見出し画像

ラッキー!な話📚s

若かりし頃は冬になると、待ち遠しくてスキーに行ったもんである。


同期のオヤジの車でよく行ったもんだ。

オヤジとは、見た目で当時からオヤジっぽかったので、皆からそう呼ばれていた。

この同期のオヤジは、
「大空をパラで舞う!の巻📚L【前編/後編】」
「究極の不摂生がなせる技!の巻
📚
でも登場しております。
いいヤツなんです。

当時はまだまだライトスポーツカーが流行りであったが、オヤジは迷わずトヨタ ランドクルーザープラドのショートタイプをセレクトした。

男は黙って四輪駆動!
って感じでした。

しかもロングボディーではなく、敢えてのショートボディーがイカツイ!
さすが目の付け所が違う!

当時は不恰好な四角いトラックに見えたのだか、先見の目があったのだろう。
当然ディーゼル車である。

雪道を走るにはライトスポーツでは心もとない。

やはりオヤジの4WDが大活躍した!
先見の目ありクロードチアリであった。


オヤジのスキー道具達は、
毎年最新の板にブーツ、ウエアも決まっていた。

それより何より、一番お伝えしなければならないのが、全身を覆い尽くすプロテクターについてだ!

そう、どんなに転げようが、誰にしばかれようがビクともしないメガオヤジに変身出来るんだ。

オヤジ曰く、
怪我したら元も子もないし楽しくないやろ!
って自慢げに言っていた。

安全第一である。

しかし、動き難い位のプロテクターが装着されている。
装着するのにも時間がかかっているはずである。

あっ!

そうや!

もしもの緊急事態!
要を足す時に間に合うのかなー?
などと要らぬ心配をしたものである。


緊急事態時には、
ウエアを引き裂いてでも、
ぶち撒けてやるのかしら!?

下手すると自身のウエア中で自爆テロとなる。
周りに迷惑が掛からないのであれば良しとしよう。

しかし、臭いを制圧することは皆無であろう。

そんなフル装備のメガオヤジが、
スキーコースを外れて崖下に落ちた!

何やら叫んでいる。
助けてくれーって、
言ってるのかと耳を澄ますと

『ラッキーやった〜』といって笑っている!

なんで!

何でなの?

皆が心配し大丈夫かと駆け寄るとオヤジは、
はにかんでいた。

頭でも強く打ち付け、おかしくなったのか!

何がっ!

何がオヤジにそんなことを言わせるのか


皆は目が点になっている。


メガオヤジは、
『いや〜 ほんま
こんなところに落ちたのに
怪我ひとつないんやで!ラッキーやったわー』

笑ってもたー。

って、

屈託のない笑顔で、本当に笑ってた!

なんてポジティブなんだ。

なんて前向きなんだ。

もっと横も見ろ!

メガオヤジには、
回避てきる術はあったはず!

って、

言ってやりたかった。

そこは大人の対応で、

黙っておいた。


板が一つ外れて何処かに雪ボツしてしまっていた。

そこらにあるはずなんだが、中々見つからない。

辺り一面の雪の白さが眩しい!

探す!

探せっ!

探すした。

すると、あった!

見つけたぞー!

足元から見つかった。

結構近くにあるもんである。

気を取り直してメガオヤジは何事もなかったかのように滑ってゆく。

メガオヤジも木から落ちるか〜。

遠く滑りゆくメガオヤジの背中を見送る。

そして、思いを馳せる。

ヒゲ濃いめの屈託のない笑顔に惚れてしまったのであろうか。


なんでやねん。

by まるまるの虫 カメさん

この記事が参加している募集

私の作品紹介

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?