れいく5

【レイワの育成⑤】定着と育成 ~社員を育成する前に、大切な”定着”に対する取り組み~

人事部の人材育成担当者に送る
「レイワの育成」~育成・研修担当者のイロハ~

⑤定着と育成 ~社員を育成する前に、大切な”定着”に対する取り組み~

ホッソン(細野和彦):株式会社ログシー育成支援事業部 統括、ハブプロダクト 代表。大企業からベンチャー企業まで様々な人事に対してコンサルを行うスペシャリスト。研修講師の育成もおこなっている。

ミヤ(宮野由香里):ベンチャー企業の人事。中途採用しか担当してこなかったのに、来期の人材育成計画書の作成を任され、途方にくれている。
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ミヤ: 今日は天気がいいので、テラスでのお話しするのが気持ちのいい日ですね ^^
コーヒーも美味しいし♪仕事の一環という事を忘れそうですー。

ホッソン:初春とは思えないくらい、日差しが強めですが…(*^_^*)
それはさておき、今日は「定着と育成」のお話をしてきますね。
まず、早速に宮野さんに質問です!
育成計画をたてる上で必ず、どこの階層に向けて、どういった研修をするかというのを考えるかと思いますが、そもそも「研修」って何ですると思いますか?

ミヤ:えっ!?うーんと一番はスキルアップでしょうか?あとモチベーションを上げるのに一役買ったり、知識や考え方を広げる…ためですかね。

ホッソン:なるほど、一番はスキルアップなんですね。じゃ、例えば、宮野さんの会社がコーヒーを提供する会社で「すごく美味しいコーヒーの淹れ方~バリスタ入門」という研修があったらスキルアップになりますよね。でもウチの提供するコーヒーなんて100円のコンビニコーヒー程度のものだし十分だとともし思っていたら、この研修を聞きたいでしょうか?

ミヤ:そうですね。コーヒーにこだわりがないのであれば、特に聞きたくはないかもしれません。効率的な○○や、1日に1万杯売る方法的な事なら必要かなーと思います。

ホッソン:そうなんです!スキルって誰にでも必要ではなく身に付けたいものではないのです。
宮野さんは人事にいるので、例えば、今みたいに「育成計画の作り方」とか「人の指導の仕方」とかは興味を持って学びたいと思うのですが、特に興味のない分野の研修に関してのスキルはやる気がおきず、そこまで学びたいとも思わない。
企業の研修って、いろんな研修メニューを用意してやりたい研修を本人に選ばせるという“カフェテリア方式”とこの階層にはこの研修が必要だからと“対象者研修方式”とだいたい2パターンにわかれます。
ただ、どちらの方式でも、そもそも本人が学びたいって思わせる研修を行わないと、手にも取ってくれない、無理やり手に取らせても「自分には関係がない」となってしまうことが多いのです。

ミヤ:確かに、人事の立場から言うのも寂しいのですが、研修に参加して寝ている人って多いのですよね。また、忙しいから研修には参加したくないっていう人も…。どちらも「自分には関係のない研修」だと思っているからですよね…(´д`)

山本⑤

ホッソン:そうそう、それが今日のテーマの「定着と育成」に大きくかかわってくる部分なのです。
企業が設計した社員に必要なスキルって別に適当に決めているわけでなく、会社が必要だと思ってつくるわけじゃないですか、でも本人にこの研修を受けたい、学びたいと思わせていないから、効果がでないのです。

ミヤ:うっ、、、。そう言われると。そうかもしれません。(´・ω・`)

ホッソン:そう!めちゃくちゃ単純な話なんですよ、実は。そして、あなたにはこれが必要なんですよ!ってことを本人に理解させると、不思議な話なのですが、スキルアップするのではなく「定着」につながるのです!!

ミヤ:研修の必要性を理解させることで、「定着」が生まれると…。

ホッソン:そのとおり!このスキルを絶対に身に付けたい、この会社においてこれを学びたいとか、この力つけたいとか、これをやることによって自分のスキルアップにつながるんだって、心を研修内容に向けることが、その組織に人が定着するきっかけになる。

ミヤ:実際、どうやって本人に「この研修はあなたにとって必要」と理解させればいいのでしょうか?

ホッソン:お、いい質問ですね^^ 内容のベースとなってくるのが、いつもお話している会社のミッション、ビジョン、バリューになります。
ざっくり言ってしまえば、会社の目標を達成するためには皆さんの力が必要になります、だからスキルアップしてくださいね、と昔だったらそれで終わりなのですが、今の時代はキャリアの志向が会社ではなく個人なので、個人に絡めて説明しなくはいけない。
例えば、僕が管理職研修においてお話をするのは、転職市場の表側と裏側です。
今、ネットでほとんどの事が調べられますが、ネットにでていないような情報をお伝えすることによって、わりと皆さん今の会社に留まろうと思ってくれます。
また、転職するにおいて最大の関心事はおそらく年収になるかと思うのですが、年収というのは今よりも規模の大きい会社にいかないとあまりUPはできないのです。
だから、そういった大きい規模の会社に行くチャンスをどうスキルアップしたら掴めるのか?そこから研修の内容にうつっていくのです!

