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読書記録「ペンギン・ハイウェイ」

川口市出身の自称読書家 川口竜也です!

今回読んだのは、森見登美彦さんの「ペンギン・ハイウェイ」KADOKAWA (2010) です!

森見登美彦「ペンギン・ハイウェイ」KADOKAWA

・あらすじ
小学4年生のぼくは、自慢ではないが大変頭が良いと思う。

なぜなら「毎日の発見を記録しておくこと」という父の教えを守り、毎日ノートにたくさん記録しているからだ。

二十歳になるまで三千と八百八十八日。昨日の自分よりも賢くなれば、大人になることにはとても偉くなっているだろう。

ぼくは親友のウチダ君と共に様々なプロジェクトを抱えている。川の上流に向かい水源を探す「プロジェクト・アマゾン」、クラスメイトの「スズキ君帝国研究」、それから「ペンギン・ハイウェイ」。

いつもの通学路に突如現れたペンギンたち。どこからやってきたのか、そしてどこへ行ったのかも謎のペンギンは、まるで遠い惑星から来た宇宙生命体のようであった。

数々のプロジェクトを抱えているぼくは、毎日大変頭を使うものだから、歯を磨かずに寝てしまうことも多い。歯の治療のために、時には歯科医院に行かねばならないのだ。

でも僕は歯科医院が嫌いではない。なぜならば、歯科医院に行けばお姉さんに会えるからだ。

お姉さんは不思議な人だ。普段はふざけているようで、仕事終わりに勉強をしている努力家でもある。「海辺のカフェ」にてぼくとチェスをしたりもする。ペンギンが大好き。良い匂いがするし、おっぱいが大きい。

ある日お姉さんは、ぼくに不思議なものを見せてくれた。

お姉さんが投げたコーラ缶が、突如としてペンギンに生まれ変わったのだ。

そうしてお姉さんは言った。「この謎を解いてごらん」と。

従姉妹から「本を処分するから欲しい本があったらあげるよ」と言われ、お決まりの頂けるものは病気以外何でも貰う精神を発揮し、大好きな森見作品を頂戴・紐解いた次第。

日常から急に非日常に引き込ませるファンタジーに、謎が謎を呼ぶ展開。それでいて平然と「おっぱいを考えると心が落ち着くのだ」という、あぁ森見登美彦さんの作品だなとクスリと笑う。

私事になるが、そう言えば私も、やたらとノートまとめが好きな小学生だったなと思い出す。

図書館に行って図鑑のイラストを書き写し、昔の農耕具を保管してる資料室の展示をメモし、昆虫の生態をまとめるなどしていた。

高校時代は授業ごとにノートを使い分け(地学だけは捨てずに残している)、大学時代の講義や卒論研究のルーズリーフは、今でも大切に保管している。

読書会の記録も全てノートに記している。最初は丁寧に書いていたけれども、最近は速記法で「俺が読めればそれで良い」状態。

なるほどな、今思うとノートにまとめたがるくせは、小学校の頃から既に染み付いていたんだなと、しみじみ実感する。

それはさておき。個人的に森見登美彦さんの作品からは、いろいろな意味で教訓を求めすぎないようにしている。

それは森見さん自身が「恋文の技術」(ポプラ社)の中で「この世には教訓を得ることのない阿呆な話で満ちている」と語っているのもある。

だけど、あくまでもファンタジーとして物語を楽しめればそれでいい。教訓を求めず読書自体を楽しむという点では、「熱帯」(文藝春秋)も「夜行」(小学館)も同じである。

もちろん、学べる点がないわけではない。例えば「ペンギン・ハイウェイ」とは、ペンギンが海から陸に上がる時に必ず通るルートらしい。そういう教養や哲学的な内容が盛り込まれている点はある。

とは言え、読者諸君らも何か得があるから本を読むとか、教訓がないからといった理由で本を面白くないとは言わないだろう。

不思議な世界に誘うからこそ、森見登美彦さんの作品はいいのではないかって思うんだ。結論、面白かったです。それではまた次回!

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