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「楽しい」って言いたい。誰が何と言おうと、これは事実だから。

ちょっと前に、「今年(2020)の春は今までにないくらい静かな春だった」なんて、みんなが口にしていたけれど、同じように今また、みんな今年の夏をまとめ始めている。

日本の夏は、苦手だ。

もともと高温多湿で、不快指数という誰が計測し始めたのかわからない数値が非常に高い日本の夏だけど、この頃は、いつの間にか赤道直下か熱帯雨林にでもなっていたのかと思うくらい、さらに蒸し暑い。ひどい。溶けそうだ。

ちょっと昔に(とはいえ約20年前)流行ったセンチメンタル・バスの歌に「39℃のとろけそうな日」って歌詞があったけど、あの頃はまだ、39℃なんて砂漠地帯の話だと思っていたし、幼い私はまさか気温のことだと思わず「高熱なのに炎天下で野球しているんだろうか…」と思っていた。

今思えば、39℃の高熱で炎天下のなかプレイボールが、いかにクレイジーなのかはわかるけど。

高温多湿×マスクは本当にしんどい

話が脱線しちゃったけど、とにかくどんどん蒸し暑くなり、40℃超えも珍しくなくなってきた日本。怖い。

そんななか今年はさらに、マスクを着用しなければならない場面が増えた。たぶん、人類史のなかでも、これだけの人間がマスクを付けていたことはないと思う。

もともと仕事中は年中マスク人間だった私でも、プライベートまでマスクをしていたことはないから辛かった。

適切な距離と換気が確保できる空間では、熱中症予防もこめてマスクはしていないけれど、建物や施設内に入るときはマスク着用を義務付けられている場所も少なくないので、常に持ち歩いている。

相変わらず、コロナウイルスの報道は続いているし、感染者は増えている。
自分たちなりの付き合い方を考えたうえで出歩く人たちは増えたけれど、それでも旅行・美容・飲食業界などなど、厳しい経営状況が続いている業界は圧倒的に多いのだろうと思う。

いろんな意味で、クラクラする夏だったかもしれない。

日本の夏はイベントシーズン

冒頭で、日本の夏は苦手だと書いたけれど、夏のイベントに関してはまた別のお話。

海、花火、バーベキュー、プール、野外フェス、ビアガーデン等々…
蒸し暑い中でも、これまでの私たちは勇んで外に出かけ、人混みにまぎれ、暑い夏をさらにアツく過ごしていた。

でも、各種イベントは続々と中止。地方のささやかなお祭りや、地域の盆踊りまで開催されない。

気軽に飲み会にも行けず、お盆も帰省組は自粛。

世の中の流れとしてはかくあるべきなのかもしれないけれど、それとは切り離して、寂しいもんは寂しいし、残念なもんは残念だ。

だから「今年の夏はひまだった」「今年の夏はつまんない」「今年は夏休みをムダにした」という人も実感として多い。

夏のイベントに一年のテンションを持って行っている人たちにしたら、そりゃそうである。

ただ、私は非常に楽しかった(今も楽しい)

世の中がこんな状況になりながらも、私にとっての今年の夏は、過去の夏たちに負けないくらい楽しい夏だった。

これまでは時間さえあれば国内外問わず旅行に出かけていたけれど、今年は断念。
その代わり、夫と二人、近場でのキャンプに力を入れた。いれまくった。

アウトドアで換気も十分、人との距離も十分、ハンドソープにアルコール消毒も持参して、基本的な感染対策をしたうえだったので、マスクもつけないで、思いっきりのびのびした。

街中では味わえない開放感をいつになくめちゃくちゃ感じた。主に口まわりでね。
息スーハ―スーハ―!!!!空気こもらない!!!

夫が釣りに出かけている間、私は汗だくになりながら昼寝して、近くの地元民が行くような温泉で汗を流した。

張り切って燻製機とか買っちゃったりして、気合入れてベーコンに挑戦するけど、なぜか毎回おいしいチャーシューが出来上がる不思議にも遭遇した。結果オーライ。

山の上のキャンプ場で、夜、椅子に腰かけお酒を飲みながら「なんかちょっと霧が濃くなってきたね」「そうだね湿っぽくなってきたね、ハハハ」なんて話してたけど、今思えばあれは普通に小雨だった。

とにかく、休日に晴れれば日帰りでも泊まりでもキャンプに出掛けた。
それは、例年になく「他に何も予定が無い夏」だからこそ出来たことだったかもしれない。

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それから、ことごとくイベントが無くなった今年に限って、私のなかに和服ブームが到来した。

茶道をやっていたこともあり、和服を着る機会は同年代より多い方だったけれど、それでもここまで「着たい!!」という衝動に駆られることはなくて。

だから、私服で着ることにした。

着物は自分で着るにしてもやっぱりちょっと面倒なので、浴衣の季節に!浴衣を着るぞ!と、決め込んだ。

なかなか長時間の予定も入りにくい今の状況がむしろプラスに作用し、ちょこっとのお出かけに浴衣を着られるので、着崩れや着疲れを心配しないでいいのもよかった。

お祭りでもない限り浴衣姿を見かけない田舎なので、会う人会う人に「今日なにか(イベントとか)あるんですか?」って期待を込めて聞かれるけど、無いんだよと答えるのだけちょっと心苦しかったけども。

そして、着てみると案外気楽に着られることを実感し、「あーこれはハマるな」と確信した夏でもあった。和服たのしい。

もともと派手な格好に抵抗が無い人間だから、田舎で着られるのかもしれないけど。そこは否定しないけれど。

「楽しかった」って言わせてほしい

世の中には、大変な状況にある人や、生きがいにしていたイベントが中止になって、心底ツライ思いをしている人がいることは想像できる。
厳密に言えば、想像よりもっと近くに、その存在を感じることができる。

だから、こんな夏でも「超楽しい~!」なんて言っていたら、不謹慎警察に真っ先に狙われてしまうのもわかっている。

でも、私がこの夏、「楽しかった」のは事実だ。

出来ないことも多かったし、諦めたことも多々ある。
でも、そのなかでも楽しいことはあったし、そう思えることがあってよかったなって思うのだ。

「じゃあ胸に秘めていれば?」と思うかもしれないけれど、世の中が2020年の夏はつまらなくて最悪の年にするのがデフォみたいになるのは嫌だから、私の記録としてここに書くことにした。

誰かがこれを読むことで、「あ、私以外にも楽しんだ人いたんだ」って安心してもらえればいいな。

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まだまだ暑い日は続きそうだから、これからも楽しいことを探していく気満々だ。

「楽しい」って思うことに罪悪感を感じることがないように。口に出さなくても、文字に残さなくても。

自分が「楽しい」と感じたことは、それが世界中がどんな状況にあったとしても、事実として素直に受け止めていいんだと思う。

人の目が気になる昨今だからこそ、自分の素直な気持ちだけはちゃんと捕まえていたいと思う。

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