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コピーライティングの基本事項10個
~ コピー、ライティング、文章、表記のポイント(おもにウェブ用) ~
マネタイズとしてのコピーライティング
タイトル、見出し、リンク文言、ハッシュタグとネットに書かれる、というか打たれる膨大なテキスト。アフィリエイト、通販サイト、YouTubeなどでマネタイズを求めるコンテンツ発信者にとって習得したいのが、キャッチコピーをはじめとするコピーライティングのテクニックなのかもしれません。
小欄にたどり着いた方も、コピーや文章を書くことに少なからず関心がある、あるいは必要とされていることでしょうから、少しでも有益となるよう筆を執る、というかテキストを打刻していく所存です。
そもそもコピーライティングとは
ここで意外なんですが、実は「コピーライティング」という言葉は、一般的な字引には載っていないことも多いので、まずは「コピー」という言葉、さらにはライティング、つまりは「書く」という言葉も含め、それぞれの字義をおさえておきますかね、あらかじめ、あらためて、念のため、一応というか。
コピー【copy】[名](スル)
4)広告の文章。広告の文案。「キャッチコピー」「コピーライター」
デジタル大辞泉(小学館)
かく【書く】[動カ五(四)]≪掻くと同語源≫
1)文字や符号をしるす。「持ち物に名前を─・く」
2)文章を作る。著す。また、著作する。「日記を─・く」「本を─・く」
デジタル大辞泉(小学館)
これらを踏まえ、まあつまりコピーライティングとはコピーを書くことなので、コピーライティングをコピーライティングするというか、コピーライティングを当方なりにコピーライティングするというか説明してみると(てか、この数行内にコピーライティングという文言が6回も頻発して恐縮ですが)、
コピーライティング【Copywriting】[名](~する)
コピーライティングとは、広告の文章、文案、キャッチコピー(惹句)を書くこと。おもに企業、団体、事業、店舗、人物、商品、サービス、イベント、ものごとにおける宣伝、販促、誘因、喚起、認知などを目的とした、コピーや文章一連(タイトル、リード、本文など)のテキスト一式、一文、一句、一言を書き起こすこと。一連の言語化。あるいはそれらにともなう情報や内容の整理、構成、組み立てまでをも含む。類:ワーディング
と定義できそうですね、だなんてなんだか上から目線でアレですが、コレ、当方ごときが起こした定義ではありますが、手前味噌ながら、字引的にもなかなかウマイこと説明できているよーな気がします。
コピーライティングの基本、その前に
ここでネタバレではないですが、別にネタバレでもいいのですが、「コピーライティングの基本」だなんて謳っていますけど、心構えだ、ターゲット心情だ、ペルソナだといったよくある心理面に言及するワケではありません(大切な要素ですが、その辺は世の書籍、ネット記事、識者ブログに譲ります)。
心理面以前に、あくまで基本という意味で重要視したいのは、より基礎的で具体的なポイントであって、これから言及するのは、これまでの商業コピーライティングで実際に体得した要素であり、当方にとっては「コピーライティングで気をつけている基本のすべて」といっても過言ではない要素です。
早速にもったいぶらず。当方が心がけるコピーライティングの基本は10事項。どーぞご参考ください。
※以降は過去に関わった案件・事例などを参考とする当方解釈であり、断定するものではありません。
※あくまで一例、考え方のひとつであり、世のさまざまな手法・解釈を否定するものではありません。
※案件、文脈、フォント、デザイン、仕様などさまざまな条件によってはそのかぎりではありません。
コピーライティングの基本事項10個
01)ひらく/とじる
●「ひらがな」(ひらく/開く)表記、「漢字」(とじる/閉じる)表記を意識
●とくに「ひらがな」で表記する文言を意識し、揺れやすい表記をあらかじめ確定
