10月12日 読書会報告
川口市出身の自称読書家 川口竜也です!
2024年10月12日の午後に開催した「東京読書倶楽部」読書会の報告です!
この日は新規の方が5名、リピーターが3名の合計9名で散策×読書会。平日雨天が続いたものの、三連休は「読書の秋」とも言える古書店街散策日和。
数多の本の中からたった1冊を選ぶなり、本を読みたいと思える精神の脈動は、一体どこから来るのかしらん?
紹介して頂いた本
辻村深月「傲慢と善良」朝日新聞出版
マッチングサイトで出会った彼女が、結婚式目前に姿を消した。
「ストーカーに見られている」と語っていたが、ストーカーに拐われたのか。あるいは自らの意思で姿を消したのか。
マッチングアプリを使う婚活のリアルさがエグく、「心を刺す」ような言葉の数々。親の言うことに素直に従う「善良」さと、自己評価の高さからくる「傲慢」さ。これが現代における婚活の難しさなのだと。
他の方が、男女問わず片っ端から「この本がおすすめ」と紹介したそうだが、男女によって「どちらに感情移入するか」が違って、それを聞くのも面白かったとのこと。
道尾秀介「N」集英社
構成がとにかく面白い!全6篇の短編作品とこの本を読む「チュートリアル」。この短篇6作品をどの順番で読むかによって、720通りのストーリーを楽しめる。
物語はとある自然現象を観に行った人々を描く。その現象を見れた人もいれば、見れなかった人もいて、それにまつわる人間関係を考えされられる。
紹介者は右から順に読んだけれども、もっと面白い組み合わせを探すのもまた一興なり。
水木しげる「ほんまにオレはアホやろか」新潮社
「ゲゲゲの鬼太郎」などでお馴染みの漫画家 水木しげるさんの一生を描く自伝。
変わった子過ぎて幼稚園に通わせて貰えなかったり、第二次世界大戦では片腕を無くすなど波乱万丈の人生。
それでも、戦地では原住民に助けられたり、「ゲゲゲの女房」とも言える妻と出会ったり、水木氏が「人に好かれる人」である点が垣間見える。
8月の東京読書倶楽部は「偏愛読書会 森見登美彦編」の帰り道、『阿呆』という言葉に引っ張られて紐解く。京都で進々堂や下鴨納涼古本まつりも訪れたそうで。
ジュノ・ディアス「オスカー・ワオの短く凄まじい人生」新潮社
オスカー少年はゴリッゴリのアニメオタク(ギーク)。太っちょで眼鏡姿の彼は、昔は可愛らしくモテていたけれども、今では同級生の中で唯一彼女がいない。
親がドミニカにルーツを持つのだが、どうやらオスカー少年が異性に好かれないのは、「望んだ人と添い遂げることができない」という『呪い』が影響しているらしい。
聞けば、オスカー少年だけでなく、オスカー一族が悲惨な人生を送ってきたらしい。そして語られるドミニカの独裁者の物語。
果たして、彼の「短く凄まじい人生」の結末やいかに。
もともとは図書館で借りて読んだ本。神保町散策時に書店で見かけ、思わず買ってしまったそうです。
井上真偽「恋と禁忌の述語論理」講談社
既に解決済みの事件を、皆さんご存知の「述語論理」を用いて解明していく。
ストーリーはライトノベルっぽく軽い感じだが、述語論理に関しては参考書になるくらい勉強になる。
例えば、主人公の大学生が数学論理学者の叔母の家へ向かうと、机の上にメモ紙が置いてある。「A 私は物置にいる」「B 私はキッチンにいる」など命題と1つの論理式。これを解くことで、叔母の居場所が分かるなど。
紹介者は常日頃から数学に関する書籍を読んでいる方。実際に論理式を解いているため、本を借りる際にはネタバレ注意である。
ロジェ=ポル・ドロワ「哲学ってなに?」現代企画室
神保町散策時に、たまたま紐解いたところに「考えてみたけれども、自分で答えを見つけられない人のために」という一節を見かけて、手に取ってしまったと語る。
そもそも、皆さんはどんな風に本を選んでいるのだろうか。どうして数多の本の中からその1冊を紹介するに至ったのだろうか。
タイトルや裏側のあらすじを読んでから選ぶ人もいれば、読書会や人からおすすめされて手に取った。自分の心情などいわゆるセレンディピティに頼る。
でもその源泉はどこから来るのだろうか。
なお、最近中学生の娘さんも読書に凝っているそうで、この間「ニーチェの『ツァラトゥストラ』を読みたい」からお小遣いを頂戴と言われ、お父さんは色々な意味で困惑したとのこと。
コーマック・マッカーシー 「ザ・ロード」早川書房
おそらく核戦争により人類の大半が滅亡した世界。街に灰が降り積もり、至る所に瓦礫の山。終末世界後に生まれた息子と父親は、寒いところから暖かい南の国へ向かっていく。
こんな終末世界でも「善き人である」点は忘れない2人。人を食べず(動植物が死滅した世界では、人が人を食べることも)、諦めず、だけれども幻想にすがりつかず、ひたすら生きていく。
例えば、父がヒゲを剃るシーン。他人が存在しない世界では、身だしなみを整える必要性もないかもしれないのに。私が同じ状況だったら、同じように清く正しくあろうといれるかなって。
ヴィクトール・フランクルの「夜と霧」の如く、綺麗事だけで済まされない世の中でも生きていくって、こういうことなのかと少し実感する。
寺地はるな「水を縫う」集英社
高校一年生の清澄君は、祖母と母と、結婚を控えた姉と4人暮らし。父は清澄君が幼い頃に離婚している。
清澄君は手芸が好きな男の子。結婚式のための衣装を見ていた姉だが、姉はフリフリしたドレスは苦手だという。そんな姉のために僕がドレスを仕立て上げるよなど、ちょっとジェンダーを取り扱う作品。
紹介者が妹さんから誕生日兼バレンタインに頂いた本。読み終えてから、私は「20代の自分に贈りたい」と思ったらしい。
どうしても親子として、「母の役割」「子の役割」を考えてしまうけれども、家族である前に「一人の人間」なのである。
きっと母には母の葛藤があったのだろうって、物語を通じて考えたそうです。
10月の読書会スケジュール
10月19日(土) 19:00~22:00
飲み有り読書会 BOOK&BOOZE!
10月26日(土) 10:00~12:00
朝活×読書会 → 満員御礼!!!
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