ぽむ

気ままな文字書きもどき。

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最近の記事

思い出

小学校の頃の遊び道具がつまっているダンボールを片付けた。 小学校の頃の私の趣味は工作だった。 マッキー、ポスカ、木工ボンド、自作の工作道具入れ、その中に貼り付けられたお菓子の箱には可愛らしいメモ紙。チョコのケースからはガムのケース。薬局で見た事のあるカエルのキーホルダーは確かお父さんからもらったもの。コクリコ坂からのシャーペンにくつ下にゃんこの消しゴム、ジュエルペットの可愛らしいハンコたち、サンリオショップで買い物をした時に付いてくる可愛らしい小物、私が片付けをする度にや

    • 仕事

      A「なんで!なんでなんだよ!」 B「A……!」 A「兄ちゃんは……兄ちゃんはなんも悪くなんかねぇのによ!!」 B「いいんだよ、俺が……俺が悪かったんだよ」 A「そんな……いいのかよ……!兄ちゃんなんも悪くねぇのによ……自分の仕事、してただけなのによ……非を認めちまったら、おしまいじゃねぇか……!」 B「いいんだ、悪かったんだよ。俺が……俺がフリーセルなんて、しちまったから……」 A「……ほら!兄ちゃんはなんも悪くねぇ!フリーセルしてただけじゃねぇか!兄ちゃんはいつも正直で、俺

      • 溶けるように落ちて

        最近、片想いをしている。お相手はクラスメイトの男の子。前からちょっと気にはなっていた。男の子の友達がかなり少ない私にとって、珍しく交友関係がほどほどにある。ずっと見ていて何故か飽きない。むしろ何だかほわほわとした気持ちになる。そんな、ちょっと、不思議な存在の男の子だった。 ある日。 「しっかりと言われたことはやらないと!」 「すみません…」 うっかり提出物の忘れ物をしてしまって、提出期限の放課後、先生からしっかり怒られた。よりによって緩くない、厳しい先生。完全にやらかし

        • 自粛の道のりは険しい

          自粛自粛で、会えない日々が続いている。 ああ、最後に会ってからもうひと月以上経ってしまった。由々しき事態だ。 私は、隣で笑う、『面白い』が人一倍好きで、スカーフィが好きで、キッコーマンの豆乳の紅茶味を毎月箱買いする、むにっとしたいい感触の頬の、なにより私のことが少々好きすぎる……そんな彼に、ひと月もあっていない。 これは由々しき事態である。 ……と言っても、4月に入ってから週に2回、電話をしている。午後1時からだいたい7時間。長さに関しての異論は認めない。 ひとつ困るこ

        思い出

          「会いたいな」

          「会いたいな」 と思った。 あのショートカットに、あのいとこに切られたオン眉に、あのおしゃれな細フレームに。 「会いたいな」 と思った。 あの訳わかんないおふざけに、オーソドックスすぎるドッキリに、あの、漢字が読めなさすぎる朗読に。 「会いたいな」 と思った。 アルパカかユニコーンの論争も、結局ラマだったことも、でもそうは見えないと思っとことも。 犬はほんとはニャーで猫はほんとはワンと鳴くという嘘も、それを真顔でつくことも、それに真剣に騙される姿に笑うことも

          「会いたいな」

          大事なもの

          あの頃、間違いなく私の1番大事なものは『演劇』だった。 初めはほんのちょっとした成功体験で、楽しくなってその道を歩み始めた。表舞台に立って、話すのは苦手な方ではあったけれど、何故だか役に入るとすんなり立てて、失敗したこともあるけれどフォローしてもらいつつ努力をして、経験を何度も何度も積んだ。その度に何度も何度も達成感を感じて、どんどん楽しくなってのめり込んだ。 尊敬していた先輩に認めてもらえた。 「アイツはなかなか褒めないんだよ」と他の先輩から教えてもらった。 大会で、元

          大事なもの

          桜が散った。雨が降ったせいだ。 桜が散ると、春が終わった気がする。 「春〜!君は終わったのかい?」 『いいえ、私は終わっていません』 「そうなのかい?じゃあ、春はどこにあるんだい?」 『ここです』 「……ここ?」 辺りを見回す。桜が散って、ピンク色が消え失せた景色に、春は感じられない。 「僕には分からないなぁ。もう少し他になにか教えてくれないか」 『もっと、あなたの近いところです』 「近いところ……」 足元に視線を落とす。汚れた自分のスニーカーと灰色のアスファルトばか

