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若者を食い物にするコンサルタントに注意せよ

私は週2回大学でもマーケテイングやフードビジネスの講座を持っている。真面目にちゃんと聞いている学生がこの頃多いな、という印象である。もちろんそうでない学生も多いが、私自身がそうであった時代もあるのでまあ目をつむっている。レポートの内容までひどければそれなりに指導するが。

真面目に聞いているだけでなく、積極的にいろいろな活動に取り組む学生もいる。もちろん、就活対策などの部分もあるだろうが、インターンシップやボランティア活動に、学生起業サークルなどもふくめれば多種多様な活動場所がある。

しかし、そういうところにいろいろ入り込んでいる大人には注意した方がいい。

かつて私は上記のような記事を書いたが、その中で

『私のかつての知り合いで、コンサルタントを名乗るおっさんが、就活を控える学生たちに向かって「一流企業の人事で、人事になりたいからと一流企業に入った人なんていない。だから、その人事の面接官たちに臆することなんてない。落ちこぼれなんだから。」ということを言うた人がいる。これは根本から間違っている。一流企業の人は、その企業内での成長過程の中でどの道に行くかをそれなりに見極めたうえでコースを進んでいることの方が多い。それだけの、新卒からの成長を待つ余裕もあるし、採用の段階で様々な人間を獲得している。就活武装の剥がし方のノウハウもある。ただ、それをしても意味がないと思っており、就活の待機室や、雑談の中での評価などもうまく使っている。また、内面まで見ることができるかどうかは別として、その企業としての哲学に応じたかなりクリティカルな質問を持っている。』

という内容を書いた。この中で取り上げた『コンサルタントを名乗るおっさん(仮にAとする)』は、毎年学生を集めて大きなイベントを運営企画していた。しかし、今から思えば『学生を出汁にして』いろいろなビジネスを企てていた。はっきり言ってしまえば学生を食い物にしている部分も多くあったと思う。

最近、このような記事を目にすることがあった。

こちらで書かれている中に現れる社会人のような人はごく稀にだが目にすることはある。学生の活動に対してすり寄って、応援する、資金を出すということで話をしながら、結果的に学生を格安で働かせていたり、学生のチームを抱えていること(そしてその大学の知名度が高ければなおさら)を自分の『ブランド』としてアピールし、経営者仲間の中でマウンティングすることに使っているような人だ。

学生から見れば社会人と仕事をしていくことはとても魅力的に映る。同世代の中で、だらだらと刹那的なことで楽しむよりも、大人びた世界にあこがれて、その中で活躍することで自分の箔付けにつかう学生ももちろんいる(もちろん、それ以上に、純粋に社会に対してかかわりたい、積極的に活動したい、あるいは社会人になることが不安で今のうちから多くのことを社会人から学びたい、という学生の方が多いのだが。)いささか個人的な感覚で恐縮だが、体育会のようにある意味否応なしに社会人(OBOG)と18歳19歳のころから強烈に関わる学生より、そういうところに所属していない学生の方が、将来に対して積極的に勉強したい、あるいは不安だということで社会人とつながりたい動機が多いように見える。

社会人の立場で、学生に対して「こんなことを教えてあげよう」「こんな人を紹介してあげよう」という『教えてあげるおじさんおばさん(これがまたコンサルやコーディネーターやなんちゃらオーガナイザーと名乗っている人の多いことよ、、、)』は、学生の立場からしてみれば善悪が判別しずらいと思う。そのなんちゃらコンサルなどの人は、SNSでいろいろな人がつながっているだの、有名人と仕事しているだのということで学生の信頼を得ようとしている。そういったことに何となく信頼感を感じて心酔してしまう学生も多い。しかし実際は大したことない仕事をしていたり、こういうご時世で補助金がわんさかと出てくると、学生のつながりをアピールしながらそのプロジェクトにいっちょ咬みしてくることで糊口をしのいでいる人が多いのだ。

では、そういう人に学生が騙されないようにするためにはどうすればいいのかというと、学生に自衛手段を授けることも大切だが、大人同士でこういう人間をつぶしていくべきなんだろうと考える。

先に取り上げた北大の方のような事例は事実珍しくはない。A氏はやたらと京都大学などに出入りして、このような機会を狙っていた(たしか会社作ったと思う。上手くいったかは知らないが)。しかし、ビジネスモデルとしては大したことがなかったので、私は合流あるいは協力を拒んだ。そして、学生を搾取するような行動はやめるべきだと、そのA氏周辺の人たちにやんわりと、時折はっきりと主張し続けた。多分うまくいっていないと思うのだが、それは私が周りに吹聴したわけでなく、そもそもビジネスモデルとして学生を搾取するようなものだからだ。

学生のために、若い力を伸ばすために、という主張は正しくても、そのために自分の野望を果たそうとかあわよくば儲けてやろうという行為は許されない世の中になっている。そもそも学生もいつまでも騙されないし、失敗すればそのなんちゃらコンサルの人も経営者生命が終わる。悪事千里を走るのだから。もし、周辺に学生とのネットワークで何かしようという社長やなんちゃらコーディネーターの人がいたら、大人同士がシビアになって指摘する必要がある。若い芽を無駄に枯らせるようなことはどんな人であっても許される行為でない。

つい先日もSNSで、とある地方創生事業にかかわる人が、『仕事がいっぱい増えてきて大変だが、ぜひ誰か手伝ってほしい。地域おこし協力隊として来てもらいたい。給料は安いけどやりがいがあります!』という投稿をしていてげんなりした。地域おこし協力隊の給料は手取りで10万円台後半である。また、どんな仕事か知らないが、やりがいがあるし仕事が多いなら、それ相応の給料を獲得できるよう、その地方自治体やそのプロジェクトに対して働き掛けるのが大人の役割である。予算が獲得できない、あるいはその事業に確実性がないから地域おこし協力隊の仕組みで逃げるのである。

こういう若い力の誤った使い方が起きないようにするために、私は授業を通してやんわりと、こういう危険性を学生に伝えていたりする。せめて、その話をしている時くらいはスヤスヤしないでほしいと思うのは講師としては矛盾しているのだが。

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