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ストーリー上の事件を設定するために必要な、3種3段階のツール④ 距離編

物語を描くことは、主人公たちの遭遇する事件を描くことと同義である。
だが、この事件を考えるというのはいつも簡単とは限らない。作者も人間である以上、想像力には限界がある。

そこで役に立つのが、確率・影響・距離の評価軸3種である。

※参考:ストーリー上の事件を設定するために必要な、3種3段階のツール① 概要編
https://note.com/kawausowright/n/n85f94f2b6a3d

距離とは、事件が起こる場所と主人公との距離のことだ。

事件は、当然のことながらどこかの場所で起こる。そしてそれは、主人公と同じ世界での出来事が基本だ。
だから、その距離、どこで起きるのか、ということによって、主人公とのかかわりかたが変わってくる。

・距離:近中遠
・場所:内外


大切なのは、事件は必ず主人公のいる場所との対応で考える、ということだ。
主人公とは、その物語の視点人物ということだから、そこから見て、どこで事件が起こっているのかはっきりさせる。

そのために使えるのが、この「距離」というツールだ。

これを使うことで、主人公の周りでしか事件が起こらなかったり、主人公がかかわることが難しい事件ばかりにったり……という、物語の無理やつまらなさに気づくことができる。

例えば、

ある想い人と恋仲になった主人公。今日はその人と初めて一緒に登校する日だが、あと数時間で地球に隕石が落下することが判明するーー

こういった事件の場合、その距離はどうなるだろうか?
当然のことながら、隕石は地球外からくるので、外で起こる事件だ。
しかし、主人公との距離は「近」である。
なぜなら、主人公と事件との距離というのは、その事件が起きた瞬間、その場所で考えるからである。
隕石が落ちる、というのが事件なのだから、それは地球でのことであり、落ちた結果として確実に主人公の生活、即ち自身の部屋を含めた家など全てが壊れる。

そう考えると、隕石が落ちるというのは、遠くで発生するものの、事件が起こるのは主人公の身近だ。

このように、事件の距離を考えると、事件の本質が見えてくる。
その結果、物語の中で起こる様々な事件の種類や、被りがないか、近すぎたり遠すぎたりして無理が発生していないか、などということを分析できる。

物語上で起こる事件には、主人公との距離がある。
それは事件が、事件化した瞬間、どこで起きているのか、ということだ。
それを近〜遠、内〜外、といった基準で分析していくことで、物語の面白さ、設定の確かさ、主人公の動きなどを、適切に考えていくことが可能となる。

それが、事件のしっかりした、面白い物語に繋がっていく。

●②「確率」編https://note.com/kawausowright/n/n39b270e3fb3b

●③「影響」編
https://note.com/kawausowright/n/ndbf38d906206

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