ポケットモンスター 夢/現実
「赤」
本来であれば1メートルも見通せない路地を音を立てないよう、しかし出来る限り早く、彼は歩いていた。
文字通り"爪に火を灯して"。
「ヒトカゲ」と呼ばれる彼の能力は、古いガスコンロのように、体の一部に小さな炎を灯すことが出来る。
これがなかなか便利で、彼の生業では能力無しでは成り立たない程であった。
てっぺんに聳える政府とは名ばかりの、言うならば監視社会となった現代において、バックアップとなる、つまりケツモチの企業があるかないかは大きな違いである。
彼のようなフリーラ