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日本最南端と北極圏に呼ばれた話
日々忙しく過ごしていると、自分の中の声が聞こえなくなることがある。他人からの期待に応えて続けていると、自分の中の声に耳を塞いでしまうことがある。
日本有人島最南端の沖縄・波照間島
石垣島から高速船で一時間。けっして広くはない土地に少しのゲストハウスと飲食店。さとうきび畑と製糖工場。数百人の島民とヤギ。素朴な原風景をそのままに残す波照間島。
三年前に行ったきり、すっかり虜になってしまった。初めて行ったのは10月の終わり頃、会社の夏休みを消化するために長い休みをとったとき。
それまでまともな一人旅をしたことがなかったけれど、Google画像検索で見つけた波照間島の空と海の画像に心を惹かれて、気がついたら宿と飛行機のチケットを取っていた記憶がある。
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初めて波照間島に降り立った時、迎えに来てくれていたゲストハウスのおばあに言われて印象的だった言葉がある。
「お兄ちゃん、波照間に呼ばれてよかったねぇ」
島が呼ぶことは物理的にはないのだけど、波照間島に行く船は欠航が多く、無事に島にたどり着けたという意味で「呼ばれる」という表現になっているのだと思う。(実際7回トライして、7回来れず、8回目でようやくこれたという人にも会ったことがある。)
ただ、体感的には「呼ばれる」ことは実際にあると信じている。
その景色や風景に心が惹かれてしまい、頭から離れないとき。なんとなくそこに行ったほうがいいんだろなと感じてしまうとき。気づいたら行って何をするか考えてしまうとき。
そんなときは大抵、偶然ばたついていた仕事が無事に終わったり、たまたま休みが取れてしまったり。もはや「呼ばれている」としか思えないような状況が極稀にある。
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波照間で見た空と海の青は、自分の人生の中で最も綺麗な色の一つ。
運命としか思えない出会いは、宝物のような風景のプレゼントをくれることがある。
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なぜだかわからないけど、行かなきゃいけない。そればかり考えてしまい、頭から離れない。体調を崩したとき、何かを求めてアラスカに向かったときもまさにそうだった。
THE LAST FRONTIER アメリカ・アラスカ州
あの頃、ぼくの頭の中は確かにアラスカのことでいっぱいでした。まるで熱病にうかされたかのようにアラスカに行くことしか考えていませんでした。磁石も見つからなければ、地図もないのに、とにかく船出をしなければならなかったのです。
旅をする木|星野道夫
星野さんの本を読んで、いてもたってもいられなくて、「旅をする木」の文庫本を握りしめて、片道24時間かけてアラスカに向かったことがある。
極北の地での二週間の一人旅。マイナス20度の環境はもちろん初めてだったから、必死に本やネットで装備を調べて、バック一つに詰め込んだ記憶がある。
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オーロラを見る以外には何をしていたわけでもなく、ただアラスカで生活をしていた。地元のスーパーで買い物をして、ローカルバスを乗り継ぎ、airbnbで借りたフェアバンクスのロッジで自炊しながら生活をしていた。
毎夜毎夜オーロラを探していて、微かに見える日があっても、決定的なオーロラを見れない日が続いていた旅の終盤。もっと北まで行こうと思い、現地のガイドを頼み、フェアバンクスの北の端まで向かった。
ガイドの人の家でオーロラを待ちながら、色々な話した。証券会社で働くうちにやりたいことがわからなくなって、北極圏をカヌーで一人旅した話。ガイドの人の奥様も星野道夫さんがすきな話。二人で旅をした話。
そんな話がひと段落していたとき、空の様子を見に行ったガイドの人が興奮気味に戻ってきた。
「きた!これはすごいぞ!この冬一番かもしれない!」
自分も慌てて外に出た。
凍りそうな空気な中、見上げて目に入ってきたオーロラは、想像を遥かに超える規模で。テレビや画像で見るオーロラとはまるで違う。命があるかのようにうごめき、生々しいくらい鮮烈で、自分が見える空のすべてを埋め尽くしていた。
30分以上続いたオーロラ爆発は時間をかけてゆっくりと落ち着いていった。その間寒さも忘れて、写真を撮りながら、ずっと空を見ていた。
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ただ呼ばれた方に進んでみる勇気
意味もなく、ただ向かいたい方向に進む。目的もなく、呼ばれたような気がする方向に進む。ときには逃げるように、ここではないどこかに向かう。
長い人生には、一見無駄に思われるような時間と行動が必要なんだと思う。
その中で出会った景色や人は、確実に自分の人生の中に種を落として、時間と経験を糧に成長していく。然るべきときに、芽を出し、花を咲かせ、自分の新しい可能性に気づかせてくれる。
先を見通して点をつなぐことはできない。振り返ってつなぐことしかできない。だから将来何らかの形で点がつながると信じることだ。何かを信じ続けることだ。直感、運命、人生、カルマ、その他何でも。この手法が私を裏切ったことは一度もなく、そして私の人生に大きな違いをもたらした。
スティーブ・ジョブス|2005年 スタンフォード大学卒業式スピーチ
そうした出会いは、いつも小さく自分の中からのささやき声から始まっていて。
「あっちに行ってみようよ」
「こっちの方が面白そうだよ」
「わくわくする気がする」
そんな子どもみたいな純粋な声がきこえてきたらを静かに耳を澄ませてほしい。勇気を出して一度くらいはその声に従ってみてほしい。
きっと想像もしないようなおもしろい冒険に出会えるはずだから。
何より大事なのは、自分の心と直感に従う勇気を持つことです。あなた方の心や直感は、自分が本当は何をしたいのかもう知っているはず。ほかのことは二の次で構わないのです。
スティーブ・ジョブス|2005年 スタンフォード大学卒業式スピーチ
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波照間で出会った青の景色も、アラスカで見た地球規模の風景も、目を閉じればすぐに思い出せる。
心に残る風景というのは、いつまでも自分の中に残り続けてくれて、いつでもどこでも自分を勇気づけてくれる。
これからのこの美しい景色たちとともに日常を過ごしていきたいと思う。
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TOP画像は、波照間島のニシ浜。ここのビーチでオリオンビールを飲む時間は至福。
2枚目は、波照間で買ったポストカード。波照間から葉書を出すと日本最南端にある郵便局の消印を押してもらえる。
3-5枚目も、波照間島。長くまっすぐな道が絵になる。
6枚目は、アラスカの車のナンバープレート。THE LAST FRONTIERの文字が冒険心をくすぐる。
7-9枚目は、フェアバンクスで見たオーロラ。目に入る空すべてにオーロラが広がってゆくのは圧巻。写真の何倍も美しい。
【note更新】
— ひらやま@cotree/グロースハッカー (@kaz_hirayama) March 16, 2019
"意味もなく、ただ向かいたい方向に進む。目的もなく、呼ばれたような気がする方向に進む。ときには逃げるように。長い人生には、一見無駄に思われるような時間と行動が必要なんだと思う。"
日本最南端と北極圏に呼ばれた話|ひらやま / cotree @kaz_hirayama https://t.co/lcCUw41OrB
最後まで読んでいただきありがとうございます。