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泣きたい時に読む小説「CALAMITY」vol.7


前回のお話 ↓


その頃、雪奈の兄である真人は10歳になっていた。

そして、妹の運命について大人たちの会話をつぶさに聞いてしまったのだ。

真人はショックが大きいものの、兄としてできることを考え行動しようと、毎日必死に妹を楽しませた。

ある日の事。

雪奈は家族とリビングで夕飯を食べていた。

その時であった。

突然、雪奈の身体がゆれ動き、その口から思いもよらない言葉が発せられたのだ。

「この地に真人がいるがために、大きな災いが訪れるであろう」

その声は雪奈の声ではなかった。声は低く、まるで老婆のようだった。

両親は悟った、これは神の信託なのだと。

真人は自分が厄災を招くことを知らされ、10歳ながらにも動揺が隠せないでいる。

信託を告げた雪奈はそのまま気を失った。

その後、我に返った雪奈を、両親は不安そうな表情で見守っていた。

翌日、家族4人で神社を訪れた。昨晩の信託を宮司に相談するためだ。

母親は真人と雪奈の手をぎゅっと握りしめ、二人が神社の鳥居をくぐるとき、ちょっとした躊躇が見え隠れする。

宮司のもとへ向かう石段を上る足取りはいつもよりも重たく、何度も足を止め、来た道を振り返る。

父親は真顔で先頭を切って歩みを進めるが、その手に力がこもっている。

時おり神社の木々や石像を見るが、実際には目の前の景色はぼんやりとしていたのであろう。

真人は両親の様子の変化に気づき、訝しげな表情で二人を交互に見比べている。

しかし大人の複雑な心情までは理解できず、ただ漠然とした不安感に捉われていた。

そんな家族と対照的に、雪奈だけがいつも通りの明るい笑顔を湛え、鳥居の影絵を楽しそうに眺めたり、参道で見つけた蝶を追いかけたりしている。

宮司のもとへ着くと、真人と雪奈は奥の座敷に通され、両親だけが宮司と話すことになった。

宮司は真剣な表情で二人の前に正座し、ゆっくりとした口調で神託の内容を確認した。

そして宮司が口を開く。

「この神社に代々伝わる秘術があります」

「その秘術を使い、真人くんの記憶を完全に消し去ることがでいます」

「これまでの記憶があってはかわいそうでしょう。せめてもの償いです」と説明した。

両親は何を言われているのかが分からなかった。

真人をどうしろというのだろう。そういう思いでいっぱいだった。

しかし、冷酷にも宮司は話を続けた。

「記憶消去後の真人くんを預ける孤児院についても、私どもで手配をしましょう」

「知人が院長を務める孤児院が遠方にあります」

「真人くんの世話はそちらで最後まで面倒を見ます」と伝えた。

やっと話を飲み込めた父親であったが、その顔をしかめ

「本当に真人を手放すしかないのか」と聞く。

宮司は「この神託を軽視することはできません」とだけ答えた。

父親は思い悩んだ末、子供の幸せのために苦渋の決断を下すのだった。

母親は声を詰まらせながら必死に涙をこらえていたが、ついに感情を抑えきれず泣き崩れてしまう。

父親は母親を抱きしめ、必ず真人と再会できると宥めた。

そして、妹である雪奈の記憶もまた、真人と共に消し去ることになったのだ。

神社の奥にある部屋へと家族4人は通され、宮司が小さいけれどしっかりとした火を焚いた。

その炎を背に真人と雪奈が正面の座に腰を下ろし、両親はその隣で祈るように二人を見つめる。

宮司が力強く玉串を振りかざし、普段より少し低い声で祝詞を捧げ始める。

少し時間が経過すると、真人と雪奈の意識が遠のいていく。

宮司の祝詞が耳元で反響し、炎が視界のすべてを占める。



泣きたい時に読む小説「CALAMITY」vol.8
第5章 家族 へ続く…

続きは ↓


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