シェア
Kate
2021年6月5日 14:59
西向きの窓から注ぐ夕日は、薄いレースのカーテンを溶けるような赤に染め、私の顔に降りかかる。ある種の悪意すら感じる鮮やかな光に瞳が傷んで、私はそっとまぶたを閉じる。裏側に広がった橙色は、太陽の光と私の血液が交じり合った、生きている色。「すごい夕日だ。」五感の一つが閉ざされているせいなのか、耳元でささやかれた低く穏やかな声に、身体が敏感に反応する。自分の身体を押し付けるように抱きしめた長い腕が、
2021年6月1日 19:03
クリスマス・イブの夜、一人で改札に向かっていると、全ての人々が幸せそうに見えて、全てが敵に見えてくる。貴方は一人ですか?かわいそうですね、なんて心の中で笑ってるんだろ?知ってるんだよ、こっちは。歪んだ心はこっちだというのに、人のせいにして肩で風きって堂々と歩く。 クリスマスに早く寝なくなったのは、サンタクロースは来ないことを知ってしまったからで、だってサンタクロースは良い子のところにしかこ