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多拠点モデル実装!! ベルフェイスが "今さら" Zoomにケンカを売る理由

全ての営業マンへChristmas プレゼントというわけでもないが、12/25にベルフェイスは多拠点で商談できる新モデルをリリースした。

『多拠点型ベルフェイス』とは?
Web会議を立ち上げて相手にURLを送るだけで、複数名がオンラインで商談できる機能    ※対応ブラウザ:Chromeのみ


『ベルフェイスって複数人で使えるようにならないんですか?』

サービスリリースして2年半、これはもっとも多い要望だった。しかし、我々はそれを頑なに拒み続けた。

「あ、それだったらZoomとかSkypeとか無料のがあるんでそれ使えばいいですよ。ベルフェイスは音声電話なんで1on1なんですよね。 電話なら途切れないし、なんと言っても営業ツールですからねぇ』

と言い張った。

"音声は電話" という、ともすれば野暮ったいスタイル。
しかし、国内のインサイドセールスツールとしてベルフェイスは短期間でNo. 1になった。

そんな舌の根も乾かぬうちに

全てをオンラインで完結する多拠点モデルをリリースしたわけだが、結論から言うと、基本的な機能はZoomやappear.inなど一般的なウェブ会議と変わらない。

そこで、SaaSに詳しい人ならこう思うかもしれない。

✅ なぜ今さらZoomの領域に踏み込むのか?
✅ 勝算はあるのか?


✅ シンプルだったベルフェイスもグロテスクな(多機能でわかり辛い)プロダクトに成り下がってしまうのか?


違う。


この意思決定には、ベルフェイスの開発コンセプトと事業ミッションが明確に表れている。インサイドセールスやカスタマーサクセスなどのビジネスサイドが強調されがちな当社だが、実は、徹底したプロダクト志向の会社なのだ。

Q. そもそもなぜ、ベルフェイスは電話なのか?

テクノロジーをビジネスに転換したいなら、
3歩先ではダメだ。
2歩先でも早すぎる。
絶妙な1歩 (半歩) 先でなければならない。

前職の「社長tv」(経営者の動画メディア) 時代にも自社技術がいかに最先端かを誇らしげに語る起業家をたくさんインタビューしたが、「で、具体的に顧客はどんな利益があるの?」と聴くとモニャモニャすることが多かった。難しくてとても使いこなせなかったり、技術単体では使いもにのにならないことが大半なのだ。
例えば名刺管理のSansanは、テクノロジーは使いつつ最終的には人 (在宅ワーカー) が書き起こしをやっている。だから、精度が高い。

対して新規参入してきたWantedly Peopleは、OCR (画像読み取り技術) だけでやろうとしている。だから、精度が上がりきらない。(名刺情報という属性上、一文字でも違うと結局誰かがチェックしないといけない)


「最先端の技術」と「顧客の喫緊の課題」をつなぐセンス、ベンチャーにはこれが求められる。


インサイドセールス後進国の日本において、「音声は電話」と割り切りきったベルフェイスは  ”丁度よかった” 。ヒラメ筋を誇る営業マンもITリテラシーゼロのお客さまも電話なら抵抗しない。そこからの接続は簡単だ。

もしベルフェイスが、
◆ZoomやSkypeのようにアプリのインストールが必要だったら
◆appear.inのようにブラウザの制限があったら
◆お客さま側のPCで都度マイクやスピーカーの設定が必要だったら


短期間でこれほど普及しただろうか?

身に染みているが、地方の中小企業社長にIEとChromeの違いを説明するのは、うちの末っ子 (3歳) を5分間しずかにさせるより難しい。
※スマホでウルトラマンを見せる裏技を使えば別だが


そして、 あなたも経験があると思うが、ウェブ会議で絶望するのはいつも ”音声”だ。
 
画面は映っているのに声が聞こえない、遅れる、、途切れる、、、あれだ。

アメリカ人ばりのジェスチャーと共に 「マイクの設定を変えてみろ!!」「こっちは聞こえてるよ!!」 と虚空に叫んだ経験が誰しもある。
声が聴こえないとそもそもコミュニケーションが始まらない。画面が見えなくても声が聴こえれば意思疎通できるが、逆はない。

余談だが、そもそも人間が目を瞑っていても音が鳴った方向がわかるのは、音が両耳それぞれに到達する時差を0.001〜秒単位で判別できるから、ということを知っているだろうか? ※音速=秒速331m(時速1,235㎞)
だから、音のズレは例え0.1秒でも異常なほどストレスに感じる。それが営業シーンならインサイドセールス撤退の大義名分にさえなってしまう。

反面、音声さえスムーズなら、画質は少々荒かったり途切れたりしても不思議なほど気にならない。

※NETFLIXやAmazonのPrimeVideoも画質より音声の帯域を最優先させているのはその為だ。

なのでベルフェイスは電話を採用した。

音声を別にすれば当然 画面の安定性も増すし、営業マンもお客さまも電話に慣れていて、そしてほとんど途切れない。
最悪ネット環境によってベルフェイスが使えなくても、電話 (声) が聴こえていれば何とかなる。

