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2019年関西教育ICT展:パネルディスカッション「ICT活用、はじめの一歩と次の一歩」を振り返って、今の1人1台端末の活用のヒントを得る。

 3年前の2019年度(令和元年度)のことを遡っての投稿となる。
 2019年8月に行われた関西教育ICT展にて、パネルディスカッション「ICT活用、はじめの一歩と次の一歩」のパネラーとして登壇してきた時のことを紹介する。

 自分自身のタブレットを活用した授業に取り組み始めたのは、遡ること10年前の2012年度(平成24年度)。青山学院大学の先生とのつながりで、学生が使っていた初代iPad9台をお借りして実践を開始した。3~4人のグループに1台の環境だった。その後、iPadminiを21台追加でお借りすることができ、2人に1台環境まで実現することができた。
 そして、大学院時代(2019年度)では、(株)LoiLo社の公募が通り、iPad40台をお借りし、1人1台の環境を実現することができた。

 発表では、これまでの環境の変遷をたどりながら、グループで1台環境での成果と課題を見据え、1人1台環境でも同じ轍を踏まないようにしたことや、1人1台端末になってできるようになったことを、具体的な実践例をもとに伝え、今後のICT活用の方向性を伝える内容とした。

<グループで1台の環境での成果と課題(平成24年度~27年度)>
1 ドリル(習熟)の活用
 1人がやっているときに、周りは見守ったり、時々アドバイスしたりの活用(授業が始まって最初の5~7分程度、または朝学の時間)。
 意欲を高めることには効果があったが、タブレットをグループで共有してしまうため、学習履歴を蓄積することができなかった。楽しいが、学習効果はあまりないと感じた。

2 資料としての活用
 グループ内で発表する際、画像をピンチインアウトしながら紹介することができた。言葉に合わせて、どう画像を見せたらよいのか、表現力を高めるのに一定の効果を感じた。国語科におけるメディア表現の可能性を感じた。

3 見える化での活用
 普段、見えない自分の姿を振り返ることができた。体育の授業での活用がメインとなったが、記録映像を撮りためても、どうその映像を生かすかが課題となった。これは今でも通じるものがある。

4 まとめ・表現での活用
 調べて、まとめて、発表する活動の中で、自分の考えをタブレット上に表現し、考えを見える化することができた。それにより、対話が活性化された。また、デジタル表現のよさである繰り返し、修正改善でき、ブラッシュアップに役立った。
 一方で、グループでの活用になると、1人1人の考えがどこに生かされているかが見えにくいし、能力によっては、活動に関わらない児童生徒も出てくる可能性が大いにある。

<1人1台タブレット環境でできるようになったこと>
1 情報の収集、学習履歴をためておくこと

 児童が自分の専用タブレットを常に使えるようになったことで、児童が、必要な情報をタブレットにためておいたり、ブックマークを残したりしておくことができるようになった。これにより、タブレットを自分の知識の貯金箱として活用する意識が芽生えた。

2 整理・分析での活用
 デジタル上の画面を操作しながら「あーでもない、こーでもない」とつぶやきながら、シンキングツールを使って、情報を整理分析することができるようになった。これまでは、周りの意見も聞きながらだったので、自分でじっくり考える時間がなかった。1人1台になって、自分だけで没頭する時間(児童の主体的な学習、個別最適な学び)ができるようになったのである。
 また、デジタル上で1人1人の考えが見える化することにより、これまでは、児童の思考を追うことができなかったが、タブレット1人1台環境は、思考・判断・表現力を評価する環境に適していると言える。しかし、教師が評価する情報が膨大化する恐れがあることから、今後は、見える化した考えをテキストマイニングなど、AIが自動的に集約して分析する仕組みのさらなる技術向上を願いたい。

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