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当たり前だけに囲まれて生きられればどれほど良かったか

 人は驚くほど自分の興味のあるものだけ囲まれているものである。つまり人は運命づけられている。ある1つの興味関心にこだわりつづけることを。そして自らの趣味を守り続けることを。
 それこそが保守性であり、変わることや変えることを拒む心である。人はあるものを「こうだ」と思ったらそれを固定したがるものだ。なぜなら、信じているものが信じているままならば、それを信じれば良いだけだからである。自分が1度信じたものを人は認めている。わざわざそうして認めたものの評価を改めて見直すことは大変だし面倒くさいのだ。

 だから、自分の興味のあるものだけに囲まれているというのは、ある種、人が自分でそうしていることになる。
 集める。
 興味関心を注いでいるものを、わざわざ探して集める。
 そうして、好きなものに囲まれて、それを守り続けることに幸せを感じる。
 縄張りだ。生き物としての本能。自らの安住の地を作り上げ、確保することは、人間という種として当然の本能である。

 自分の興味のあるものにだけこだわって、守り続けたいと思うのは動物の、人の当然の心理だ。だが、時にはそこから脱却して、遠くへと旅に出なければならないこともある。安住の地を捨てて、新天地へと開拓していくことが。
 常に、私達は守るばかりでなく、新しいことを探しに行ったり、新しくなっていくことの可能性を心せねばならない。それは突然にやってくるが(新しいのだから当然だ)、しかし、身構えられないわけではない。
 受け入れられるかは別にして、そういうことがいつもあり得るのだと思っておくことは、自分自身の安住の地のためにも良いことである。拒否したり遠ざけたりするのではなく、理解するために。
 知るためにそれをきちんと見ようとすることこそが。

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