サくら&りんゴ#148 スー流イングリッシュティーから見えて来たこと
スーからテキストメッセージが来た
Fancy coming over for cuppa today?
cuppaってcup of teaの事かな、と推測する。スーは英国人である。うちの隣の隣の隣の、湖に面した家を売却し、ほぼ林の中の家を購入した。
引っ越し前からアフタヌーンティーに来てねと言っていたので楽しみにしていた。引っ越しの翌週はいくらなんでも無理だろうと思っていたらやはり
今日は忙しくなっちゃったの
先週メッセージが来て、まだ開けていない梱包に埋もれているに違いないと勝手に思っていたら
壁塗りしてるの
と写真が来た。
どひゃ。マジ?新居ってまだそう言う状態?(夫の建築途中の家に住んでいるので人のことは言えませんが)
湖の家もスーは夫とデッキを取り付けたりしていた。あの家の黄色いドアもスーがペイントしたのかもしれない。
ココだけの話のスーの事↓
ところで、私が壁塗りをしたことがないと言うと近所の人に大抵驚かれる。私にしたら、東京で家の壁塗りを自分でしている人は私の友達のそのまた友達まで広げてやっとひとり見つかるくらいである。
しかしこの辺りでは、家の建築でできることを子供の頃から手伝うのは当たり前で、私はイギリス王室並みにお抱え人がいる生活をしてきたと思われている。
さて、以前散歩の途中で立ち寄ったスーの新居。うっかり通り過ぎそうになった。
”ほぼ林”の一部だった家の前の木がすっかりなくなっていたからだ。
大木を切る。これは専門職でそばで見ると感嘆に値する。さすがのスーたちもこれは無理で、三本の松の大木、ライラックブッシュ(え?ライラックも切っちゃったの・・)その他3本諸々でCAD3000(約30万円)したという。
いくらでも費用がかかっちゃうから、できることは自分たちでするの。
とスーが言う通り家の中はまだまだ作業中。
それでもキッチンカウンターの後ろにある棚から
とっておきのティーセットを選んでイングリッシュティーを淹れてくれた。
ティーポットの蓋は、絵柄を注意深く合わせて。中はチャイティー。蜂蜜とミルクはお好みで。
ティーセットだけでなくスーはイギリスから色々な物を持参していた。
これは母が使っていたアンティーク椅子、貼りなおそうと思っているの
まあ、それは大切な物ね。
しんみり言うと
母はまだ生きてるんだけどね!
笑いを取るスーであった。
前にこんな風に笑い転げたのはいつだたか。かつて高校の通学路でカンナと、高校大学と一緒で通勤の電車まで共に過ごしたちかリンと、とにかく笑い転げた。
もう何も面白いと感じられなくなっていた私に、再びの笑いをもたらしてくれるスー。
私やっぱり、移民の人とウマが合うの。同じ苦労があるから。
そんな風に言ってくれる。私からすれば、英国人のスーは移住と言っても、かなり違うとはいえ英語ネィティブ、イギリス連邦のカナダ。それ移民に入る?くらいに思っていたのだが・・・(笑)
笑い転げるだけではない。スーと話していると色々な当たり前だったことが当たり前でない事に気づかされる。決して彼女が意図したわけではないのだけれど。
日本滞在中に小耳にはさんだ(笑)多様性の尊重。でもそれって大多数の側から立って少数派を大事にしましょう的な視点で。
たくさんの少数派の中のひとつである日本人移民としての私。日本にいたら大多数側にいると思っていても世界を見渡したら、かなりかなりかなりの少数派である。日本生まれかつ日本育ちかつ日本人、そして日本語に堪能(多分)で日本人の両親という日本尽くしの私。
世界を俯瞰したら、私こそが多様性のひとかけらを大いに任っているに違いない?
スーの新居のガレージには前の住人が置いて行ったというアンティークな家具があった。
これ青色に塗りなおして売ろうと思っているのよ、うちに置くスペースはないから
私の頭の中で電球の明かりがピカリとともった。
それ私、買いたいかもしれない
ちょうど夫の事務机の上にカバーをかけただけの物に代わる家具を探していたのだ。
今度うちに、夫が選んだ晴れた日の湖の色に合わせた蒼色を、見に来てくれることになった。
白い四角い陶器を指してスーが言った。
シンクもイギリスから運んだの
え~!シンクも~@.@
わざわざ大西洋渡って??
何かと驚かされる私であった。
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