二の足

アクセルとブレーキが脳内でせめぎ合って、何をするにも二の足を踏む為、自分の殻にこもりが…

二の足

アクセルとブレーキが脳内でせめぎ合って、何をするにも二の足を踏む為、自分の殻にこもりがちな怠け者。 Cornelius小山田さんについてと、音楽、写真、読んだ本の感想などを書く予定です。

マガジン

  • 自己紹介・趣味など

    自分の特性の話や、読んだ本の感想などを書く予定、でも未定。

  • 小山田圭吾さんの炎上に関して

    炎上の件を通して考えたことを、頭の整理として文章にまとめたもの。個人の意見です。

最近の記事

映画日記:トウキョウソナタ

黒沢清監督が家族を撮った作品。好きというのとは違うけれど記憶に滓のように残り、数年おきに観たくなる映画。 ネタバレあらすじ。 タニタの総務課長だったがリストラされた父(香川照之)、 家族他に振り回され続ける専業主婦(小泉今日子)、 「日本を守るため」突如米軍へ志願してそのまま中東へ派兵されるフリーターの長男(小柳友)、 思ったことをすぐストレートに言葉にする為に教師(児嶋一哉)と折り合いが悪く、近所のピアノ教室(講師:井川遥)に給食費をつぎ込む6年生の次男(井之脇海)、 か

    • 映画日記:リトル・パレスティナ―包囲下の日々―

      たまたま、UNWRA(国連パレスチナ難民救済事業機関)から各国の資金引き上げが始まったタイミングで観ました。 2009年にシリアを旅行した際、この難民キャンプの存在を知らずに近辺を呑気に観光して、戻った後もその封鎖などにも恥ずかしながら全く気付いていなかったので、更に何とも言えない気分になりました。 今回もネタバレで感想などを書きます。 ストーリーの無いドキュメンタリー映画で、ひたすら封鎖されたキャンプの日々が展開します。中での生活のリズムをトレースしているような雰囲気もあ

      • 読書日記:村上春樹『1Q84』

        ネタバレ的に考察します。 普段小説を読む時は、分析抜きでただ物語として楽しむので、書きながら考えた部分が多くて、長くてしかも半分はヤマギシ会(農畜産業集団)の説明になった。 ユートピア思想と宗教と政治の関係についての考察、みたいになちゃった。 他の作品についても書いてるので、春樹好きの人なら楽しく読めるかも。 村上春樹が繰り返し小説に出すモチーフのひとつに、学生運動があります。 熱心でなくそれなりに参加した人が、その経験を未消化なた手放さず視野の隅にずっと置いているどっちつ

        • 映画日記:リアリティのダンス

          ホドロフスキーを見るのも、たぶんこれが初めてだと思う。 あっけにとられながら興味深く見て、他の作品も見たくなった。マジック・リアリズム的めくるめく急展開のストーリーに振り回されるのが楽しく、南米らしい鮮やかな色合わせが展開にマッチして目に楽しい。 お父さん役の人は、過酷な運命で人相がどんどん変わる役を見事にこなしていて、最初はえげつない暴力親父だったのが、愛すべき人間になっていって、泣かせる。どこまでが実話なのだろう。 一人だけオペラ歌手なお母さんもシュールで最高。DV夫にさ

        映画日記:トウキョウソナタ

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        • 自己紹介・趣味など
          16本
        • 小山田圭吾さんの炎上に関して
          12本

        記事

          映画日記:ドライブ・マイ・カー

          いまさらですが、ネタバレありで感想を書きます。 一見して掴みどころがなく感じたので少し掘りたくなって、二度続けて見て原作も読み返し、劇中劇の筋や監督インタビューを読んで、最終的には、こうして書いて少し整理しようとしてます。 しかも書きかけて何となく一か月以上寝かせていて、今書き上げたのは、他のやるべきことからの逃避行動です。 声について 映画を見る時は、一度その世界を受け入れて、終了後の余韻をもとに、見ながら感じたことを振り返ることが多い。 つまり、ふわっと見て結論なくふ

          映画日記:ドライブ・マイ・カー

          映画日記:ノスタルジア

          タルコフスキー監督作品を観たのは初めて。 難解そうな巨匠の映画は、理解できないのではないか、それを誰かに知られるのは恥ずかしいというストッパーを感じ、なかなか手を出せない。他人の評価より自分の好き嫌いが大切とも思ってはいるけれど。 素直に受け入れられず損をしている。自分本来の薄っぺらさを胡麻化さねば、みたいなくだらない防衛本能が消せない。 末っ子気質でよく知らない話題でも背伸びして話を合わせる癖があるからか、知識豊富と時々勘違いされるが、自分には教養に厚みが無い。経験値はもっ

          映画日記:ノスタルジア

          映画日記:岸辺の旅

          悲惨な学生時代の後遺症か、三年周期くらいで、友人との関係性を破壊するような失敗をする、または問題が起きていると感じることで逆に自ら問題を呼び込んでしまう。 自分も他人も信用できない。 問題と常に同居していた頃から、未だに抜け出せない。 常時一対一を保てる相手なら比較的大丈夫だけど、たいていの人とは複数人含めた関係にならざるを得ないので、キャパオーバーでぎこちなくなっていって、自分できっかけをみつけては駄目にしたり疎遠になる。 平常運転として、関係性が壊れていた頃の状態が記録さ

