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泣きたい時に読む小説「CALAMITY」vol.8


前回のお話 ↓


第5章 家族


すると雪奈の父親が口を開いた。

「真人くん、ひとつ昔話を聞いてくれないか」

父親は静かに語り始めた。神託によって俺が家族から引き離され、記憶を消されたこと。

そして現在、間もなくこの世を去ろうとしている妹である雪奈のこと。

話を聞く内に俺の表情が曇り、眉根にシワがよった。

そして物思いに耽るようにし、父親の顔を見つめ返していた。

「...じゃあ、俺はもともとここの家族だったと」

「そして、雪奈が俺の妹だと」

ずっと探していた。ただひたすら、それだけが俺を突き動かしていた。

俺は笑い出しそうだった。

「ふっ...」

やっと妹を見つけ、本当の両親にまで会えたというのに、この有様はなんだ。

妹はもういなくなる?そんな話があってたまるか。

俺は拳を握り締め、自分の足に振り下ろす。

絶対にそんなのは認めない。

「認めてたまるか...」

声を潜めてそうつぶやく俺。その瞳には複雑な思いが宿っている。

すると父親は箪笥の奥から小さな紙切れを一枚取り出した。

そして俺に手渡す。俺は視線を落とし、その紙切れに目をやる。


ノ義


そこにははっきりと、そう書かれていた。

それを見た瞬間、俺は思わず大声を上げる。

「な、なんであなたがこれをっ!」

これは間違いなく図書館で見た古文書の一部だ。

図書館の古文書からは「人化」しか読み取ることができなかった。

しかし、この紙切れにはその続きが書いてあった。


人化ノ義


頭の中が真っ白になる。こんなものが、どうしてこの家の箪笥にあるんだ。

胸の鼓動が早鐘のように高鳴る。

でも、そんなことはどうでもいい。

これで雪奈を救うことができる。



泣きたい時に読む小説「CALAMITY」vol.9 へ続く…

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