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いちおうフィクションです。

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2021年7月の記事一覧

短編小説「髪を得る為に富を失った男と、富を得る為に髪を失った男」

短編小説「髪を得る為に富を失った男と、富を得る為に髪を失った男」

お前達の世界にはこんな言葉があるはずだ。

「なにかを得る為には、なにかを失わなければいけない」

ってな。

どんなボンクラでも一度くらいはこの言葉を聞いたことがあるだろう。

俺たちからすると、この真理は違う言葉で語られる。

「なにかを与えてやるなら、なにかを奪え」

だ。

俺のじじいも、そのまたじじいも、ずうっと同じことを俺に言い続けてきた。

むかし、ちょいと気に入った人間の女の子が病

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短編小説「今日も火星人がやってくる」

短編小説「今日も火星人がやってくる」

昔、人間は地上というところに住んでいたのだそうだ。

でも、200年前くらい前に、ぼくたち人類とそっくりの火星人達が地球に攻めてきて、地球人を地下に追いやってしまったのだそうだ。

地球人と火星人の戦争は、それはそれは激しいもので、地球人は地球上に存在したありったけの核弾頭を使って攻撃したのだけど、火星人達の文明は地球人のそれと比べると格段に進歩していて、核攻撃をはじめとする物理的な攻撃は一切効果

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短編小説「地下鉄の太陽」

短編小説「地下鉄の太陽」

ぼくはミュージシャン仲間に連絡をとった。

鉄男はドラムス、高男はギター、因みにぼくはアルトサックスだ。

ぼく達の計画は、某日、地下鉄銀座線の銀座駅のホームでギグしてやろうというものだ。地下鉄でのギグだから、メトロギグ、ぼく達はその行為をメトギグと仲間内で呼んでいた。

ぼくは、大学生の頃、一年休学して、東南アジアとヨーロッパをフラフラと放浪した。
ぼくの放浪の旅は、結局どこに行こうと、安宿でダ

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