●以下の漢字表記は、ひらがな表記の方が読みやすい代表例(6パターン)
1)通例:有難う御座います/有る・或る/殆ど/又/色々/下さい/様々/揃う/~達 など
2)副詞:予め/更に/既に/全て/是非/沢山/共・供・伴/尚/全く/迄/宜しく など
3)形式名詞:事/為/度(たび)/時(とき)/所(ところ)/~等/(~な・の)物 など
4)補助動詞・補助形容詞:~行く(単体は漢字)/致します/~して頂く/~して居る など
5)複合動詞:~し続ける/~し直す/~回・周・廻す(る) など
6)その他:~と言う(連体詞の場合)/何時/及び/~の通り/~な・の中 など
※参考:ひらがなで書く方がスマートな漢字50選(2020年9月11日@小欄)
※参考:『記者ハンドブック 第13版 新聞用字用語集』(共同通信社)
02)送る/送らない
●送り仮名について「送る」表記、「送らない」表記を意識
●揺れやすい送り仮名の表記をあらかじめ確定(企業系=受け付ける/EC系=申込先 など)
●「動詞ならすべて送る」「名詞ならすべて送らない」というルールで区別
●以下は商業系サイトで出現する揺れやすい(悩みやすい)送り仮名表記の代表例(16例)
<動詞=すべて送る>
01)受け付ける
02)打ち合わせる
03)売り上げる
04)買い出す
05)書き込む
06)締め切る
07)立ち寄る
08)積み立てる
09)問い合わせる
10)取り扱う
11)乗り合う
12)払い戻す
13)引き換える
14)引き継ぐ
15)待ち受ける
16)申し込む
<名詞=すべて送らない>
01)受付(窓口)
02)打合(先)※2
03)売上(金)
04)買出(品)
05)書込(用紙)
06)締切(日)
07)立寄(所)
08)積立(金)
09)問合(先)※1
10)取扱(品)※1
14)乗合(バス)
11)払戻(金)
12)引換(券)
13)引継(先)
15)待受(画面)
16)申込(先)※1
※1:「お」が付く場合は、名詞扱いであっても「お問い合わせ」「お取り扱い」「お申し込み」のようにすべて送る方が自然
※2:※1に習うと「お打ち合わせ」となるがやや不自然、商業コピーライティングではほとんど不要。「お打ち合わせに参加できます」的なコピーなら「打ち合わせに~/ミーティングに~」などに換言
※参考:送り仮名の付け方(文化庁)
※参考:「必携用字用語辞典」付録1 送り仮名の付け方(三省堂編修所 編)
03)記号
●記号(約物、符号、符丁)類の表記を意識。掲載媒体内で使う種類は最小限
●揺れやすい記号の表記をあらかじめ確定(絞り込み)
●以下は商業系サイトやスペックで出現する揺れやすい(悩みやすい)記号の代表例(10例)
01)、(読点):区切り的に使用
例)赤、青、黄
02)・(ナカグロ):並列的に使用
例)赤は1・2・3番、青は4・5番、黄は6番
03):(コロン):同格的に使用
例)赤:3品、青:2品、黄:1品
04)/(スラッシュ):択一的に使用
例)赤/青/黄からお選びください
05)()(パーレン):補足的、よみに使用
例)赤(キズあり)/文言(もんごん)
06)「」(一重カギ):口語や強調に使用 ※1
例)「赤だよ」と彼は答えた/決め手は「青」
07)『』(二重カギ):作品や階層的に使用
例)「読んだのは『坊っちゃん』だ」と彼は語った
08)…(三点):結合的、余韻的に使用 ※2
例)赤…今回は1品だけの入荷/たった1品か…
09)~(ナミ):時空間的、省略的に使用 ※3
例)A~Zまで/iPhoneXX pro~(ただし初出以降)
10)※(コメ):注釈的に使用 ※4
例)※18歳未満は入店お断り
※1:“”(ダブルコーテーション)は見づらさ、システム的なバグの観点から不採用の例は多い
※2:紙媒体は2文字(……)が主流/─(ダーシ)は見づらさの観点から不採用の例は多い。
※2:仕様によって下付き(行の天地中心ではなく下部表示、当noteでも同現象が生じているよう)になることもあり不採用の例は多い。
