過去は取り戻せない。時間がかかるから

 起きたことは取り返しがつかない。しかしどうしたって、私たちはそれを取り返そうとしてしまう。1度起きたことはどうやっても元に戻すことは不可能だ。例えば崩れた積み木を同じように戻すことは、一見簡単そうに見える。しかし、仮に摘み直せたとしても、本当の意味でそれは元に戻せていないのである。
 それは寸分の狂いなく同じように積めないからという意味ではなく、単純な話だ。仮に時間を巻き戻せたとしても、何か、起きてしまったことを同じようなところまで復元することは、そのために時間が失われているからである。それをやることそのものに、なんらかのコストがかかる。絶対に。それが覆されない限りは、そして私たちは到底覆すことができないのだから、起きたことというのは極めて当たり前に、取り戻すことは不可能なのである。

 だから私達がやるのは、躍起になって起きてしまったことをあれこれ弄り回すよりも、少なくとも前を向くことである。もちろん、そのためには必要なだけ、起きてしまったことを見つめ直したり、取り組んでみたりすることもあるだろう。でもそれは、その起きてしまったことそのものをどうにかするためではない。
 できるだけ無駄なく、物事に対処する姿勢というのは豊かさを生む。そして幸せをよぶ。だから割り切るのだ。1つ。起きてしまったことは取り戻せないと。もしくは、取り戻すには時間やコストがかかるのだと。

 そうして、私たちはこの「過去」を正しく見られるようになっていく。

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