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奈良県立図書館「石原慎太郎企画展示」について思うこと

奈良県立図書情報館で、故・石原慎太郎氏の著書の展示が行われているというニュースを知った。

故人は生前、良くも悪くも大きな注目を浴び続けた政治家の一人で、歯に衣着せぬ発言は好意的にもとられ、一方で、隠そうともごまかそうともしない差別的な発言は問題視されていた。

石原氏は、多くの本を書いていたことでも知られている。知ってる?

奈良県立図書館では、今回、彼の著書とともに、これまで問題視されてきた彼の発言(女性、障害、外国人、病気、同性愛等…)に関する資料を展示するという、少なくとも私にとっては斬新な展示方法をとった。

有名人が亡くなると、多くのメディアでは追悼として特集番組が組まれる。
そして基本的にそれは、故人の生前の偉業や功績、人となりをほめたたえるもので、「惜しい人を亡くした」という締めくくりに向かうように構成されている。

誤解しないでほしい。
私は、このスタイルを批判しているわけではない。
追悼として、まっとうな姿勢だと思う。

人が亡くなった時に、ネットでは、それを両手を広げて喜ぶ人も、皮肉る人も、過去の悪行を書き連ねる人もいる。
私は、これは好きじゃない。
どんなに心の中で思っていようと、故人に恨みがあろうと、今はそういうタイミングじゃないだろうと思ってしまう。

でも、死んだらすべてチャラね☆とも思わない。まったく思わない。

だから、今回の展示は意味がある。
彼の著書を並べ、その功績をたたえながらも、著者のネガティブと思える側面を、批判ではなく問題提起のきっかけとしているところが巧みなのだ。

ただし図書館は、ただ関連図書を置いておくだけ。
それ以上は何も言わない。
でも、展示に込められた思いや願いは感じることができる。

というかね、石原氏がどういう人物だったかなんていいのだ。
誤解を恐れずに言えば、そんなことはどうでもいい。

過去の人を批判したって、問題は解決しないし、誰かを救えるわけでもない。
でも、きっかけにはなれる。

亡くなった人をあれこれ言うのではなく、自分はどう考えるかってことが、大事だ。

石原氏の生前の発言に、深く傷つけられたという人も実際にいるだろう。

じゃあ、自分はそれに対抗できる言葉を持っているのだろうか。
乱暴な批判ではなく、意見として、きちんと自分の言葉で伝えられるんだろうか。
自分の考えを。
(対抗できないなら批判するなってことじゃないよ?)

あとね、
私は、問題発言と取り上げられることにある種の進歩を感じている。

なぜなら、かつてはそれらの発言は、問題にも思われていなかったからだ。
誰も気にも留めず、当たり前に発言していた内容が、「おかしい」と思われる時代になっているってことだ。

じゃあ、どうしたらいい?何が必要?どう変えていける?

私たちは、考える必要がある。
そのためには知識や経験が欠かせない。
誰かを批判しているだけじゃ、一歩先には行けないのだ。

別に、大げさじゃなくていい。
身近なことでいい。

自分のまわりに、誰かにいじわるする人がいるとする。
その人を「あの人サイテーだよね」「ひどい人だよね」と言ったところで、現状は変わらない。

別に、正面切って成敗するべきとは思わないし、上の立場の人にチクったからって改善するとも限らない。
でも、どうしたらいいか、考えることはできる。

その人を責めないからといって、その人を擁護しているわけじゃない。

ただ責める、批判するのは、ある意味めちゃくちゃラクなのだ。
思考停止したって出来てしまう。

でも、現状を変えようとすると、考えなしではいけない。

変えることで、傷つく人、嫌な思いをする人が生まれる可能性だって覚悟しなきゃならないし。

だから、知ることって大事なのだ。
理解ではなく、知ること。

だから、そのきっかけを今回のような形で提供してくれる図書館の取り組みを、私は素敵だと思う。
情報の公正さというか、平等みたいなものを感じられる。

まあ、「司書Aの趣味ゴリゴリ全開でおすすめさせてくださいっ!!!」みたいな展示も大大大好きなんだけどね。すごく楽しい。

ちなみに私は図書館ヘビーユーザー。
いつもいつも本当にお世話になっております。

よく行く図書館の職員さん、みんな丁寧でおだやかで、行くと挨拶してくれるし、本当に癒されるんだよなあ。

図書館なんて小学生以来いってないな~なんて人も、久しぶりに行ってみると、悲しいかな近年縮小傾向にある街の書店じゃ味わえないくらいのビッシリの本にワクワクするよ!

大人になってから読む絵本ってのも楽しいよ!

あと、学校の本棚にあるのは知っていたけど、全然興味なくて一度も手に取らなかった「マンガ にほんの歴史」とかも、大人になるとわかりやすさにビビリ倒して、(なんで現役の時これ読んでなかったん自分…)って悔しい思いしたりもするよ!

大きい図書館だと最近の漫画や雑誌もあるよ!いいなあ!

あはは、最後は結局、図書館サイコー!ってことが言いたかったみたいだね。

ま、言いたかったことはわかってくれたよね。それならいいんだ。


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