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デュラスか、隼雄か

特別に思い入れ深い本が、二冊あります。無人島に一冊だけ持っていけるとしたら、どっちにする?

私は、デュラスにするか、隼雄にするか、の二択で迷っています。

その二冊は、こちら。

河合隼雄さんの「ユング心理学入門」。

マルグリット・デュラスの「愛人/ラマン」。 

「ユング心理学入門」は河合隼雄さんの著書のなかで一番よく読んだ本です。

1967 年初版のロングセラーで、私のは1993年42刷。表紙のカバーが擦り切れてしまって、はずしました。

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一年に数回、必ず読み返していました。読むたびに新しい発見がありました。

河合隼雄さんは影響を受けた人の一人です。ミーハーみたいに河合隼雄さんの追っかけをやってたこともあります。

河合隼雄さんの思い出です。

私は1990年代は京都の住人でしたが、そのころ京都には河合隼雄さんが居られて、ユング心理学の講座を京都市内で無料でやってました。講演会があるたびに出かけましたが、ユーモアがあって分かりやすい語り口で会場を沸かせていました。すごい人気でした。

本の執筆、講演会をはじめ、フルートの演奏会までやってくれました。本業のユング心理学は無料でしたけど、趣味のフルートはなぜか有料でした(笑)会場がホテルだったからかもしれませんね。御所の向かいのブライトンホテルでした。

そのころの河合隼雄さんは、京都大学教育学部教授から京都国際日本文化研究センターの所長になられて、エラい先生でしたけど、市民への露出度は高かったです。

京都には河合隼雄さんが居たから、楽しかったですねえ。

今振り返れば、河合隼雄さんにリアルで会えて、恵まれていたと思います。


マルグリット・デュラスの「愛人/ラマン」も、よく読んだ本です。

メコン川の渡し船のくだりなんか、映像が浮かんできます。ドラマチックで非日常、なところが好きです。熱帯、ていうのもキーワードかもしれません。

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熱帯といえば、山田詠美の「熱帯安楽椅子」も好きな小説です。

山田詠美さんの小説、エッセイ、「熱血ポンちゃん」シリーズ、ぜんぶ読みました。著作すべてを読んだ作家は、山田詠美さんだけです。

山田詠美さんの文体は、重量感があってたまりません。

冒頭の文章なんか、そらで言えます。

スプーンは私をかわいがるのがうまい。ただし、私のからだを、であって、こころでは決してない。「ベッドタイムアイズ」

あのときの思い出話をしてみようか。あの、二人にとって決して幸せだったといえない出会いの夜を。「チューインガム」

私を見えざるものとして扱わないでほしい。私には意思もあるし感情もある。おまけに信じ難いことだろが、自尊心もある。「アニマル・ロジック」

まず、手始めに男の顔に唾を吐いた。そして、それを取りまくすべてのものへ。「熱帯安楽椅子」


あ、話が逸れてしまいました。

すいません、雑談になっしまいました。

でも、無人島へ持って行くなら、「熱帯安楽椅子」より「愛人/ラマン」がいいな。


河合隼雄さんの「ユング心理学入門」か、マルグリット・デュラスの「愛人/ラマン」か。

迷います。



 

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