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目の前にいる人の言葉をどのくらい信じる?~フライ ミー トゥ ザ ムーン~

 意外とロマンチックな映画だと聞いてはいたけど、予告だとコメディも入ってそうだし、期待は裏切られなかった。

 宇宙飛行士や周りで支える人たちのストーリーが大好き。
 向井万起男さんの書いた「君についていこう」や漫画『宇宙兄弟』に夢中になった。テレビ番組「コズミックフロント」も好きでよく観ていた。
 宇宙飛行士たちの、人との受け答えを含めてすべてを通して優れているところや、逆にすごく偏った技術屋さんたちの探究心の強さや努力が見えるのが好きで。どちらも自分にはない強さや才能、それを生かしての努力、さらにはそこからの個性が見えて、ワクワクする。
 比較的最近だと、映画なら「オデッセイ」がすごく好き。原作「火星の人」も読んだ。
 
 今回も伝わってくる。特に技術者たちの頑張り。ネジ一本の重さまでも計算し、何度も何度も何度もトライしては失敗を重ね、どうにか成功させたい気持ちには好奇心も乗っている。
 ただ本番での失敗は許されない。莫大な予算がかかっているし、何よりも人の命を預かっているからだ。
 技術者たちが、大丈夫の意味での「GO」を次々と言っていき、画面を一斉に、静かに心配そうに見上げるシーンは胸にせまるものがあった。
 作った人々の「成功させなければならない」の思いが凝縮された時間。すがるような思いで見守る。
 人の命が重たいものなのだ。それを皆が思っている。
 
 それと比較される。PRする側の軽さ。

 予算をとるためにポップにしなくちゃならないし、それに群がる私たちと、現場にいる人たちとの意識のちがいに今さらハッとする。そんな気持ちの連続。
 

 そしてこの映画のもっとも大きなテーマ。
 真実とフェイク。信じるか信じないか。


 目の前で話している人の言葉って、どのくらい信じている?
 その人のことを大切な友人だと自分で思っていたら。
 愛している家族だったら。夫婦だったら。
 恋人は? 知り合い程度なら?
 
 警戒心が強い私は、実際に話す時の表情や仕草などに敏感すぎて、人なつこく話している間もずっと壁を振り払えない。壁があるからと言ってうまくいかないときのダメージが少ないわけでもないのだけどね。一つ一つしっかりとショックを正面から受けてしまっているよ。
 それでいて映画とかアニメとかドラマとか観ていると、登場人物への共感力が発揮されてしまって、翻弄され過ぎる。製作者側の思うツボになって振り回されている。
 だからスカーレット・ヨハンソン演じるケリーの言葉にもいちいち振り回されてしまった。
 
 アポロ11号が月面着陸した映像が、いつから「あれは本当なのか」と噂されるようになったのだろう。1970年代の私たちが子供の頃は、まだそんな噂はなかった。
 その噂自体が誰かが仕組んだのではとか、疑い始めるとあれもこれもとキリがなくなる。自分には自分のアンテナでもって情報を見聞きする。
 たとえば最近だとネットニュースを話半分で読んでいる感覚は、どうやって養われたのだろう。昔なら新聞の下の方に出る週刊誌の見出しね。
 
 じゃあ目の前で話している人に対してはどうだろう。どのくらいの気持ちで、どのくらいの冗談で、どのくらいの本気で話しているのかを言葉の端々から、表情の端々から感じているけど、そこに確信はあるだろうか。だまされたくないのは当然だけど、だまされないなんて思わない。だから警戒だってする。

 さらに絞って、自分が愛をもって接している人だとどうだろう。
 その場をとりつくろっているのか、ごまかしているのか。そこを流して良いか、立ち止まった方が良いか。
 そのくらいはわかりたいし、そこを信じられない人はきっと、自分の気持ちをも信じられないんだろうな。

 例えば愛で盲目になるような期間をすっかり過ぎた夫婦は、たくさんのことを流す。大目に見たり、あきらめていたり。会話はお互いの思いが錯綜しながら、でも目の前での言葉をどの程度心からのものか、わかるのもまた信じているからじゃないだろうか。
 
 きっとコールもケリーの言葉を信じている。最終的に信じる。そんなコールだから、ケリーも心動かされたんだ。
 
 「みんなが信じても、ウソはウソ」
 「みんなが信じなくても、真実は真実」
 そんな台詞が心に残る。

 最終的に自分が何を信じるのだろうか。自分が信じているものを信じる。それは自分がよくわかっていれば良い。

 スカーレット・ヨハンソンがとっても楽しそう。そしてチャニング・テイタムが意外と実直な役も合うのねと、微笑ましく観た。どうしても彼が年齢的にはおじさんだとは信じられないおぼこさが「ザ・ロストシティ」でもあったのだけど、スクリーンの中だけみたいだ。あの雰囲気をあえて出せるのは持ち前のものなんだろうな。



 さて次はデップーだ。「デッドプール2」に関しては、noteを始めて1ヵ月くらいで書いた感想が残っていた。未熟ながら気持ちは伝わってくる感想で悪くない。映像としての描写は苦手だけど、ストーリーももちろん音楽も楽しみ。いまだにサントラ聴くもん。今回の「デッドプール&ウルヴァリン」も楽しみ。どのくらい笑わせてもらえるのかな。
 この夏、観たい映画はたくさんあるぞ!


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