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私の仕事と「福祉」

私は現在、名古屋市中川福祉会館の館長という立場で、高齢者福祉の一翼を担う者として、微力ながらお手伝いさせていただいている。「福祉会館」で、私が具体的に何をしているかは、後日詳細を書くつもりだが、「福祉会館」は「介護施設ではない」ということだけは、先にご紹介させていただくことにする。

1.「福祉」とは?

で、今回、私の職業に関する記事を書くにあたって、どうしても書かなければいけないことがある。それは「福祉」とは、どういう意味なのか?ということである。ちなみに、いろいろ調べてみたものの中から、私なりにまとめてみると、

【福祉】とは 
しあわせ。幸福。特に、(公的扶助による)生活の安定や充足。また、人々の幸福で安定した生活を公的に達成しようとすること。

ということになってしまうのだが、きっと、これを読んでいる皆さんの多くが「???」と感じているのだろうなあ、と思う。なぜなら、書いている私がピンと来ないのだから。

例えば、仕事で疲れて帰ってきて、ビールをジョッキで一杯クーッと飲んだ後、私はささやかながらも幸せを感じる。そのとき、「あー、幸せだなあ」とつぶやくことはあるかもしれないが、「あー、福祉だなあ」とつぶやくことはない。

先ほどの定義の後半に「人々の幸福で安定した生活を公的に達成しようとすること」とあるが、「公的に達成」ということは、「公的制度により」幸福で安定した生活を達成するとも言えるから、福祉という言葉は「幸せだ」という形容詞的なものではなく、もっと制度的なものを説明するような言葉ということになる。

2.社会保障

日本国憲法では、国民の義務として、「納税」「勤労」「子どもに教育を受けさせる」と定めている。国民の皆様に、しっかりと「働いて」いただいて「納税」していただかないと、国家は困るわけだ。

しかし、その国民の皆様が、「働けなくなった」場合は、稼げなくなるために「納税」もできなくなる。なので、働けなくなった人を国家が制度として手助けすれば、また働けるようになったときに「納税」してくれるのだから放っておくよりは賢いやり方だ。これを私流で言う「社会保障」ということにする。

ちなみに、一般的に「社会保障」とは、「広く国民に健やかで安心できる生活を保障すること」となるのだが、具体的には、

①社会保険:年金/医療/労災/雇用/介護
(一般所得階層に対する施策)

②社会福祉:老人福祉/障害者福祉/児童福祉/その他
社会的弱者/低所得者層に対する施策)

③公的扶助:生活保護        
(貧困者層に対する施策)

といった施策により健やかで安心できる生活を保障することとなろうか。
そうすると、「福祉」という言葉は、「社会福祉」という複合語となることによって、「社会的弱者とされる人々を、公的な施策で保障していくこと」という意味になり、少しだけ理解が進むような気がするのだが、それでもまだまだ「???」であると思う。

3.弱者って?

「弱者」という言葉は、文字通り、「弱い者」であるから、対して「強い者」が存在することになるが、この関係性により、強弱の差、つまり格差が生じてしまうのは自然なことだと思う。自然なことではあるが、「弱者」と呼ぶ側の人たちは、もしかしたら「弱者」と呼ばれる側の人たちを、意識的に「下」に見てはいないだろうか?

「弱者救済」という言葉もそうだ。「弱者」と呼ぶ側の人たちは、もしかしたら「弱者」と呼ばれる側の人たちを、意識的に「下」に見て「救済してあげる」と、押し付けていないだろうか?

【社会的弱者】
雇用・就学の機会や人種・宗教・国籍・性別の違い、あるいは疾患などによって、所得・身体能力・発言力などが制限され、社会的に不利な立場にある人。高齢者・障害者・児童・女性・失業者・少数民族・難民・貧困層などが社会的弱者となり得る。
※デジタル大辞泉より引用

きっと、ここで定義されている「社会的弱者」の人たちに対して、今の福祉職の人たちを見ていると、「本当に手を差し伸べてお手伝いをする」人たちと、「自身の自己満足のために弱者の人たちに手を差し伸べる行為を利用する」人たちに分かれているような気がする。後者のパターンの人たちは、自分が満足することが目的なのだ。そして、この後者のパターンの人たちは、残念なことに結構いらっしゃる。

しかも、後者のパターンの人たちは、なかなか見分けにくい。関わりだした初めのうちは積極的に「福祉の心」で携わっているように見えるので、大変感動し、尊敬してしまう。そして、心を許していくうちに、だんだんと「化けの皮が剥がれる」というか、「あ、この人は【自分のために】こうした活動をされているのだなあ。」と気付く瞬間に出くわすのだが、その瞬間は私にとって、とても悲しい。「福祉」に携わったり、「ボランティア」をしていることが、(その人にとっては)他者にアピールするためのステイタスとなるのだ。

4.思いやり+支え合い = みんな幸せ

という公式が成り立てば、理想だ。私流の「福祉とは」である。

困っている人を「思いやり」、手を差し伸べて「支え合う」ことがまず優先し、それで困っている人が笑顔になることで「自分が満たされる」。「他者→自分満足→双方幸せ」という流れを業務とするのが、福祉職の心得だと私は思っている。

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