河島えみ

写真が好きなフリーランス。好きな写真集や図録を集めています。写真史に関する翻訳をしてま…

河島えみ

写真が好きなフリーランス。好きな写真集や図録を集めています。写真史に関する翻訳をしてます。

マガジン

  • 日記

    最近見たもの考えたこと

  • 2023年 ヨーロッパ・北欧旅行記

    2023年11月上旬にまわった美術館・写真美術館、ギャラリーなどの話、旅行中の失敗の話をするよ(ロンドン、コペンハーゲン、ストックホルム、アムステルダム、パリ、ヘルシンキ、ユトレヒト)

  • 2022年 ヨーロッパ旅行記

    2022年11月6日から15日までベルリン、オランダ、ベルギー、ルクセンブルク、フランスの美術館や写真芸術のスポットを中心に旅行してきます。無事に帰れますように🙏 訪問した美術館などの話だけではなく、交通手段、食べたもの、どんな本屋さんを巡ったか...などの話もしたいと思います。500円、買い切りのマガジンです。

  • 写真沼・超入門

    本、写真集、ギャラリー、美術館など......読んだり見たりしたものを紹介して、写真初心者の人と一緒に沼に入っていく。

最近の記事

2024.5.27 写真の会の選考会

2022年に初めて写真の会に参加し、ちょっと会の雰囲気が変わったと言われるのが嬉しくて参加を続けている。今回、3回目だ。1人の持ち時間も決められておらず、持ち込む写真集や紹介する写真展の数に制限がない。そのため、語りたいことを語りたいだけ喋ることが許される1日となっている。 身の回り撮りがち問題 「身の回りを撮ってる写真が多くないですか?」と感想を漏らすと「身の回り以外のものを撮っている作家が少ないだけ」とタカザワさんに返答をいただき「そう言われてみればそうだ」と思った。

    • 長垣夏希〈蟄虫啓戸〉 Wonder Foto Dayより

      長垣夏希〈蟄虫啓戸〉 Wonder Foto Dayより 展示会場:OVERGROUND 2023年11月3日(金)〜2023年11月5日(日) Wonder Foto Dayは台湾発の作家のためのフォトフェアとして誕生し、2023年秋に初めて日本でも開催された。福岡の会場には全国各地から作家が出展。数人気になる作家がいたが、そのうちの1人が長垣夏希だ。全国で約146万人いると言われる引きこもりに注目し、取材を続けながらポートレートを撮影している。コロナ禍以降、人を撮影する

      • 【お知らせ】#ポケット写真批評 募集スタート

        こんばんは。『写真批評』第二号の編集に関わっている河島です。 写真に興味がある中高生や大学生、プロ・アマ問わず幅広く写真に関わっている皆さまへお知らせがあります。昨年、復刊した『写真批評』では写真評論家の調文明さん、美術評論家のきりとりめでるさんを中心に写真について振り返り、様々な議論が繰り広げられました。それを引き継ぎ、現在、キュレーター・美術批評家の深川雅文さん、写真研究者の北桂樹さん、そして河島が第二号の編集に関わっています。第二号では、より読者の皆さまに関わっていただ

        • 2024.2.13 鑑賞する側が一番に知りたい情報

          今年も大型のアートフェスティバルに行こうと思っているが、毎年、現地に行かないと地図が手に入らなくて、当日に回り方を決めなくてはならないことがある。ラッキーだったら、先に行った人に地図をもらい、どのようにまわるか事前に決めることができる。しかし、時間的に余裕のない人は、1日で一気にたくさんまわりたいので、ルートを当日に決める時間さえもったいないと感じるのではないだろうか。 たいていのホームページはたくさんのお客さんに来てもらおうと、作家や作品の紹介に注力していて、魅力を発信し

        2024.5.27 写真の会の選考会

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        • 日記
          10本
        • 2023年 ヨーロッパ・北欧旅行記
          4本
          ¥500
        • 2022年 ヨーロッパ旅行記
          6本
          ¥500
        • 写真沼・超入門
          3本