ミヤ:要するに、転職するかしないかは別にして、だからこのスキルをあげておいた方がいい、ということをお伝えするのですね。確かに会社のためにスキルをあげて欲しいと言われるより、自分のためにスキルアップとなると真剣味が違ってきますねー。

ホッソン:もちろん、会社のミッション、ビジョン、バリューに基づいて、会社の目標にみんなで向かうぞー!という話がメインなのですが、それ以外でもちょっと今みたいな話をいれるだけで、スイッチがポコッと他人(会社)事ではなく自分事に変わってくるんですよ。
これを″動機形成“と言います。
年次や役職によって、動機形成の仕方、内容は違いますがこのように当事者意識をつけていった上でスキルアップの研修を提示されたとき、最初にお話しした「すごく美味しいコーヒーの淹れ方~バリスタ入門」を学ぼうとは思いませんか?

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ミヤ:そうですね!これを覚えることによって年収が大きく変わりますよってことになったら、いつまでもコンビニコーヒーでいいなんて言わずに、即バリスタを目指します!( ^ω^)b

ホッソン:(笑)それは会社外でもそうだし、会社内部でもそう思いませんか?例えば、社員がスキルアップしてバリスタになったとしたら、新しいお客様を呼び込める…そう考えたら年収って上がりませんか?転職して年収をあげるか、そのまま会社にいてスキルアップして年収をあげるのか結局一緒なんです。
コンビニコーヒーでいい、だから目の前でボタンを押せばいいのだから、スキルアップしてバリスタになれって言われても自分には関係ない…いや違う!!みなさんがバリスタになってスキルアップすることによって新しいお客様がついてくる。しかも他の会社ではこのスキルがとても役に立つ…って事を、ひとつずつ丁寧にいろんな事例を使って動機をつくっていき、自分にも関係あることをわからせる。
だからやる気を出させて、スイッチをいれたうえで学ぶことよって、スキルも身に付くし、会社にも定着しその上、感謝も出てくる。これがいわゆるエンゲージとかエンゲージメントといわれていると言われているもので、会社に対する愛着心がどんどん出てきて部下からも評価されて上司からも評価されてお客様からも評価される、いいサイクルに入ってくることができるのです。

ミヤ:ほーーーなるほどーー。(・0・。)

ホッソン:納得できましたか?それでは、「定着」ではなく「育成」の話にうつりますね。
スキルアップ=育成 になります。
定着してから初めて育成があるのです。それなのに、育成だけやろうとスキルだけを詰め込み教え込もうとするので、社員がスキルアップに興味をなくして「もう、いいよ、おなか一杯」ってことになるのです。
そもそも、育成するためにはどんな研修があるのか?とよく聞かれますが、これは会社ごとに必要なスキルが違うので、なんともいえません。
例えば、宮野さんの会社はアプリの会社なので、「プログラミング研修」とか「IT用語研修」などが育成の研修としては必要かとは思いますが、出版社とかだったら「ライター、編集研修」とか「出版用語研修」が必要となり、育成の研修の内容は大きく変わってきます。

ただ、ここで大切な事をお伝えしますね。
「定着」に寄与する研修と「育成」に寄与する研修は別物になります!どっちがかけてもダメなんですが、どっちも意識してやっている会社は残念ながらいまのところ少ないです。
だから、宮野さんはそれを意識して育成計画に盛り込んでいってください!

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また、研修だけが「定着と育成」の方法というわけではないですよ!育成に関して言えば、もちろん、OJTも大切な育成の方法のひとつとなりますねー。
定着には定着に必要な6つのコミュニケーションラインというのがあるのです。一人の人間に対して社内のコミュニケーションラインが6本ある。
このラインが太いか細いか長いか短いかによって定着率が大きく変わってきます。
これに関しては長くなるので、「番外編」として今度お話しますね!

ミヤ:わかりました!とにかく、″動機形成“をして「定着」してから、「育成」を行うというのを意識して育成計画を立てていけばいいということですね。そして、それは研修に限らないと…メモメモφ(・ω・`)

ホッソン:そうです!本人から手に取らすということが僕たち人事の最大の役目なのです。だから育成計画に″動機形成“を必ずいれること意識しなくてはいけない、スキルばっかり詰め込んでも″絵に描いた餅”になってしまう。定着があって育成がある、この事を常に心に留めておいてくださいね。

ミヤ:承知しましたー!

細野山本⑤

◆シリーズ一覧◆
【レイワの育成①】い、育成計画作れって言われました( ;∀;)
【レイワの育成②】OJTとOFFJTって、何の略??いきなりわからん( 一一)
【レイワの育成③#1】社内で行う研修と、社外に依頼する研修の違いって?? ~社内で実施した方がいい研修編~
【レイワの育成③#2】社内で行う研修と、社外に依頼する研修の違いって?? ~社外講師に依頼した方がいい研修編~
【レイワの育成④】モチベーションとリアリティーショック
【レイワの育成⑤】定着と育成←いまここ
【レイワの育成⑥】面談とコーチングの重要性
【レイワの育成⑦】指示の受け方と報連相の仕方
【レイワの育成⑧】ビジョンとルール

◆レイワの育成・特別講座◆
特別講座①1年間の新入社員育成計画を作成せよ!
特別講座②他階層の育成計画を考え、全体の人材育成計画を完成せよ!



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