読書記録 うつの人のリワークガイド(五十嵐良雄)

日本におけるうつ病リワークの第一人者の人である、五十嵐先生が一般の方向けにまとめてくださった1冊。
文字も大きく、内容も、専門的な知識がない人にでもわかるように、書かれていました。五十嵐先生の豊富な臨床経験を元に、日本におけるリワークの歴史から、その具体的な内容まで触れてくださっています。リワークにどんな種類があり、どんなものなのかを表なども入れていただきながらご紹介してくれています。さらに、うつ病とはどんな病気で、なぜうつので休むのか、うつ病とうつ状態、適応障害、発達障害、双極性障害などの区別についても触れたうえで、その治療についても、薬物や休養の必要性も丁寧に解説してくださっています。さらに私が拝読して一番印象に残ったのは、

「うつは軽症でも治りにくいもの」

という部分でした。五十嵐先生の臨床経験をも合わせて、うつ病は入院を要するような重症でなくても、再発や再休業を繰り返すことから、軽症であっても治りやすいわけでないと書いてくださっています。実際、これは、私が産業医として経験してきたものと合致をします。実際、早期に不調に気づき、症状が軽い段階で治療を始めた場合でも、再発・再休業する事例を何度も経験しています。そして、人事や上司、そして本人も、軽い状態なのだから、そんなに大ごとにしなくていいとか、すぐに職場復帰させよう(復帰したい)という感覚をもつことが多く、ここの誤解が、うつ病等を慢性化させるポイントなんだろうと考えました。

また、巻末には、うつ病等になった方が職場復帰の際に抱く、休職期間や傷病手当金、労災認定、障害者保健福祉手帳に関して、QA形式で回答してあり、うつ病リワークを利用する方やご家族、支援する方の痒い所に手が届く内容だと考えます。

リワークって何?って思う方にはぜひ手に取っていただきたい一冊です。



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合同会社活躍研究所では、企業向けに活躍型メンタルヘルス対策の導入支援を行っております。ご興味をお持ちの方は、お気軽にお問い合わせください。

<著者について>
野﨑卓朗(Nozaki Takuro)
 
日本産業衛生学会 専門医・指導医
 労働衛生コンサルタント(保健衛生)
 産業医科大学 産業生態科学研究所 産業精神保健学 非常勤助教
 日本産業ストレス学会理事
 日本産業精神保健学会編集委員
 厚生労働省委託事業「働く人のメンタルヘルスポータルサイト『こころの 
 耳』」作業部会委員長
 
 「メンタルヘルス不調になった従業員が当たり前に活躍する会社を作る」



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