そして、音声を捨てることで確保した開発リソースをあらゆる種類のブラウザと端末対応へと振り分け、プロダクト力を高めてきたのだ。

巷に無料のウェブ会議サービスが溢れる中、有料のベルフェイスが急速に普及した理由は、セールスに特化し、現場に 「半歩先」 を提案できたからだと思っている。


Q. で、なぜ "今さら" 多拠点モデルを開発したのか?

3つの理由がある。

①用途の拡大・ホールプロダクト


長年インサイドセールスを啓蒙してきた結果、従来のベルフェイスに慣れZoomやappear.inを使ってオンライン&複数名で商談するユーザーが現れ始めた。特に相手が既存顧客の場合はメールアドレスもITリテラシーも把握しているため、オンラインスタイルは快適だ。数年前は本当にごく一部の企業だったが、今後一気に増えていくだろう。

そのときに
「新規やITリテラシーが低いお客さまにはベルフェイスで」
「既存顧客やITリテラシーが高いお客さまにはZoomで」
というのはユーザーにとって極めて不便で、かつ我々にとっては機会損失になってしまう。

ところで、あなたは キャズム2 という書籍で有名になった『ホールプロダクト』という概念をご存知だろうか?要は

『ユーザーがサービスから成果を得るために必要なものは、 "入り口から出口まで" すべて提供しろ。そうすればユーザーはサービスから離れられなくなり、競合の参入障壁も高くなる』

というものだが、多拠点モデルの開発もこの前提に立っている。

繰り返しになるが、多拠点型ベルフェイスはZoomやappear.in と同じくオンライン完結なので、環境に依存する。ネットが途切れたら、音声含め途切れる。同じだ。つまり、このオプション機能単体で勝てるほど強くない。

しかし、常日頃ベルフェイスを使っているユーザーはシーンに応じてツールを使い分ける必要がなくなり、更に利用シーンが拡大するかもしれない。
※語弊を恐れずに言えば「どっち使っても途切れるならベルフェイス使っておこう」となれば万々歳ということだ(もちろん今後も全力で改善するが)

インサイドセールスにおける 「一気通貫のプロダクト」 になるために、多拠点対応は避けて通れない道だった。


②開発リソースの増大

資金調達し、ビジネスサイドに加えエンジニアやデザイナーの採用を強化し、アウトソース予算も増やした結果、前よりもたくさん開発できるようになった。言うまでもなく、新機能は作るだけでなく、継続的なメンテナンスも必要になる。今回のように全く別技術の新機能ならメンテナンスリソースも膨大だ。幸いなことにホールプロダクト化するタイミングと、開発リソースの増加が噛み合った。


③我々の方がうまくやれる

「ベルフェイスの多拠点型機能 単体ではZOOMに勝てない」と謙遜してみたが、実は勝算がある。理由は2つ。  『技術革新』  と  『用途特化』だ。

まず前者だが、多拠点機能はwebRTCという規格をベースに開発している。

WebRTC = Web Real-Time Communicationの略で、プラグイン無しでWebブラウザ間のボイスチャット、ビデオチャット、ファイル共有ができる規格。Googleによってオープンソース化されている。

この規格のお陰で映像配信の根幹技術を自社開発せずに済むわけだが、これをご覧いただきたい。

低帯域(500kbps)で、WebRTCがZoomを打ち負かす!?
Quick side-by-side comparison of Zoom vs WebRTC performance in an environment with simulated congestion. Left: Zoom. Right: WebRTC via Jitsi Meet.


おお。ベルフェイスが採用したwebRTCが、独自アプリのZoomに勝っている!!

このようなテストは常に偏りがあるし、Zoomも日々進化しているので断定的なことは言えないが、安定性においても十二分に戦えているのは確かだ。
Google一強が進む中、WebRTC対応のChromeブラウザも比例してシェアを拡大し、Flash終了の流れで対応ブラウザも増え、そのうちスマホにも対応するだろう。つまり、

我々は単体でZoomに戦いを挑んでいるわけではない。Googleとグローバルが担いでいる技術に乗っかったのだ。

寄らば大樹の陰。長いものには巻かれておいた方がいい。
いくら100億調達して独自技術を誇るZoomでも、Googleの預金に比べればミトコンドリアだ (半分負け惜しみ)。更に、ネット速度は年々速くなっていくので、強みが「安定性」一本のZoomは辛くなるだろう。
ベンチャーの鉄則は  "成長するマーケットで勝負すること"  だが、技術の選定にも同じことが言えるのだ。

2つ目  『用途特化』

忘れてはならない。ベルフェイスの絶対的な強みは、セールスに (BtoB) 特化していることだ。

だから多拠点型リリース時にも、これまで磨いてきたプレゼンテーション・資料DL・共有メモなどセールスに特化した機能を実装した。マイクやスピーカーなどの『設定』をわかりやすくメニュー表示するなども配慮した。

これらは序の口で、ベルフェイスがやるからにはこれからもあっと驚くようなセールス機能や安定性を追求していく。どこまでいっても、営業マンが対顧客に対して使う = セールスに特化しているというポジションは強い。実用的で革新的なアイデアがいくらでも湧いてくる。

特化したということは、"それ以外を捨てた" ということだ。

少なくともその一点において、ウェブ会議全般を謳うサービスに負けるわけにはいかない。

これからのベルフェイスにもご期待いただきたい。

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