        記事

          2024.2.10. 小松浩子〈Channeled Drawing〉の孤高と大胆さ、死者の実存

          死者は消えてしまって本当にそこにいないのか? 作家は、人間の五感で知覚できていないだけで死者は殺害現場に存在しうるのではないか?と作品を通して主張している、と私は解釈する。 自殺・他殺、事故や事件でこの世から姿を消した人について、ニュースで取り上げられる時期を過ぎてしまうと、遺族などを除けばみんな日常的には忘れるのが普通である。もちろん、ふとした瞬間に思い出す友人や家族の死というのはあるだろう。しかしながら、「自分の身近な存在ではなかった人の死」に向き合い続けている写真家

          2024.2.10. 小松浩子〈Channeled Drawing〉の孤高と大胆さ、死者の実存

          2024.2.9 学芸員忙しい問題と展覧会

          展覧会が多すぎる。これはいいことなのかもしれないが、一方で、学芸員さんの犠牲の上に成り立っていることも否定できない。 ランダムにX(Twitter)をフォローしていると、誰だか知らない学芸員さんの匿名アカウントのつぶやきを目にすることがあるのだが、とにかく忙しそうだ。辞める人が多い業界であるのは間違いなさそうである。「○○美術館は◯人も休職者がいる…」といったつぶやきも流れてくる。 美術の評論や批評をやる人は日本の場合、美術館で働いていることが多いと聞いたことがある。それ

          2024.2.9 学芸員忙しい問題と展覧会

          きゃたいさんに聞く── 混沌のなかに在るゆるやかな生活を垣間観る。 中国、台湾、タイといったアジアの写真収集の面白さとは?

          2023年10月下旬、南阿佐ヶ谷の台湾茶カフェ茶嘉葉(ちゃかば)で、中国や台湾、タイといったアジアのイメージが映る写真を収集しているきゃたいさんにインタビューをしました。 河島えみ(以下、河島):本日はインタビューを受けてくださり、ありがとうございます。まずはじめに、なぜ写真を観るようになったのか教えていただけますか? 写真を好きになったきっかけ きゃたい: 写真を見始めるきっかけになったのは、イラストの専門学校に通っていた時でした。 授業のあと、講師の方が「この間、初

          きゃたいさんに聞く── 混沌のなかに在るゆるやかな生活を垣間観る。 中国、台湾、タイといったアジアの写真収集の面白さとは?

          2023年の写真を500字で振り返る

           岡上淑子のコラージュを福岡市美で年明けに見るところからスタートした。結婚生活の破綻により作家人生を狂わされた様子を伝えていて、担当学芸員の思いが迸っていた。昨年から引き続き牛腸茂雄を取り上げる動きは止まらず、千葉市美術館、東京国立近代美術館などで作品を見る機会が得られた。大阪万博へ税金が莫大に投入されるニュースを見聞きするこの1年に、日常生活に価値を見出すコンポラ写真を展示することは大きな意味があったに違いない。夏には自民党女性局がパリのエッフェル塔でポーズを撮った写真をS

          2023年の写真を500字で振り返る

          片柳拓子さんに聞く── 目が覚めたら見る、柿崎真子と山上新平の主題が不在に思える写真とは?

          2023年9月中旬、東京都写真美術館のフリースペースで、柿崎真子さんと山上新平さんの写真作品を購入された片柳拓子さんにインタビューを行いました。 河島えみ(以下、河島):本日はよろしくお願いします。さっそくですが、片柳さんが購入された写真作品2枚についてお話を伺わせてください。 片柳拓子(以下、片柳):私は柿崎真子さんと山上新平さんの写真作品を所有しています。2つとも中目黒のPOETIC SCAPEで購入したものです。 河島:いつ頃購入されましたか。 片柳:ちょうどお

          片柳拓子さんに聞く── 目が覚めたら見る、柿崎真子と山上新平の主題が不在に思える写真とは?

