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The Photographers' Galleryにて

2023年11月7日にロンドンの銀座ともいえるオックスフォード・サーカスのエリアにあるThe Photographers' Galleryに行った。余談だが、銀座の「座」もオックスフォード・サーカスの「サーカス」も丸い広場のイメージを帯びた言葉であり、両者がずっと人が集まり続けている場所であることは共通している。どちらも、ハイブランドが並ぶ商業地だ。

The Photographers' Galleryの野外展示

The Photographers' Galleryは都心の喧騒を抜けた場所にあった。ラミリエス・プレイスという通りに面した階段を降りると、突如、建物が現れた。通りでいきなり目にした作品の威力といったら凄まじい。外の空間はよく人の目につく、という当たり前のことをよく理解している美術館のスタッフの計らいにより、外壁のスペースを十分に使って作品が展示されていた。恵比寿の写美も、いつまでも同じ作家の作品を通りに展示せず、定期的に話題の作品に変えてほしいものだ(そんな予算、どこにあるんだ!と言われそうですが)。

今回は、Gideon Mendelの〈Fire/Flood〉というシリーズが数点野外展示されていた。タイトルを見る前に作品が目に入る。戦禍に巻き込まれた人々を写しているかのようだが、よく見ると一杯に広がる泥水の中に男性が辛そうに顔を歪めている場面もある。最初は、人災か天災なのか見分けがつかない。瞬間的に脳裏に焼き付くような、これらのイメージを見ると、現在パレスチナとイスラエル、ロシアとウクライナの間で起きている戦争を想起せずにはいられなかった。Gideonが残したのは、戦争ではなく山火事や洪水が原因で住む場所を奪われた人の姿だったが、予期していなかった人の前に突然降りかかる災難を前に呆然とする人、落胆する人、困惑する人の姿を見ては、自分の住む家があるのも偶然が重なっただけ、としか言いようがなくなった。

ごめんなさい、森山大道さん

目の前まで来て森山大道展をスルーするのもどうかと思うが、物価が2倍ということで小心になってしまい(それと今回は知らない作家を探すのにお金を使いたかったため)、展示は見なかった。

お金をはらわなくても6点は見れた。

何時間も過ごせる地下の書店とギャラリー

特筆したいのは、地下一階の書店とギャラリーだ。書店は品揃えがよく、恵比寿の写真美術館に入っているNadiffのように、新人作家から有名作家までありとあらゆる写真集や批評書、それから、ポストカードや小物まであるので楽しめる。正直、ここだけでも2時間くらいは過ごせる。twitterにあげた2冊の以下の本もここの地下一階の書店で購入した。この本についてはどこかで詳しく書きたい。立ち読みして面白かったので、購入した。

そして、地下にはプリントを購入できるギャラリーがあり、森山大道展に重ねてなのか、日本人の女性の作家の作品展が行われていた。恵比寿の写真美術館もグッズだけじゃなく、プリントも購入できるようにしたら良いのに…!と思った。もし、買えるとしたら、私が知らないだけ。(外部のノイズとなって消えていくが、とりあえず、書いておく)

梶岡美穂さんの〈How long is now?〉は、3.11の震災をきっかけに作家活動を開始した彼女が、身の回りの小さなものを作品として残していく、というシリーズだった。

https://www.instagram.com/mihokajioka/ 梶岡さんのインスタはこちら。

次回はロンドンのギャラリー巡り。

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