読書記録「老人と海」
川口市出身の自称読書家 川口竜也です!
今回読んだのは、ヘミングウェイ 福田恆存訳「老人と海」新潮社 (1966)です!
・あらすじ
キューバの老漁夫 サンチャゴはかれこれ不漁が84日も続いていた。いつもは少年が漁の手伝いをしてくれていたのだが、一匹も釣れない日が40日も続いた辺りから、両親からも別の舟に乗るように言われていた。
周りからは運に見放されたと笑われても、いつも通り一人で漁に出るサンチャゴ。漁師としても姿は、年齢を感じさせない職人であった。
不漁続きの85日目、ようやく運が巡ってくる。なんとサンチャゴが乗る舟よりも大きいカジキマグロがかかるのだ。
だが、そのカジキマグロはサンチャゴの乗る舟を引っ張りながら丸3日泳ぎ続ける。食料も水も、人手も足りていない中、サンチャゴは文字通り必死の覚悟で食らいつく。
死闘は4日目にしてようやく蹴りがつく。勝利したサンチャゴは、兄弟分とも言えるカジキマグロを舟に括り付けて陸地を目指す。
しかし、帰途サメの大群に襲われ、自分自身とも言えるカジキマグロは、徐々に食いちぎられてしまう…。
玉川重機さんの漫画「草子ブックガイド」第2巻で登場していたのをきっかけに、神保町で見かけたを紐解いた次第。
84日間一匹も釣れない状況もなかなかだが、それでも毎日諦めず(おそらく、そんなことを考える域ではないのだろうが)漁に出るサンチャゴには脱帽する。少年だけは何があろうと老漁夫の側にいたい気持ちも、分からんではない。
漁に出ている間、サンチャゴは様々なことを考える。少年のこと、海のこと、ヤンキースの試合結果のこと、そして罪とは一体何なのかについて。
サメの大群に襲われ、自分の兄弟分とも言えるカジキマグロが徐々に骨だけになっていくのを見て、サンチャゴは思う。
奴らもまた、生きるのに必死なんだって。
こういう考えは、自分が追い込まれた状況だからこそ考えつくのだろう。順風満帆のときに、なかなか罪について考えることはなかろう。
もちろん、他人を蹴落としてまで勝ちを狙うのが良いわけではない。ただ、勝者のうらには敗北者がいるもので、その度に罪悪感を覚えていたら、競争社会では生き残れないのも事実。
終わってみたら、何も残らないかもしれない。あの世に金は持っていけないのと同じように、骨しか残っていない獲物を陸地に持っていったところで、見る人が見たら、何も意味はないかもしれない。
ただ、必死に戦ったことを認めてくれる人は、かならずいる。
たとえ何も成果を得られなかったとしても、そのプロセスに共感してくれる人が、かならずいる。
だから人間、いつだって必死に生きるべきなんだろうな。サンチャゴのように、静かなる闘志を持って。それではまた次回!
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