          ナショナル・ギャラリーへ

          まだまだ1日目の話。 2日目に訪れる予定だったTate Britainに早めに行こうとダブルデッカー(※1)に乗った。しかし、ロンドンの南方にある美術館ではなく北の宿の方向にバスが走っているのに気づき、疲れているなと判断。一旦シャワーを浴びるために宿へ戻る。 M&S(マークス・アンド・スペンサー)と呼ばれるヨークシャー地方のリーズ発祥のスーパーを見つけ、お昼ご飯を探していると、どれもパサパサにみえ食欲が湧かない。アジア系の料理も高いし、米をレンチンして食べようかと迷ったけど

          ナショナル・ギャラリーへ

          The Photographers' Galleryにて

          2023年11月7日にロンドンの銀座ともいえるオックスフォード・サーカスのエリアにあるThe Photographers' Galleryに行った。余談だが、銀座の「座」もオックスフォード・サーカスの「サーカス」も丸い広場のイメージを帯びた言葉であり、両者がずっと人が集まり続けている場所であることは共通している。どちらも、ハイブランドが並ぶ商業地だ。 The Photographers' Galleryの野外展示 The Photographers' Galleryは都心

          The Photographers' Galleryにて

          本屋大好き!FOYLESに行った話

          本屋が大好きなのでやっぱり旅行先では必ず本屋に向かう。 ヒースロー空港に早朝6:00に到着して、何もすることがないのでピカデリー・ラインでノロノロと中心地に向かい、24時間チェックインOKの宿に荷物だけ置かせてもらい街を歩き始める(ベッド利用は13時から)。友人から借りた温かいコートのおかげで防寒対策はバッチリだ。 日本でいう銀座みたいなオックスフォード・サーカスと歌舞伎町のような(あってる?)ソーホーの間あたりに宿を取ったので徒歩圏内に本屋や美術館、ギャラリーが揃っている

          本屋大好き!FOYLESに行った話

          福岡からシンガポール経由でロンドンへ 0日目

          2023年11月3日〜5日に福岡で開催されたWonder Foto Dayにエントリーするも、数日前になって写真家でなければ出展できないということが発覚。なくなく、福岡の宿泊先をキャンセル(無料だった)し、出展側ではなく、参加者として5日だけ会場に向かう。エントリー料も返金していただけることになったので(11月19日時点ではまだ)、リマインドしてみようと思う。Wonder Foto Dayでは、2人の作家さんの作品にグッときた。ブログに書いてもいいという許可をもらったので、旅

          福岡からシンガポール経由でロンドンへ 0日目

          2023.8.22 蔡国強(ツァイ・グオチャン)といわきの展示記録

          2023年8月の中旬、国立新美術館に足を運んだ。奥の隠れた部分にツァイといわきの関係を展示した25平米ほどのスペースがあり、たくさんの人が訪れていた。色々考えているうちに、写真をアップするのを忘れて放置するのが怖いので、展覧会の様子が分かる写真をupしようと思う。 ツァイは震災後に自分の作品の一部を販売して、地元の住民の住宅復興に当てるように申し出たが、住民は桜の植樹のプロジェクトに活用したという話を読んで、その場でいっとき立ち尽くした。

          2023.8.22 蔡国強(ツァイ・グオチャン)といわきの展示記録

          2023.8.19 パリと情報管理

          2週間ほど前のこと。自民党女性局のメンバーがエッフェル塔でポーズをとった写真を自らSNSへ投稿。ネット上で拡散され物議を醸した。バケーションじゃないってことを考えると、twitterに流れてきた怒りのツイートにはおおむね同意だった。どう考えても、女性局のメンバーは情報管理が甘すぎる。与党の動きが市民にどう伝わってしまうのか、そういう意識がちょっとでもあれば、SNSへの投稿は控えた方がいいに決まってる。あるいは、百歩譲って投稿するとしても、イメージの受け手としては、「長い会談の

          2023.8.19 パリと情報管理

          2023.8.17 GWの函館旅行と『一握の砂』

          今年の春に北海道に初めて行った。10代の時は九州に住んでいたので北海道は遠くて縁がなかったし、20代になってもスキーに行こうよと誘ってくれる友人もいなくて、なぜか時が過ぎ去ってしまった……。そして、2020年の春に北海道に旅行をする計画を立てていたが、コロナの影響で中断していたので計画から3年越しにようやく函館と札幌を訪れることができた。 函館では、谷地頭(※1)の喫茶店クラシックで開催されている小池貴之さんの写真展〈浜さ〉を見て、与謝野晶子の碑のある立待岬まで歩いた。春の

          2023.8.17 GWの函館旅行と『一握の砂』