※3:~(チルダ/半角ナミ)はURLを除き、文中では見づらさや文字化けの観点から不採用の例は多い
※4:*/*(全/半角アスタリスク)は、システム的なバグの観点から不採用の例は多い
※参考:文字記号の正しい名称と使い方(2019年7月11日@静山堂出版「note」)
04)全角/半角
●全角/半角の表記を意識 ※1
●全角:和文、記号(句読点や「!?」など含む/URL上の「/」「-」「_」などは除く)※2
●半角:英文、数字 ※3
※1:掲出媒体のフォント、デザイン、仕様、書式などによって、柔軟にルールを策定
※2:記号類の半角は見づらさ、システム的なバグの観点から不採用の例は多い
※3:紙媒体の数字は1桁は全角、2桁は半角(3桁以上は縦組なら全角や漢数字などで対応)が主流
※参考:「紙媒体では縦組が多いためとくに数字は…」(2012年10月13日@当方Facebook投稿)
05)能動態/受動態
●能動態/受動態の文体を意識
●とくに日本語は、主格が省略されても成立するため、隠れた主格とその述部の関係を意識
●受動態は、丁寧(尊敬)語としての表現も存在するため、あわせて意識
1)能動態:(人が)文章を書く。
※省略された「人」が主格のため述部は能動態
2)受動態:(人によって)文章は書かれる。
※「文章」が主格のため述部は受動態
3)丁寧語:先生が文章を書かれた。
※主格の「先生」に対するため述部は丁寧表現
※参考:ことばと文化のミニ講座(明星大学 人文学部 日本文化学科 柴田 雅生氏)
06)修飾語/被修飾語
●修飾語/被修飾語を意識 ※1
●修飾語と被修飾語の距離は近づける
●修飾語は被修飾語の前方に置く
△ 悪い例
マジで/言葉が苦手という/コピーライターが書いた/コピーだなんて/信じられない
○ 良い例
言葉が苦手という/コピーライターが書いた/コピーだなんて/マジで/信じられない
⇒ 例文の「マジで」(修飾)は、「信じられない」(被修飾)を修飾している
※1:「語・句・節」「主・述」で呼応する両者の関係性は「係り受け」とも呼ばれる
※参考:修飾語と被修飾語を近づける(2017年12月15日@「第1421回放送用語委員会」NHK)
07)統一・呼応
●統一・呼応を意識
●言葉、語句、コピー、見出し、文節、スペックなど、各所で品詞や表現を統一・呼応
●読みやすさ、見やすさ、デザインから、ケースによっては各所で文字数も統一・呼応
△悪い例
1)企画書、ニュースリリース、さらに販促メールなどの文書を書く販促や広報を担当する方
2)コンテンツ(ブログ・メルマガ・ソーシャルメディアなど)を発信する人々
3)ECサイトやサービスサイトを運営する自営業の方々、個人の作品を販売するフリーランスの人々
○良い例
1)企画書、ニュースリリース、販促メールなど、ビジネス文を作成する、あらゆる販促担当者
2)ブログ、メルマガ、ソーシャルメディアなど、コンテンツを共有する、すべての情報発信者
3)ECサイト、サービスサイト、作品サイトなど、商品や商材を販売する、あまたの運営管理者
※良い例の文頭
3つの名詞+など/20文字(英文は2文字で1文字カウント)で統一・呼応(事例部)
※良い例の文中
目的格(~を)+動詞(~する)/10文字で統一・呼応(述部)
※良い例の文末
修飾(ひらがな)+被修飾(対象者)/9文字で統一・呼応(主部)
上記の例文はそれぞれ同程度の情報が複数含まれているが、後者(良い例)のように統一・呼応することで、読みやすく(見やすく)なり、ざっとの一目でも理解されやすくなる。
※参考:『毎日新聞用語集 毎日ebooks』(毎日新聞社)
08)校正/校閲
●見直し、読み返し、チェックといった確認作業では「校正」「校閲」を意識
●校正:誤字や脱字の訂正。書き手以外の他者が行う(書き手自らが行う場合は推敲=後段)
●校閲:事実の誤りや不備の訂正。書き手以外の他者が行うのが理想(書き手本人でもまあ可)
例)日本で最も他界山として知られる富士山の標高は4,776メートルだ。
⇒ 校正:他界 → 高い(誤植、誤字の訂正)
