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【アメリカ・学校ボランティア日記 Vol.1】お昼休みの見守り(Yard Duty)

こんにちは。アメリカ駐在主婦 Kayです。

今週は、アメリカに来てから一番初めに始めた
小学校での「お昼休みの見守り」ボランティア
について、ご紹介したいと思います。


1.お昼休みの見守りボランティアとは?

お昼休みの見守りボランティア
(英語ではYard Dutyといいます。
以下「見守りボランティア」)とは、
昼休み中、こどもたちがランチを食べている間と
ランチ後の遊びの見守りをするボランティアの
ことです。

アメリカでは、昼休みに、
先生は完全にお休み時間になります。
先生が教室を離れる(もしくは教室で休む)
ため、教室には鍵がかけられ、こどもたちは
ランチ休憩約1時間の間は教室に入ることは
できません。

見守りボランティアは、
ランチ中の「お弁当箱の蓋をあけて」
「フォーク忘れた」等のお手伝い、
テーブル周辺で走るこどもたちを注意したり、
ごみを拾ったりします。

校庭での遊び中は、校庭を歩きまわって、
ケガした子のサポート、危険なことやケガに
つながる可能性のある遊びをしているときに
注意をします。

加えて、良い行いや手伝いをしてくれた
こどもに感謝を伝えつつ「チケット(※)」を
渡すこともします。
※私のこどもたちの通う学校では、
良い行いをしたことを認めるチケットがあり、
ボランティアも先生・スタッフもこどもたちの
行動を認めたり、感謝する際に渡します。
チケットにはこどもの名前と教室番号を
かきます。チケットを入れる箱があり、
毎週抽選が行われ、校長先生からちょっとした
賞品がもらえます。

色々ありますが、見守りする中で、
一番大変なことは「こどもたちの仲裁」の
ように感じます。

校庭での遊び中、こどもたちが喧嘩すると
泣いたり怒ったりしながら、
ボランティアのところにやってきます。 
子供たちとしては「相手の子が悪いから
注意してほしい」という思いをもって、
感極まってやってきます。

ボランティアによっては話を聞いて
相手の子を注意をすることもありますし、
私はとりあえず話を聞くことにしています。
双方を呼んできて、お互いの言い分を聞いて、
「私は状況を見ていなかったから、
どちらが事実として正しいのかわからない。
だけれども、あなたの言っていることと、
相手の言っていることはこの点で違うみたい
だけれど、どう思う?」「どうやって、
解決したらよいと思う?」と考えてもらえる
ように、話をしています。
うまく仲直りできることもあれば、
うまくいかないこともありますが、
言いたいことを話すと自己解決して、
また一緒に遊び始めることも多いです。

2.やってみて感じること ~見守りボランティアの良いところ、難しいところ~

見守りボランティアの良い点は、
① 先生がお休み時間が取れるようになること
     (=先生に余裕が生まれる
② こどもたちが「先生以外のコミュニティの
大人に触れる機会を得、色々な考え方の人がいることを知る(=多様性を理解する)」
ことができることにあると感じます。

① 先生がお休み時間が取れる

先生はランチ休憩中、ご飯を食べたり、
授業の準備をしたり、ゆっくりしたり、
思い思いに過ごします。

娘の担任の先生は授業が終わるとすぐに
(15時に)、自分のこどもと一緒に帰宅します。
そのため、授業後すぐに一緒に帰宅できる
よう、お昼休み時間中に、プリントの採点や
明日の授業準備をしているようです。

今まで日本にいたときは、
先生が給食中や休み時間も子どもたちを
見守っているのが当たり前だと感じていました
が、確かに考えてみれば、公務員も会社員も
お昼休憩があるのに、なぜ先生にはお昼休憩が
ないのでしょう?

② こどもたちが先生以外の大人に触れる機会を得られる

ランチ休憩中の喧嘩仲裁についても、
チケットをあげるときも、見守りボランティア
それぞれの常識・判断基準の範囲で、
対応は異なります。

学校のアレルギーに関するルールや
ボランティア誓約書にサインしたこと
(※これについては、また違う機会に書きます)を
外れることはNGですが、
ある程度はボランティア個人の常識範囲で
判断して、こどもたちに対応してよいことに
なっています。

反対に言うと、これが難しい部分にもなります。

私は最初のころ自分で判断ができず、
学校スタッフや他のボランティアに些細なことも
聞いていました。

「学校活動にはルールがあるはず」という
固定的な考え方を持っていたことや
「こどもの学校で誤ったこと=失敗をして
しまうことが怖い」自分がいたことを
反省しています。

今は、世の中色々な大人がいるのだから、
多少間違ったことを言ってしまっても、
こどもにとっての社会経験としてOKとして
問題ないのではないかな?
と思うようになりました。

こどもたちは、
ボランティアの言動や行動から「おかしいな・・・嫌だな」と感じることもあるし、
話しやすいボランティアに「クラスであった
嫌なこと」を話して気持ちがすっきりすることも
ある。それでよいのだと思います。

実際に、私のこどもたちからも
「何も良い行いをしていない自分のこどもの
友達に、チケットをあげているボランティアの人
がいて、アンフェアだと思う。」
と聞いたことがあります。

以前なら「それはひどいね。」と
返していたと思うのですが、
そのときは「確かにアンフェアに思えるかも
しれないね。ただ、そのボランティアの人も
何か考えがあってのことかもしれないし、
見方によってはフェアなのかもしれないよ。
それに、世の中平等じゃないことは色々あるよ。」と話したように思います。

私の考え方も変わってきたようです。

3.日本で取り入れやすいボランティア

ランチ見守りボランティアは、
こどもの学習活動とは直接関係ないため、
日本でも導入しやすいと感じます。

ちなみに、近くの日本語補習校
(通常はアメリカの学校(現地校)に通いながら
土曜日のみ日本の学校と同様の勉強をする学校の
ことです)でも採用されているので、
日本でも十分馴染む可能性があると思います。

難しい部分は、「ボランティアによって
判断や考え方が違うことをOKとできるか?」
という点になるかなと思いますが、
そういうものと保護者も寛容に受け入れ、
判断基準まで細かいマニュアルを作らないように
するのが大切
だと思います。

見守りボランティアは誰でもできるので、
保護者以外にもコミュニティの大人たちが
参加しています。聞いてみた限り、
卒業生の親だったり、ただ、近くに住んでいる
だけだったり、いろいろです。

日本でも、難しい基準等を設定しなければ、
学校近所のおじいちゃんやおばあちゃん、
近くのお店の人や在宅勤務中の会社員等が
お昼休みに気軽に参加できる場になるのでは
ないかなと思います。

コミュニティの人たちが参加する場になると、
コミュニケーションが生まれ、
学校もコミュニティに受け入れられやすくなる
ように感じます。

特に、内外の感覚がはっきりしている日本では、
コミュニティの人たちに「内」として学校が
位置付けられていると、
コミュニティから温かい見守りのまなざしが学校
に向けられていく
ことにつながるのかもしれない
なあと思いました。

今回は、
小学校でのランチの見守りボランティアについて
ご紹介しました。

では、また来週金曜日に。

よい週末を。



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