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読書記録「サラバ!」上巻

川口市出身の自称読書家 川口竜也です!

今回読んだのは、西加奈子さんの「サラバ!」上巻 小学館 (2014)です!

西加奈子「サラバ!上巻」小学館

・あらすじ
僕の幼少期は家族に、主に母と姉に振り回される人生だった。

1977年5月 イランの病院で生まれた僕(圷歩あくつあゆむ)は、左足から登場したらしい。両親の"良い方"を受け継いだ僕は、どこに出しても可愛がられる"お坊っちゃん"だったそうだ。

しかし4歳上の姉(圷貴子たかこ)はそうではなかった。産まれ出ることも2時間近く拒んだらしく、両親の"悪い方"を受け継いでしまったのか、のちに「ご神木」とあだ名をつけられるほどだった。

そんな母(圷奈緒子なおこ)はというと、直感で人のことを「好き」か「嫌い」かで決めてしまう、そして自分が思ったことっを決して覆そうとしない、自分のスタイルを変えようとしない人だった。

出産に苦労した姉に対して可愛くなるよう強要する母と、「かまってほしい」という気持ちは人一倍全力を注ぐ姉に、対立のない日はなかった。父(圷憲太郎けんたろう)はその間をオロオロするばかりであった。

そんな家族のもとで育ったせいか、僕は中立でいることを心がけた。いや、そうでなければ生きていけないとすら思っていた。

日本の幼稚園での初めて覚えた恋心、父の海外赴任で過ごしたエジプトでの日々、姉の奇行と信仰、両親の不和。そして「サラバ」とはいかに。

昨年参加した渋谷の読書会にて、この本を読んで自分も小説を書こうと思い立ったという話を聞き、前々から気になっていたのを今更ながら紐解いた次第(その時の話は下記の記事にて)。

まだ上巻しか読んでいないため今後どうなるかはわからないが、現時点で大分波乱万丈の日々を送っているのは読み取れる。

それは1970年以降の日本や世界の状況がそうだったのもあるし、そもそもこんな家族のもとで生まれたら、そりゃ自分の振る舞いというものを幼い頃から意識するようになるよなとは思う。

実際に私にも兄貴があるが、好みも性格も全く正反対である。兄貴がスポーツが得意なアウトドア派(当然モテる)のに対し、私は読書やアニメオタクのインドア派である。

まぁモテるからこそ色々あったりもしたりして、色々あったからこそ自分は波風立てないようにしようと思ったりもしたりして。まぁ少なからず兄貴の影響を受けないでいることはなかった。

何が言いたいのかというと、それだけ家族というものは自分の人生に影響を与えるものだと思うし、幼少期頃なんかはそれが色濃く反映されるものだと思う。

今ある環境がすべてで、それ以外の可能性はなくって、自分はずっとずっとここで生きてゆくのだと、思うより先に、ほとんど生存本能として身につけていることなのかもしれなかった。

同著 59頁より抜粋

そういうことを言うと、親ガチャとかの話になりがちだが、多かれ少なかれどの家族であっても何かしら不自由はあるだろうし、どんな生き方だとしても苦労はある。もちろん私だって順風満帆とは言えない。

だからこそ、自分の今までの常識、世界がいかに狭かったかを身をもって体験するのが、家族以外の友だちや恋人といった他者の存在が重要なのだろう。

主人公の人生も、確かに母と姉に振り回されているけれども、それと同じくらい学校の友だちに影響を受け、初めての恋人に悩み、そしてエジプトで出会った青年を度々思い出す。

仮に相手が、もう自分のことなど覚えてないかもしれなくても、それが自分にとって、やはり人生に必要なんだったんだって。

自分もまた、そうやって生きてきたんだなって、ふと思った。

まだ下巻を読み始めたばかりだが、今後の展開に今から楽しみである。それではまた次回!

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