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『マチネの終わりに』
平野啓一郎さんの本書を今ごろ読了。単行本が出版された折に既に話題になっており、私の師匠(若い頃、文学青年でとある大きな賞の受賞候補者にもなった方)も褒めておられたので、いつか読みたいと思っていたのですが。
最初は6月中旬に2週間ほど出張が重なる時期があって、移動の車中で読もうと思っておりました。ところが、そういう時は別の仕事を抱えていたりして、結局スーツケースの中から出すことがないまま、先週にな
記憶という名の錬金術
3年ほど前のこと。私が住む市にある大学で、とある学術的な学会大会が開催された。私もそのメンバーであるので参加して、大会二日目に年長の女性研究者M先生と一緒にお酒を食事をした。
M先生は、とある地方都市の大学教授なのであるが、私が大学院に入学した年に指導教官からの紹介で知り合ってそれ以来、学会や研究会などでお会いしている。彼女の勤務校には「内地留学(国内留学だったかも)」という制度があって、私が大
「あなた、お流ししてくるの?」
朝、子どもたちが学校へ出ていった後(私が先に出ていく日もあるが)、慌ただしく食卓の上のお皿をシンクに持っていき、それらを洗う。ものすごく急いでいる時はそんなことできないから夫に任せるが、朝の皿洗いはだいたい私の仕事である。夫もできない日は、帰宅するまで洗っていない食器がシンクに残ったままの日もある。ちなみに現在、食洗機は壊れていて手で洗うほかはない。
お皿を洗うことができた日、そういう日は洗いな
外で人にサービスされたとき
たとえば、コンビニに入った時。欲しい商品を手に取ってレジに向かう。レジに、明らかに自分よりも若い店員さんがいて商品を受け取り、POSでスキャンして値段を教えてくれる。自分はその商品に対してお金を支払う。店員さんはそれに対してお釣りとレシートを私に渡す。
さいごに「ありがとうございました」と言って、彼(彼女)は商品を私に渡してくれる。それに対して、
「ありがとう」と私は返す。黙って立ち去るのでは
「お酒ば入れたら、鍋を動かさんとよ。そしたら、苦うならん」
数年前に亡くなった叔父の言葉。
私の実家は、私が生まれた頃は三世代同居で、祖父母・私の両親・私、そして父の弟(叔父)と妹(叔母)の7人家族だった。叔母は私が小学校に上がる前に嫁いでいってしまったが、叔父は私が中学生になる頃までずっと同居していた。
この叔父さん、うちの両親からの評価はそれほど高くないものの、私にはいろいろなことを教えてくれる面白いひとだった。私が育ったのは1970年代の九州であ