⇒ 校閲:4,776 → 3,776(事実の誤りの訂正)
※参考:『標準 校正必携』(日本エディタースクール)
※参考:『校閲記者の目 あらゆるミスを見逃さないプロの技術』(毎日新聞校閲グループ )
09)推敲
●自ら読み返して訂正する作業=推敲では、書き手ではなく、読み手になることを意識(素読み)
●「校正」「校閲」の観点から逸脱しない範囲での省略や割愛など、おもに短縮(簡潔)を意識
●なお、補足や加筆は、前段の08)校正/校閲で対応(できているはず)
<推敲の際に省略・割愛できる例>
1)指示語(あれこれ、このあの、それどれ)など
2)接続詞(さて、そして、それから、なぜなら、ところが、けれども、さらには、あるいは)など
3)主格類、対象者類(あなた、お客様など)、助動詞類(ですます、だである、いたす)など
4)述部類(完成、できる、登場、発売中、ご用意)など(明確な場合が多いため)
5)副詞類(かなり、すごく、たいへん、とても)など
6)重複、過度、具体例といった割愛しても本質が伝わる、または不必要と思われる語句や一文など
※いずれも文脈など条件による。本質がより伝わるのであれば、文字数が増加するのは不問
※参考:『ことばの「省略」とは何か』(大修館書店)
10)換言(執着)
●最終的な仕上げとして、ブラッシュアップ(研磨)やリファイン(洗練)を行う際は、より良い(ベター)、さらにはより最善(ベスト)な語句や表現に換言することを意識
●「メインやキモとなるキーワード」(※1)以上に、「なんてことない単純な文言や表現」(※2)をより重要視して換言することを意識
※1:メインやキモとなるキーワードの換言例(アプローチ)⇒ 最適ワードの検出が目的
1)Google、YouTube、掲示板など、ネット系でのスタディ(Googleではニュースや画像の検索も)
2)Twitter、Facebook、Instagramなど、SNS系でのスタディ
※2:なんてことない単純な文言や表現の換言例 ⇒ 最善ワードへの執着が目的
1)~ということ :~という価値/現状/事象/実情/ファクト
2)そんなとき :そんな一刻/瞬間/寸暇/刹那/シーン
3)今回のポイント :今回の核心/正鵠/真髄/要点/フォーカス
ここまで01)~09)のすべてがなされた前提で、媒体、企画、ターゲットなど諸条件によって、難しい、やさしい、ハード、ソフト、クール、イケてる、トレンド、時事、懐かしい、ベタ、尖がってる、カタイ、やわらかい、アンニュイなどより最善な語句、表現、トーンはないかブラッシュアップやリファインを重ねる。
※参考:コピーライティングで最も大切なテクニックとは(2020年3月3日@小欄)
そこまでしてコピーライティングに向き合うワケ
コピーライティングのテクニックと聞くと、07)10)が少しそれっぽいカモですが、それでもそこまで驚くような高度なスキルやワザがあるワケではなくて、いずれの事項も基本的にはただひたすら地味な作業を積み重ねていくというのが実情です、ってまあ、あくまで当方ごときの手法なんですけど。
当方的には手順というかステップも含め、コピーライティングを手掛ける上でいつも意識しているのがこれらの事項10個であって、案件や条件で多少は変われど、これが基本のすべてといえます、マジで。
たかが10個とはいえ(失念している事項もあるかもですけど)、なぜ、そこまでしてコピーライティングに向き合うのか、と問われたら。なぜならそれは、これだけ情報やテキストがあふれる時代です、
依頼者(語り手)の情報の本質を、希求者(読み手)に対して、正確・簡潔・平易に届けるため
という一心からとしか答えようがなく、コピライターのクセしてアレですがつまり、情報を届けたい方とそれを求める方がいるかぎり、情報というテキストが増殖する世であるかぎり、正確、簡潔、平易、すなわち「人にやさしく。読みやすく。」という信念で、今宵もコピーライティングに対峙します。
(了)
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