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再構築の最高畜~後編

9月初旬に、大好きな青山悟さんが参加した練馬区立美術館で開催していた
『Re construction 再構築』展へ行った時のレポートを紹介しています。
こちらは1~3ある展示室2の後半ブースから紹介しています。
前回までのレポートはこちら

4-2.富井大裕さん、大野木学さんブース/空間

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青山さんのブースを抜けると、展示室2のもう一つの部屋に入ります。
広い空間に、無造作に置かれた日用品。
壁には大小それぞれが綺麗に並べられた絵画たち。

このブースには2つの作家の作品が壁面と中央のエリアで分かれて展示されているのだ。
『再構築』される側が壁面の絵画たち。大野木学氏の作品だ。
彼の作品は個別には撮ることが出来なかったので、このような引きの写真のみになるが…
よく見ていただくとわかるが、大きい上部の絵画
その下に小さな作品が展示されている。
大きな作品には個別のタイトルはなく…すべて『風景』となっており、
逆に小さな作品にはひとつずつカタカナで作品内にも表題が書き込まれていた。
彼の作品はどこか抽象的なのに、絵本にも使われそうな愉快な色味やカタチを使った絵が多く、そのひとつづつを眺めているだけで楽しい。

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床の広場全体に再構築されたオマージュ作品を手掛けたのが富井大裕氏の展示になる。
こちらは作品を撮影大丈夫だったので、いろんな角度からとらえてみた。

上記の富井さんのインタビューを先に載せていたほうが、見進めるのに楽ではないか?と思ったので、先に記す。

→寝枝と立枝

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絶妙な感覚で立たせたほうきと、寝かせられたほうき。
下に反射する影がまるで日時計の様。

→board paper board(half origami)

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こちらは彼のメインビジュアルにもなっているアクリル板を重ね合わせた作品。
間に何枚もの折り紙を挟んでいて…真横からだと色は見えないのに、
角度を変えてのぞき込むとカラフルな板が見え隠れする。

視覚のマジックを動画で感じてほしい↓↓

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折り紙の切り方も様々なので、上下の色がチラチラ見られるのもカラフルで楽しい。
そしてこの両方の作家の作品が混ざり合った『空間』を楽しんでほしい意向がわかるのが、ブース奥に設けられた急な階段だ。

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手作りといはいえ、かなり高く作られているので、上るのが少し怖いくらいだった。
この階段を上りきって、最後に下界を見下ろすことで、観客に2つの共通点や逆に違いを判らせる意図がありそうだった。
もちろん動画に収めたので、一緒にその感覚を味わってほしい(素人動画だが(笑))



5.大小島真木さんのブース/身体

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二階の展示室1、2を見終えると…今度は1階に降りて、最後のブースである展示室3へ入る。
ここはまるで、それまでの展示とは一線を引く様な空間に仕上がっていて…
このブースだけでも迫力があるだろう。
上記写真は、彼女のブース中央のメイン作品。

→ゴレム Golem

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何かの生贄の儀式でもあるかのような生々しい人体とむき出した骨や、装飾された羽や植物。
壁には大きな幕にたくさんの臓器を模した絵画。

→胎樹 Fetus tree

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よく見ると胎児の様な子供の生命を感じる絵柄も…。
この時点で、この作家さんが女性特有の生々しい血肉表現をすることを植え付ける。
よくこういった人体モチーフの女性アーティストっていうのはアジア圏、特に台湾や韓国に多い印象があって…私には日本人女性にもついにこういった表現を全面的に出してくれる人が現れたんだなとうれしくなった。

この生贄モチーフ(笑)の左側の壁面には、びっしりと飾られた沢山の『心臓モチーフ』の絵画が飾られている。
ざっと縦3段×横10枚の30点の作品には、それぞれのテーマに合わせた心臓たちで…彼女が好きなのだろう。ところどころ狼や猿といった動植物が多く描かれている。

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キラキラとしたラメの様なカラーを使用したものから、
ダークなペン画など画材も様々。
少し高い位置にも飾れらているのでなかなかガラスが反射して撮れなかったのも悔しい、、

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この辺り…個人的にハガレンぽいな、とか思っちゃったり…(爆)

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多様な動物の脚たち。よく見るとカエルとか魚など…ジャンルも様々。

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個人的に一番好きだったのがこの作品。
遠目から見た配色はとっても明るいのに、近づいてみた時に、そのモチーフの毒々しさに驚く。
『パーム油を巡る難問』というタイトルにも人類への屈辱的な問題定義だ。

→ウェヌス Venus(映像投影作品)

メインの生贄作品の真裏が、暗幕に包まれた空間になっていて…中に入ると、シンプルな女性のトルソーが置かれている。
その体部分にめがけて様々な短い映像をマッピングの様にエンドレスに投影している展示だった。
一部分だけだが、動画に収めたので見てほしい↓↓


10月末まで掲載されていた小野木さんのインタビューを見た時に、私と世代も近いこともあるが…彼女のネイチャーイズムの概念がすでに構築されていて…それをこの展示を通して植え付けていこいうとゆう深い心理がわかった。
ぶっちゃけ、4人の世界観の中で、一番『自分』とうものを前面に押し出せているのは内面部分でいえばこの方なんではないだろうか?

外面的な見せ場としては、青山さんの様な『ビジュアル』重視な観点が強い中で、見進めるごとに心や頭にこびりついて離れなくさせる演出はこの大小島さんの作品たちで…
彼女のブース冒頭の方でも言ったが、女性には男性には分かりえない生理的な格差がどうしてもあるのだ。
女性でしか向き合ったことのない生命を生み出すための生々しい葛藤や哺乳類や動植物に見るそういった生きる為の心理や原理。
そういった部分を作品を通して訴えかけられるのは、とても心強いと思った…。


さぁ。いかがだっただろうか…?

2記事分をまたいで大々的にレポートを起したが、
4人とも素晴らしい作家さんで、個人的に今年1位に踊るほどの展示だった。 

残念ながら、本展の画集発行が遅れているようで、未だ販売が出来てない。
会期中も迷って予約出来てなかったが…是非晴れて発行された暁には、絶対に画集を手に入れたいと思う。
これからの4人の活動も応援していきたい!!

勝田はまだまだ今年巡った美術展のレポートがたまってます。。

では!!!

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