産性が上がるように見えるのは、その経験を通じて学び、やり方、考え方が変わった結果です。
それを踏まえて、実際に使いながら対話し、異なる知見を持つ者同士が学び合う仕掛けをいかにつくるか。そこに真のDX化のカギがあるのだと思います。
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