タブレット片手にさっさと学校を飛び出せばいい
タブレット授業開始 気仙沼市内小中学校
2021年1月22日の地元紙「三陸新報」です。「その時歴史が動いた」ですよね、これはもう。10年後子どもたちにこの記事を見せたら「じゃあこれ以前はどうやって勉強してたの?」と聞かれるでしょう。私が「ケータイがなかったころ、どうやって仕事をしていたのか」想像できないのと一緒でしょう。
それ以前はね、黒板を見ながらノートに鉛筆で手書きで書いてたんだよ。教科書とは別にプリントもその都度配布してね。先生はプリント配るのが上手だったんだよ。そうそう、だからランドセルが重くてね。子どもには重すぎるとか、置き勉はいいのか悪いのかとか、いろいろ問題になったりとかしてね。
らんどせる?おきべん?…すっかり昔話になっているんでしょう。昔はみんなナイフで鉛筆削ってたんだよとおばあちゃんに二つ折りのナイフを見せられて驚いた自分のように。(ランドセルってなくなるの?これだけで記事が一本書けそうです。これはまたいつか)
この「黒船」に教育現場はどう対応するのか。いい未来を期待したいです。
2年連続 全学科定員割れ
一方、決して明るくない未来。同じく三陸新報2021年1月21日。受験生の数が毎年激減しているのだから当たり前っちゃ当たり前の話です。じゃあどうすればいいのか。地域とともに衰退していく県立高校は全国にごまんとあり、地域=市町村と県立高校が垣根を越えて改革していく「高校魅力化」という手法が注目されています。地元の特色を活かしたカリキュラム改革や生徒の全国募集などを行います。特徴は市町村が県立高校にせっせと投資するということです。例えば公営塾やコーディネーター、全国募集した際の学生寮の整備などを行います。市町が県の持ちものに投資?貧乏なのになんでそんなことするの?高校が1校しかなく、その存続が地域の存続に直結するからです。高校の復興と地域創生をセットにするんですね。離島や中山間地域にある小規模自治体で見られる事例です。市町村の情熱に突き上げられ、県も動き出すといういい循環が生まれているところもあります。
だったら気仙沼のような公立3校、私立1校が現存するまちはまだ大丈夫、と言って油断するなかれ。人口数千人の小規模自治体はお尻に火がついたように改革を進めていますが、ヤバいのは5万〜10万規模の油断している自治体です。気仙沼でも昨年度(19年度)より「気仙沼市学校教育の在り方検討会議」を立ち上げて、当地域の高校改革の在り方を議論しています(筆者も委員のひとり)。
高校生アワードの感想「学校→まち」
高校魅力化に向けていずれ市が動きやすいように、勝手に改革マインドを持って突き進んでいるのが私たちNPO界隈のプレーヤーです。「高校魅力化」発祥の地である離島・海士町に視察に行き、市の企画部を巻き込んで高校生による探究活動のプレゼン大会「気仙沼の高校生マイプロジェクトアワード」を敢行。今年度4年目の開催となり、市の教育委員会や各高校ともかなり信頼関係が築けてきました。(上の動画は高校生のインタビュー動画です)
アワードは年末に済んでいて、先日1月20日に振り返り会を出場者の高校生たちと行いました。コロナ禍から高校生とのワークショップはオンラインが基本です。その中である高校生が言います。
「今までずっと学校っていう限られた環境の中でしか動いてこなかった。でもマイプロジェクトアワードを通して、オンラインで観覧者にコメントもらったり、地域の人たちに声かけてもらって後日会議を開いたりして、自分がついに学校を出て、地域とつながった!と思ったんです。充実してますよ」
2021年は、1人1台タブレットを片手に生徒たちが気仙沼のまちに繰り出す、もしくはタブレット越しに学校を飛び出し地域とつながっていく、そんな光景がいよいよ当たり前になる予感がします。いや、さっさと当たり前にしたいんです。
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