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新キャラを登場させるときの心構え

A「あら、新入り?」
B「は、はい! 昨日から働かせてもらってます」
A「ふーん、じゃあアタシの肩もんで」
B「え……?」
A「なに、先輩の言うことが聞けないの?」
A「そんなんじゃ、このお屋敷でやっていけないわよ」
B「だ、大丈夫です! お姉ちゃんに、いつもやってましたし……」
A「ふうん……なかなか、ソシツありそうね……」

「新キャラ」というものがある。
これは文字通り、継続中の物語シリーズに登場する、新しいキャラクターのことだ。
また、必ずしも「物語」というものでなくとも、キャラクターを中心に組み立てているコンテンツにおいては、基本的に検討されるキャラクター群である。

その目的は様々あるが、大抵はそのコンテンツの盛り上がりを継続するとか、新風を入れてコンテンツを目立たせるとかいったものがあげられる。

だが、この「新キャラ」は、出せば必ずコンテンツのためになるものではない
そこにはきちんとした「起用法」と「運用法」がなければならず、そのために創作者が意識すべきこととして、重要なものが1つある。

それは、「新キャラをその世界で生活させてから、登場させる」というものだ。
新キャラというのは、他のキャラクターよりも立場が弱い。
ファンもついておらず、関係性もまだふわふわとして、一体何者かということがわからない。
そんな新キャラに対して、普通、コンテンツの受け手は違和感を覚えるものだ。
職場に新入りが入ってきたようなものである。
そんなとき、普通はその人となりを知ろうとするのではないだろうか。

だから、その新キャラの人となりがきちんと構築されていなければならないのだ。

コンテンツが始まる当初からいたキャラクターは、創作者が長く付き合っていたり、そもそも世界設定が固まりきる前だったりして、ある程度、人となりに融通や調整が利く。
つまり、キャラが固まっていなくても、コンテンツの受け手とともに過ごすことで馴染んでいく機会が与えられているのだ。

しかし、新キャラはそうはいかない。
既に出来上がっているコミュニティや、コンテンツに参入しなければならないのだから、完成品が求められる。
あるいはまた、既存のキャラを押しのけてしまうようなことも許されない。

これは非常に難しいことである。その新キャラに適した登場の仕方や、活躍のさせ方を考えなければならず、その上でコンテンツに馴染んでいなければならない。

そのためにも、新キャラはまず、その登場する世界で生活すべきなのだ。
いきなり物語の中や既存のキャラの前に出してはいけない。
それは準備不足である。

そのような状態で放り出されたキャラクターは、なんだかよくわからない存在になってしまうか、反対に他のキャラクターに気を遣わせて、いい関係性が築けない。

そうなってしまえば、新キャラを投入した意味など失くなってしまう。
だから、新キャラはまず、その世界で生活させよう。
キャラクターには過去があり、人生があり、目的がある。

それをしっかりと、登場させる世界に馴染むのか確かめて初めて、それは「新キャラ」と呼べるのである。


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