【書評】新時代の新しい青春小説~『オルタネート』(加藤シゲアキ)
直木賞候補作品にして本屋大賞ノミネート作品ということで話題を呼んでいる、加藤シゲアキさんの『オルタネート』を読んでみました。
1、内容・あらすじ
舞台となるのは東京の私立円明学園高校。
主要登場人物は3人の高校生。
調理部に所属し、「ワンポーション」という料理コンテストに挑む新見蓉(にいみいるる)。
家庭に恵まれなかったために、高校生限定のマッチングアプリ「オルタネート」で運命の相手を求め続ける伴凪津(ばんなづ)。
地元の高校を中退し、円明学園にいる幼馴染を追いかけて東京に来た楤岡尚志(たらおかなおし)。
それぞれが抱える人生の関門に立ち向かい、挫折し、乗り越えていく青春群像劇です。
2、私の感想
「現役アイドルが書いた小説」という話題が先行していて、最初のうちはどうしてもそういう目で読んでしまいますが、途中からは引き込まれてそんなことを忘れてしまいます。
「ああ、そういえばアイドルが書いているんだった」という感じです。それくらいに上手い。文体も落ち着いていて、するすると読み進めます。
一言で言うと「新しいタイプの青春小説」です。細かい章立ても、個性的な登場人物の名前も、新しい息吹を感じます。
途中から、今は懐かしい「料理の鉄人」のようなものが始まるのですが、これがすごい。興奮します。加藤シゲアキさんは料理の心得があるのでしょうか。非常に細かい料理の描写が続きます。
知識があるのならすごいし、勉強して書いたのならそれもまたすごい。ここに出てくる審査員が非常に憎たらしいのですが、この辺は芸能界での経験が生かされているのかもしれません。
新しさと内容から、色んな賞にノミネートされるのもうなずけます。
3、こんな人にオススメ
・加藤シゲアキさんのファン
これは言わずもがなでしょう。ファンの方はすでに読んでいるのでしょうか。
・現役高校生、大学生
今まで本を読まなかった層がこの作品をきっかけに読書にハマると嬉しいです。
・料理が好きな人
ストーリーのかなりの部分を料理が占めます。料理好きな人はぜひ。同じものを作りたくなるかも。
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