          毎日

          毎日あなたと話がしたい。 なんでもいい、どんな内容でもいい、他愛のない話でいい。意味の無い会話のラリーをして、よくわからなくなって、なんだかおかしくってたまらなくなりたい。 毎日あなたの声が聞きたい。 優しくて、心地よくて、たまに笑えて。聞いているとなんだか心休まるような、不機嫌だったはずがいつの間にかそれを忘れているような、穏やかな時間を過ごしたい。 毎日あなたの隣にいたい。 なんでもないことで笑ったり、今や未来を真剣に悩んだり、ただ肩を並べていたり。たくさんの思い出を

          ウソカラデタマコトノセカイ

          演劇は嘘つきだ。 役者も嘘つきだ。 脚本家も嘘つきだ。 演出家だって嘘つきだ。 みんな嘘つき。嘘で固められた世界。 照明と音響はそれを飾り立てるアクセサリーだ。 でも演劇はほんとつきだ。 生まれる熱気は本物だ。 お客が流す涙も本物だ。 お客が立てる笑い声も本物だ。 お客が感じる全てが本物だ。 私たちは、本物の世界で生きている。

          ウソカラデタマコトノセカイ

          タイトルのない愛の話

          私があの人と出会ったのはいつの日だったか。ものすごく昔に出会ったような、いやいやものすごく最近出会ったような……とりあえず、私あの人と出会ったのだ。 「初めまして、よろしくお願いします」 今どき珍しく、礼儀正しくカクカクとお辞儀をするなぁと思った記憶がある。 だから私も、 「初めまして、よろしくお願いします」 と同じようにカクカクお辞儀をしたような気がする。 そんな何の変哲もない初対面を終えてから、私とあの人は少しずつ話すようになった。 あの人はちょっと変わり者だった。

          タイトルのない愛の話

          桜色フィルター

          桜が咲いていた。 パシャリ。 「この木だけだな」 この木がせっかちなのか、周りの気がねぼすけなのか、そんなどうでもいいことを考える。 パシャリ。 「……こっちの画角の方がいいな」 パシャリ、パシャリ。 「綺麗だなぁ」 スマホを仕舞って、ぼうっと眺めた。 1年ぶりに見る桜はやけに白い気がした。もっと桜って、ピンクじゃないっけ?まあ、これはこれで素敵だと思うけども。 ぴゅうう。 ふいに風が吹いた。咲いたばかりの桜は、まだ舞わない。 ぴゅうう。 なんとなく

          桜色フィルター

          迷子

          歩いて、歩いて、歩いて、 急に私は立ち止まった。 慣性の法則で、まだ前に歩いているような心地がした。 水の流れに心を奪われた。特段綺麗でもないのに。 水辺から飛び立つ鳥をふいに見つめた。私もここから出てしまいたいよと羨ましく思った。 前から後ろへ、私の左側を人々が走り去る。私はどうやら逆走しているようだ。 ……あれ?私って今、どこに向かってるんだっけ。

          いつの日かの私

          あああ あああ あああ 愛してる 愛してない 愛してよ 愛しかない あああ あああ あああ あを叫んだら次はいが叫びたい気分 いいい いいい いいい いから始まる単語、全然ないなぁ

          いつの日かの私

          17歳の愛の伝え方

          愛をどう伝えるか、それが問題である。 ある人が言った。否、言ったのは、他ならぬ私である。 最近、私は愛の伝え方についてよく頭を悩ませている。 「好き」よりも「大好き」 「大好き」よりも「愛してる」 それならば、「愛してる」よりも上の言葉はなんなのか? 私はよく、「愛してる」と言われた時、それよりも上の言葉が見つからず、ぐぅ、と音を上げてしまう。 何を返すのがいいのか?やはり言葉なのだろうか? 「すごく愛してる」 なんだかそれでは少しありきたりすぎるような気がす

          17歳の愛の伝え方

          青い春

          青い春は今どこにあるのだろう なんだか懐かしい気分になりたくて立ち止まって振り返る 遠くに青が見 え た ああ、あれが青い春か 青い春は今どこにあるのだろう そう問うたらある人が「今が青い春の中なのです」と答えた 立ち止まっていた場所から見上げると、なるほど、青が広がっていた ああ、今ここが青い春なのか ここに今広がるのは青い春なのか 青い春というからには酷く青く、そのくせ透き通るような白で 青い春という割には寒さが堪える日が多く、しかしやはりあたたかな風

          青い春

          おしまい

          泣きそうな気分になった。 「もう終わってしまった」という事実が私にやけに寂しさを覚えさせる。いつだって、『終わり』や『さよなら』は人を悲しませるのだ。 誰も知らない終わりが私を襲う。みんなが知らない、私の終わり。 終わりが始まり?終わりは終わりだ。 泣きそうな気分になった。 なのにみんなは笑っている。なんにも知らない、私の知らないみんな。 泣きそうな気分になった。 どうせなるだけで、泣いたりなんてしない。 泣きそうな気分になった。 でも泣かない。 泣きそう

          おしまい