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メインヒロインの不在の時代の…

メインヒロインがいなくなった。
人によってその定義は様々といえども、ともあれ、メインヒロインという考え方は、既に古いものとなってしまった。

そもそも、ここ数年の「キャラクター」というものは激しくなる需要の変貌に合わせて、目まぐるしくその様相や表現のされ方、扱われ方が変わっていっていた。

ソーシャルゲームの台頭と同時に消費者は、好きなキャラクターを選り好みするという行動が当たり前になり、それは全体的な風潮となった。
なぜならそれらのゲームは、当初、数多くのキャラクター属性を取り揃えることにより、受け手の需要を待つのではなく、積極的にアピールしにいくことを目指したからである。

このことは様々なメディアに影響を与え、すぐに、キャラクターはいかに消費者に気に入られるかという個性の時代へと突入した。
それにつれて、1作品内での「キャラクター格差」を作ることは、少しずつ、意味をなさないものとなっていった。

少なくとも意識の上では、全てのキャラクターは平等である。
これがスタンダードとして唱えられている昨今、メインヒロインは存在しなくなってしまった。
あるいは、それを掲げるようなキャラクターコンテンツは、やや、旗色が悪くなったとも言える。
まるで受けての好みを限定するかのようなやり方に、反発が出ることを恐れるようになったのだった。

そしてまた、メインという枠組みを廃したことにより、力の入れどころを分散できるようになったのも大きい。
様々なキャラクターに対して、できるだけ平等に力を入れ、扱うことが容易になったのである。

そういう意味で、今の時代にメインヒロインはいない。相対的な、優劣をつけるような扱われ方での「メイン」と「サブ」は古い考えとなってしまった。

しかし、依然として、その考え方には伝統と、王道としての力強さがある。
その地位が、受け入れられるか否か、需要があるか否かという考え方によって、また、潮目が変わる時が来るかもしれない。

メインヒロインはその席を開けている。
その代わりに私たちは、自分好みの、様々なキャラクターに出会うことができるのである。

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