          映画日記:岸辺の旅

          姉妹というもの

          最近、大島弓子の「バナナブレッドのプディング」が入っている選集をパラパラ読み返していた。 改めて読むと、彼女がテーマとして何度も描いているのは、優秀な姉とそうでない自分とのギャップに苦しむ妹達が、そこを抜けて自分自身へと歩き出す瞬間だ。そこに至る過程には、周囲を振り回す程の葛藤がある。 自身の経験を、何度も繰り返し描いて確認しているのだろう。 それぐらい噛みしめ甲斐のある、姉と妹という関係。 わたしも妹で、華やかで行動力のある年の離れたふたりの姉達の影響をもろに受けて、一番

          姉妹というもの

          追記

          思考も部屋も整理するのが苦手で、書いて投稿した後から追加することを思い出す。全部書ききって次へ、というのに向いてない体質だ。 整理のつもりで書いているのに、結局書き散らかしている。 前回2つ投稿したいじめにまつわる文章で書き忘れたこと。 いじめ被害者について、世間では、隙あらば復讐したいと思い詰めているようなカリカチュア化されたイメージか、立ち直れず過去を思って泣いてばかりのイメージ、があるように思う。 いじめに関する創作物で出て来るのは、だいたいそういう人物だ。 そうい

          いじめを支えるもの

          空気についての思い出と、最近読んだ漫画の話など。 小中学時代を通じて、常にゆるやかないじめを受けていた。 あっちへ行け、変な顔、汚い、くさい、ばい菌、etcを毎日毎時言われ続け、常にクスクス笑われ、班に入れられない、ひたすら無視されるなど。 悪口に言い返してもきりがなく、高校に上がるまで一度も止まなかった。 ごくまれに蹴る叩くの小さな暴力もあったけれど、競争の少ない田舎でSNSの無い時代だからあれで済んだと思う。それでもダメージは受けた。 無視はし返せばいい、気にする必要な

          いじめを支えるもの

          いじめ後遺症

          「自分をいじめた同級生がメディアで活躍していることを知り苦しい」 https://dot.asahi.com/dot/2023041300084.html?page=1 この相談記事を読み、改めてしばらく考えていた。 怒りに蓋して平穏に死ぬまで過ごされたらそれでよかったかもしれないけれど、これを抜けたら本当の意味で前に進めそう、と外から見ると思う。 けれど、それまで怒りに蓋していたのはそれだけ厄介な感情だからで、意思や理性だけではやり過ごせない。 アドバイスにあるように、専門

          いじめ後遺症

          正しさとは

           わたしにとって、「正しさ」は、決して自分以外の誰かに実行させる為のものではなく、自身の到達目標として自分の中に創り上げるものだ。時代や個人的成長とともに「正しさ」の在り方も変容していくので、その変化を自覚的に観察すべきものでもある。  それでも万人に共通不変の「正しさ」が存在するはずだ、という考え方も、それはそれで素敵だし尊重もするが、お互いの了解のない正しさを一方的に押し付けられるのは御免である。  社会を公平に運用する為には、主観を離れたルールが必要だ。個別の権利侵害に

          正しさとは

          映画日記:アフター・ヤン

           普段は映画の感想はfilmarksに書いているけれど、今回は長くなり整理にも時間がかかりそうで、中途保存したり修正ができるこちらに書こうと思う。とりとめなくなりそうな予感。  この映画は、音楽にリリィ・シュシュの「グライド」を使うセンスに惹かれたのと、坂本龍一さんの曲もあること、一番はストーリーに興味が惹かれたので見に行った。経済的制約があり、基本的に1カ月にそんなに映画館では見られない。今月は、これを最優先映画に決めた。  たぶん、SFというジャンルだけで捉えると、映

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          読書日記:小麦畑の三等星

          ◎読んだもの:萩岩睦美『小麦畑の三等星』①~③、集英社文庫コミック版  小中学生の頃読んだのを、最近読みたくなって買い戻した。同じ作者の『魔法の砂糖菓子』も読み直したいけれど、まだ入手できていない。  萩岩さんの作品は、絵柄の可愛らしさもとても魅力的だけれど、わたしが一番惹かれているのは、常に集団に馴染めないよそ者の寂しさを描いている点かもしれない。そして、馴染めない辛さが描かれているのだけれど、主要なキャラクターがほぼ全員圧倒的に優しい。  (ここからは若干ネタバレ)この

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          少女漫画の思い出

           父が児童文学好きで家にたくさん本があったのに加えて、うちには姉が買い集めた昭和の少女漫画のコレクションもあった。そちらにもずいぶんお世話になった。  長姉は、移り気なメジャー路線なのでオタクとは言えないものの、やや収集癖があって、少女漫画の他にも鉛筆や消しゴムなどの文房具も、尋常ではない量を集めていた。わたしと同じならお小遣いは極々わずかだったはずで、お年玉やおねだりなどを駆使していたのだろうか。わたしは交渉が苦手で、くれるのを待つか他を切り詰めるタイプだったけれど、姉は昔

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          父の本棚

           実家には、父が買った大量の本と本棚がある。本人はそんなに読み返している風でないし、買ったきりに見える本も多い。もったいない、家が狭いし図書館で借りればいいのに、と子どもの頃は思っていた。  大人になり、借りに行ったり期限内に返したりが面倒だけど読みたい気持ち、読む余裕や速度が減る一方で読書欲は減らないことが分かり、気づいたら、自分も積読癖の人間になっている。  荷物が多いから広くて安い部屋をさんざん苦労して探し、引っ越し前後にはやや改心して本を減らしても、スペースあるやんと

          父の本棚