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初めてのミュージカルで心を奪われた話

この記事はブログで書きたかったのですが、私のとても大切なお話なのでnoteで1番に書くことにしました。

私がミュージカルを初めて観て、ものすごく衝撃を受けた時のお話です。


母が贈るこども劇場

私の住んでいた田舎町には小学校が3校、中学校が2校しかありませんでした。

毎年秋になると、PTA主催の

「母が贈るこども劇場」

というものが開催されます。

全小学校の3年~6年生の生徒と、全中学校の生徒が町の会館に集まり、東京から招いた劇団のお芝居を観るという大きな行事です。 

人生初のミュージカル

小学校3年生の頃。

「母が贈るこども劇場」を観るため、町中の生徒や先生が町民会館に集まっていました。

私は出席番号が後ろの方だったにも関わらず、なぜか最前列で観劇をすることになったのです。

ステージとの距離がとても近かったのですが、私は1番前は恥ずかしくて落ち着かないと思っていました。

そんな心境の中、人生初のミュージカルが始まります。

チキチキバンバン

東京から来られた劇団名は覚えていませんが、作品は今でもしっかり覚えています。

ミュージカルの「チキチキバンバン」です。

ストーリーは覚えていませんが、歌ならサビだけ歌えます。

陽気な音楽で歌い演技する役者さんを目の前にして、夢中で観ていた私。
ある瞬間にハッとしました。

女性が男性を演じている!

今までずっと男性だと思っていた役者さんが、私の目の前に来た時に女性だったことに気付きます。

女の人が男の人の役を演じるんだ!

私はものすごく衝撃を受けました。

当時の私は女の子なのに髪の毛を伸ばすことを親から許されず、男の子に間違われるたびに嫌な思いをしていました。

自ら男性になっていることと、全然気が付かなかったことで小学生ながらに

何かすごいなぁ!

と思っていました。

役者さんの額を流れ落ちる汗

役者さんの顔にくぎづけになっていると、さらにあることに気付きます。

額から汗が流れ、頬を伝っているのがはっきり見えたのです。

あの人、汗をかいてる!そんなに一生懸命やってるんだ

最前列だからこそ見えた流れる汗。

汗をかくほどお芝居をするなんて、小学生の私には信じられない未知の世界でした。

自分も体育の時間には運動して汗をかくけれど、それと同じくらい大変なんだと伝わってきました。

役者さんが涼しげに演じているように見えたので、尚更衝撃を受けたのだと思います。

新しい発見をするたびに、お芝居にくぎづけになりました。

更なる衝撃的な出来事

夢中になっていた私に、パニックになるような出来事が起こります。

劇中で男性達が、悪党らしき人物を探すというシーンがありました。

みんなが必死に探している中、1人の男性がキョロキョロしながらステージから降りてきます。

え、何かこっち来た。

と思った瞬間、その男性は私の腕をガシッと掴み

「いたぞー!おまえだな!!」

と言ったのです。

きっと客席からは笑いが起こっていたのでしょうが、私は一瞬の出来事に衝撃を受けすぎて呆気にとられていました。

違いますとも言えず、たぶん笑って返すこともできず、全身に衝撃を受けたような気分でした。

きっと人生で初めて鳥肌が立った日はあの日だと思います。

体に電流が走ったような不思議な感覚でした。

その役者さんは、

「あっ、間違えました!すみませーん」

と笑いを誘いながらステージに戻って行きました。

新しい世界

新しい世界を知り、私はまた観たい!と思うようになりました。

毎年秋に行われていたこども劇場は、町民会館での演劇だけではありませんでした。

学校の体育館全体を舞台のセットにしたお芝居や、時には演劇ではなく落語だったということもあります。

他の年の作品では1階後方の席になったのですが、後ろの入場扉から突然役者さんが現れるという演出もありました。

その瞬間もびっくりしたと同時に心の底から

こういうの楽しい!!

とワクワクしたことを覚えています。

本物の水を使った演技

また別の年には「奇跡の人」が上演され、その時も私は最前列でした。

井戸の水を使い

「ウォーター!!」

と教えるあの有名なシーンでは、実際に水が使われておりそのリアルなお芝居に感動しました。

私の隣に座っていた女子は小声で

「つめてぇ!」

と文句を言っていましたが、私は水が自分にかかったことすら嬉しく思っていました。

お芝居の一部分に自分が触れたような気持ちになれたのかもしれません。

観劇の楽しさ

私は大人になってからミュージカルを観に行くようになりました。

理由は好きなアイドルがミュージカル中心に活躍していたから。
そして、小学生の時の感動が忘れられなかったからです。

大人になってからの観劇は、子供の頃に感じた衝撃とはまた違う感情を味わえました。

それでも作品やお芝居を観て、楽しい!と思う気持ちはあの頃と一緒です。

あの時演劇やお芝居と触れ合うきっかけを作ってくださった学校の方々、ありがとうございました。

大人になってこんなに観劇を楽しめるようになるなんて、当時の私は想像もしていなかったでしょう。

これからもたくさんの方々が演劇に触れられたらいいなと思います。

まだ生のお芝居を観たことのない人が、ちょっとしたきっかけでも観劇に興味を持ってくれたら嬉しいです。

大変な時代ですが、私自身もまたお芝居を楽しめる日が戻ってきますように。

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