ビジネス書の「効率の良い読み方」ってなんだろう?
「ビジネス書を読む必要に駆られて、でも読めなくて寝ちゃうんです…」
「全部読まないといけないと考えると、うんざりします」
こんな相談を受けることが、最近複数ありました。
本といっても様々なジャンルがあります。「正しい本の読み方」というのがあるのかはわかりませんが、「ビジネス書の効率の良い読み方」というのはあると思っています。
むかし言語化していた内容、会社の後輩に聴かれて答えた内容をあらためてコンテンツ化してみました。僕も20代のころに同じ悩みを抱えていたひとりです。
ビジネス書を読みたいけれど、どうしたらよいか…に悩んでいる方の参考になれば嬉しいです。
読書前(仕入れ)
読書前の本選びは、料理の食材選びと一緒。
良い素材を選ぶためにこんなことに気をつけてます。
書評サイトなどを本選びに徹底活用する
何を読めばいいのか分からない…と言う場合、専門家の目を借りましょう。
ビジネスブックマラソン、HONZなどは目利きがさすがです。
リアル書店に行ってみる
平積みで実際に売れている本、書店員さんが入魂のPOPでイチ押ししている本などをチェックしたり、パラパラとめくって取っつきやすさや雰囲気を感じてみましょう。
特定ジャンルを深く調べる時は、概要書→原書まで最低3~10冊程度を選ぶ
概要書と原著を幅広く見てみると、そのジャンルにかなり詳しくなれます。
たとえば、テクノロジーと社会の動向について知りたいとき…こんな風に選んでます。
読書直前(仕込み)
読書直前にやるのは、いわゆる「仕込み」。この前工程にほんのすこし時間をかけるだけで、ぐっと吸収効率が変わります。
選んだ本を読む目的を明確化する
・○○の概要を知りたい
・○○について誰よりも詳しくなりたい
と、目的を明確化して手元に書いておきましょう。
こうすると、認知バイアスを逆手に取ったカラーバス効果で集中力が上がります。
締め切り(制限時間)を設ける
人は制約条件を課されると、集中度が増します。
・新書・ソフトカバーなら1~1.5時間
・ハードカバーなら2~3時間
など。読みきれなくても良いので、まずは時間を決めてみましょう。
読書中(調理)
いよいよ本を読みます。
さぁ、本文をしっかり、きれいに読み…ません!
ちょっとした読み方のコツがあります。
全体を俯瞰する
まえがき、目次、あとがき、プロフィール、各章まとめに、著者が言いたいことの8割は書いてあります。
むしろここがメインディッシュです。まず、前後から攻めましょう。
緩急をつけて読む
線、印、書き込み、折り目、付箋をつけながら読んじゃいましょう。
汚すのを躊躇わないで、気になった個所にはバンバン目印を入れます。入れまくります。ビジネス書は吸収してナンボです。
全部読もうとしない
大事なページは全体の2割程度と割り切ります。
書籍でも、80対20の法則(パレート理論)が発動しているからです。
大切なことなのでもう一度言います。
大事なページは全体の2割程度です。割り切りましょう。
読書後(盛り付け)
読んだ!気持ちイイ…と思った瞬間から、私たちの記憶は悲しいくらいに失われていきます。
だからこそ、実際にやってみると変わることがあります。それがアウトプット。料理で言えば盛り付けです。ここが上手だとより美味しくなります。
おいしい料理を知っているのと作れるのとが違うように、知識をインプットする(知っている状態になる)のと、アウトプットする(使える状態になる)のとでは全く違います。
重要だと感じた箇所をまとめたメモを作る
手帳やマインドマップに書いてみます。書籍の地図をつくるイメージ。
手を動かして整理すると定着度が格段に上がります。
誰かに話してみる、書いてみる
読書してのまとめを話したり、考察を書いたりしてみましょう。
twitter、facebook、Instagram、YouTube、noteなどSNS上でもいいですね。
誰かに伝えることを前提とすると、本気で吸収するようになります。著者も喜んでくれます。
↓実際の書籍まとめ例(一冊を深堀)
↓実際の書籍まとめ例(複数冊を概観)
↓実際の書籍まとめ例(ジャンル全体を俯瞰)
↓発信の例
良書は手元に残して再読する
イイと思った本は残しましょう。きっとあなたの人生の伴走書になります。節目節目で再読すると、また違った発見があります。
そうでもなければ…遠慮なく捨てるorメルカリor誰かにあげちゃいましょう。
