Kaya

つまりは日記です。

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最近の記事

苛烈な「好き」を抱えて生きることのこわさとは

強烈に何かを好きでいることというのは、その存在のきらめきに釘付けられて自分の目を刺されるような感覚で、そのことを端的に「恋は盲目」という。 何かを好きになる瞬間は人生においてかなり美しい瞬間ではないだろうか。からだに電流が走るみたいに自分が対象を「好き」だと自覚して、坂を転がり落ちるように夢中になる。 その瞬間に孤独ってなくなるような気がする。あくまでなくなるような「気がする」だけなのだけれど。 魅せられてその場から動けない、動きたくないような。もの、ひと、なんでもいい

    • 2024.6- 一時帰国

      イギリスから一時帰国した。 なぜかいま、福井にいる。そしてこれから帰る、東京に。なんで?? わたしもよくわからない。いろいろあって。 そんなこんなで新幹線の窓側の席、絶望をとろとろになるまで煮詰めたような顔をしているのがわたしで、 ねえ、新幹線って思ったより速い。 (「席、替わってもらっていいですか、窓側と」 「大丈夫ですよ」 「ありがとうございます」 「前、すみません」 「ありがとうございます」 「失礼します、ありがとうございます」) 新幹線の窓に映るのは、久々に髪を

      • 4.27-4.28 きっとさみしさから解脱する方法は、自分が自分を必要とすることだと思う

        4.27 留学中に感じたことを記録したい、でも毎日日記を書くのは絶対に無理、ということで日記の代わりにプレイリストを作って、大まかな感情の記録としている。 まったく脈絡も連関もないようで、大きな流れの中にある曲たち。およそ150曲にもなったプレイリストをランダム再生していたら、口ロロのtokyoという曲が流れてきた。この曲はすこし前に東京の空気が恋しくなって選んだ、好きな曲。高校生のときに好きだったラジオ番組のテーマ曲で、毎日聴いていた。この曲を聴くと当時のことを思い出す。

        • 3.21-ただの堕落

          昨日遅く寝たせいで9時40分に来た父の電話で目が覚めた。送金したよ、との有難い電話だった。半分寝たままでありがとう、と言ってちょっと会話して(「今起きたの、遅くない?」「ごめん」)ふたたびまどろむ。睡眠時間が明らかに足りていないとよく分からないまどろみの時間を過ごしてしまう。 遅く起きることが多いくせに、遅く起きるのが嫌いだ。なんだか悪いことをしたような気になるから。今日は断食3日目。昨日まで全く空腹を感じなかったのに、今日になって急に耐え難い空腹感に襲われて、まどろみを中

        苛烈な「好き」を抱えて生きることのこわさとは

          3/7 相互扶助とツチノコ

          study spaceから見える景色が綺麗だった。なんもない。空が広いね。 今日は気分がいい。そんな日だってある。友人が、会ってひとしきり話した後にloserという曲のリンクを送ってきた。いい曲だね、と感想を送ったら、私たちは負け犬とまではいかないけどみんな弱いから助け合っていかないとダメなのよ、と返信が来た。loserは日本語訳では負け犬。そうだね、ありがとう。 専門分野より相互扶助の重要性を学ぶことが多い。友情は相互扶助、女子会というよりは互助会。留学はどうやって知ら

          3/7 相互扶助とツチノコ

          2023.12.4-きょうのはなし

          わたしはいま、イギリスにいる。イギリスという国に来るまで知らなかったのだけれど、ここは日本に比べてずいぶんと涼しい。秋がない、と日本ではよく言われるけれど、それに比べたらイギリスは9月のなかごろにわたしが到着してからつい最近まで、ずっと秋だった。暑いなと感じるとすればそれは、室内の暖房のきつさによるものだったりする。寒いと気分がすっきりするから、わたしは寒い方がすき。 ずっと秋だったイギリスが、冬になった。季節は行きつ戻りつして変わっていくものだと思っていたら、そうではなく

          2023.12.4-きょうのはなし

          2022. 8-

          にせもののいいね、とわかる、を指さして笑うのは簡単なのだけれど。 よくもなく、わるくもないことのほうが わりと多いこの世の中で、 分かり合えないことの方が圧倒的に多いことにも しょうがないと言えるようになってしまった。 だから笑って誤魔化してしまうひとの多さといったら。私も例外ではない。 ならばどうして、どうやって分かり合うかなんて 話して、砕くことにはもう疲れてしまっている。 ーーー ブルーボトルコーヒーでリエージュワッフルという名前のものを食べる。誰かがおいしい

          「矢野顕子ばかり流すカフェ」

          吉祥寺にある大学に通っていたときのはなし。 そのころのわたしはいつも何かが不安定で、全てがこわくて、でも寂しくて、よるべない気持ちを弄ぶように街を歩いていた。 思春期の終わりかけ、 コーヒーの愉しみに目覚めたのはそんなときだった。 頭で考え、悩んで、悩み疲れてしまったのだろう。五感を使う飲みものに夢中になった。  コーヒーって、おもしろい。 気温、湿度、気分、湯温、誰が淹れたか、あらゆる変数が影響し、同じ豆でもひとつとして同じコーヒーは無い。ひとくち、ひとくちと飲むたびに

          「矢野顕子ばかり流すカフェ」

          「母の香り」

          香りは何よりもそのひとを表す。 そんなことを自然に信じるようになったのは、いつからだろうか。 香水をたくさん持ってるんだよね、と言うと、大抵のひとは、香水のなにが魅力的なの、とか香りものが好きなんだね、など、わたしのことを香りというもの自体にフェチ的な魅力を感じるタイプの人間だと認識する。 それは間違いではない、けれど、正しくもない。 ただ、昔から「自分の香り」を持つ母に憧れがあっただけだ。 母に限らず、香水に限らず香りまでがセットでそのひと、みたいなひとに憧れがある。

          「母の香り」