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2023年の写真を500字で振り返る

 岡上淑子のコラージュを福岡市美で年明けに見るところからスタートした。結婚生活の破綻により作家人生を狂わされた様子を伝えていて、担当学芸員の思いが迸っていた。昨年から引き続き牛腸茂雄を取り上げる動きは止まらず、千葉市美術館、東京国立近代美術館などで作品を見る機会が得られた。大阪万博へ税金が莫大に投入されるニュースを見聞きするこの1年に、日常生活に価値を見出すコンポラ写真を展示することは大きな意味があったに違いない。夏には自民党女性局がパリのエッフェル塔でポーズを撮った写真をSNSに投稿し文字通り炎上。秋にはロンドンのテイト・モダンでは日本人女性で5人目に当館に収蔵された片山真理の展示が行われ、フォトグラファーズ・ギャラリーでは森山大道展が開かれた。前者は見たが、後者は異常な円安もありパスをした。今年は、海外では生成AIを用いた写真作品が多くみられたが、日本では躊躇や忌避が多数派だった。気になるのは、作家の過去の作品を機械学習させているのか、他人の作品も取り込んでいるのか一見しただけではよく分からないものが多かったので、気持ちの悪さは残った。年末まで開催された石川真生展はよかった。「彼女の作品をみた」というよりも、むしろ「彼女にしかできない仕事を見た」と表現する方が相応しいように思えた。

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