著者に会いにいく
セミナーやカンファレンスがあれば、著者ご本人に会いに行くのも刺激になって良いでしょう。めっちゃ勉強&モチベーションになります。
最近はウェブでの出版記念著者セミナーなども増えてきたので、空間や時間の制約を超えやすくなりました。
↓新規事業をつくるイントレプレナーになってから、著者に会いに行ったり弟子入りしたりのストーリー。
書籍ジャンル別 読書法の使い分け
これまで書いたことをベースとしつつ、実際には書籍のジャンルによって読書法を使い分けています。
特定分野の入門書(新書とか、ソフトカバーのものなど)
・目的:概要把握(広く浅く)
・早く読む「速読術」を意識
・200ページ程度であれば制限時間1~1.5時間と置いてみる
・本文はざっと読む、各章のまとめページなどがあればそこから読む
・同一テーマで複数著者の書籍を最低3冊程度読み、著者独自のバイアスを極力排除する
特定分野の専門書(原典にあたるハードカバーのものなど)
・目的:詳細理解(狭く深く)
・遅く読む「精読術」を意識
・ページ数にもよるが、全体像把握は2~3時間程度と置き、一度に全部理解しようとしない(専門書は著者も全力を注ぎ込んで網羅的にしているわけで、読むのも大変)
・入門書では把握しきれなかった箇所を深めるための辞書として、該当箇所はじっくり理解できるように読む
・理解度によっては、入門書と行き来して理解を深める
(番外)内容が頭に入らない時/もっと時短で情報収集したい時
・flierなどの要約サイト、ブクログなどの感想サイト
・Amazonなどのレビュー
などで対象書籍を検索し、上位評価のレビューを見る
いずれの場合でもそうですが、本を「一度に読んで理解する」という考えからはまず離れてOKだと思ってます。どうせ一気には覚えきれません!
むしろ並行して複数冊を読んだり、買って目次だけ読んで積読しておいても大丈夫です。
「その本の大事なメッセージを3つだけ抜き出すとしたらなんだろう?」くらいの気構えのほうが結果的に深く読めて、人にも楽しく伝えられるのではないかな~と考えています。
歳を重ねて、読み方も変わってきた
20代
・多読&速読
・月10冊、年100~120冊を目標にとにかく多ジャンルを漁る
・「このテーマを知るなら何がいいですか」と人に聴きまわって、回答の多い本から読む
これらは、量が質に転化するという考えがあったからです。
部活の基礎トレみたいなもんですね。
30代
・新規テーマの場合は速読&多読
・既存で知っているテーマの場合は原典を繰り返し精読
経験を重ねてある程度「この本が重要な原典」というのがわかってきたのと、多読&速読はそれなりに体力を要する(苦笑)というのもあります。
最近は
要約サービスが増え、Youtubeなどの動画サービスでもテーマ解説されてたり、読書会サークルなどもそこらじゅうで開催されてきているので、入門編の情報であれば得やすくなりました。
サラタメさんやオリラジの中田敦彦さんの解説動画は、書籍の内容を掴むだけでなく、人に伝えるときの切り口の参考にもなります。
また、「ペア読書」という読書法もあるようです。定着化・スピード感の両面でめちゃくちゃ使えると思います。
参考:読書法にフォーカスした書籍
僕自身、ビジネス書の読み方の参考になったのは、以下のあたりです。
『レバレッジ・リーディング』(本田直之)
「ビジネス書の読み方」に特化した本です。だいたい↑にまとめたことを書いています。読みやすくて分かりやすいです。
『本を読む本』(M.J.アドラー、C.V.ドーレン)
こちらはよりオーソドックスな、読書法の原典にあたる名著です。レバレッジ・リーディングを読んだあとの方がすーっと入ってくるかも。
『読書術』(加藤周一)
遅く読む「精読術」、早く読む「速読術」、本を読まない「読書術」などが書いてあります。
本を読まないというのは、本を読んだ人からその内容を聞き出してしまえという一種のインタビュー術です。耳から入るタイプの人には向いているかもしれませんね。
いかがでしょう?
このあたりをざっと頭に入れて、いくつか実践してみてください。
ビジネス書を読むのが苦痛ではなくなり、むしろワクワクする時間になるかもしれません。
以上、ここまで読んでいただきありがとうございました。
少しでもあなたの参考になれば嬉しいです!!
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