見出し画像

大阪にいた時代のOJT

今から3年ほど前に大阪にいた時の話。

当時の課長はすごく熱心に育成してくれる課長だった。

課長は僕とは年が15も違うのにバイタリティに溢れていた。

仕事が終わると、「夜のOJTだ。行くぞ。」と言って週に一度は梅田に繰り出すことになる。

岩崎塾で腹ごしらえをした後に、向かう先は相席屋。

時間制で同じく飲みに来た女の子と相席して楽しく飲めるシステムのお店だ。

ここでいかに早く二次会に誘い出せるかのトーク術を身に付けることが、営業力を鍛えることにつながる。

そんな建前で、夜な夜な飲みに連れて言ってもらう日が続いた。



そして、2/1は来た。

3年前の2/1は僕は昇格した日だ。

その日の夜、課長がこんなめでたい日は飲みに行くしかねーだろと言い、二人で例の如く梅田に向かった。

しかし、いつもの梅田で、勇み足で進む課長についていった先にあったのは、いつもの相席屋ではなかった。



スイッチバーだ。



課長は、「夜のOJTも一段レベルを上げないとな。」と言いながらサッサと入っていく。

相席屋はお金さえ払えばすぐに席に通されて、確実に女の子と話せるが、スイッチバーは予め決められた席などない。
気に入った子がいたら、こちらから声をかけて同じテーブルに座ってもらわないと話せないシステムだ。

「どうだ?受け身のままだと一生ノーチャンスだぞ?能動的にアタックしてこい。」

課長がニヤリと笑いながら言う。

それから先のことは毎回必死すぎて、ほとんど記憶に残っていない。



それからしばらくして、課長は東京に異動になった。

お世話になった課長だからすごく寂しかった。

しかし、あまり寂しがっている暇もないほどに、仕事はどんどんと忙しくなり、飲みに行く余裕もないほど仕事に打ち込む日が続いた。



そして、季節は一回りして、また冬の季節がやってきた。



ある日東京への泊まりの出張が入った。

せっかくだしと課長に連絡し、久々に飲みに行きませんかとお誘いした。

電話の向こうの声はあの頃となんら変わらない。

「おぉ。久しぶりじゃん。最近苦しんでる?
おれはおれで苦しんでるぞ。」

苦しめ、苦しんで人は成長すると言っていた課長の口癖は変わっていない。

しかし、続いたのは刺激に満ちた言葉だった。

「そういえば、お前歌舞伎町に行ったことある?
ないんだったらお前もだいぶ成長したことだろうし、せっかくのこの機会にデビューさせてやろうか。
カネの心配なんかしなくていいよ。
給料めっちゃ増えたしな!」


な、なんと…。

思わず生唾を飲んだ。

僕だけでなく、課長は課長で猛スピードで成長していたんだ…!



高鳴る胸を押さえて課長と合流し、歌舞伎町に足を踏み入れる…。





たどり着いた先は、歌舞伎町の相席屋だった。

サポートいただけるととても喜びます。いただいたサポートはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます。