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地方創生の起業で失敗しない「かもしれない」方法(営業編)

先日、上記のようなツイートを見つけたが、私の友人知人関係や、いろいろ聞く話でも大体このような理由だと思う。キャッシュが足りなくなるのは売り上げが想定通り上がらないから。もちろん、初期投資が嵩んだり商品やサービスそのものが稚拙だったりして売り上げを獲得できなかったということもあるが、一番の理由はここで挙げられているように「市場のニーズがなかった」ということだろう。

しかし、このことは体感的には同意できるが、本当のところは別の理由もあると感じている。それは、市場のニーズがなかった、というより、「市場のニーズを掘り出すことができなかった」ということだろう。そもそも、ニーズがなかったのなら、何で起業した?ということになる。必要は発明の母とは言うが、「誰かが必要としている」ことに対して新しいサービスは起きる。世の中の新しいベンチャー企業は、全くマーケットリサーチをしていなかったのかというとそうではない。むしろ、マーケットリサーチをしすぎて、「これだけの潜在ニーズがあるから、PRを大々的にやればどんどんお客さんが集まってくるはずだ!」ということで、営業活動をあまりしていない、もしくは営業活動に不備があったということが多い(そういう意味では、上記ツイートの中のNot the right teamは当てはまるかもしれない)。

ベンチャー企業が起きるときは、多くは経営者がTOP営業をする。しかし、経営者(創業者)というものは良くも悪くも夢を見て突っ込むタイプの人で、その営業先の企業の人の悩み相談や課題の把握というよりも、「自社の商品はこんなにすごいのです!!!」という語りになりがちである。もしくは、自分の商品はすごいので説明しなくても理解してくれる、聞いてくれる人はたくさんいると思ってしまう人が多い(個人的経験だと、大手企業にいた人ほどこの傾向が強い)。

例えば、業務を効率化する劇的なITツールを開発した企業があるとして、そのシステムを売り込みに、ターゲットである中堅企業に売り込みに行こうとすると、たいていの場合あしらわれる。なぜかというと、そのシステムを自社で導入した場合どのような効果が出るかを金額的に分かったとしても、「その効果を生むまでに既存のシステムを捨てたり各部署に説明したり上司の決裁をとったりする」果てしない道のりをどうしようかということを考えることの方が多い。

その道のりをどうするか、それをアドバイスすることや一緒に手伝うことが実は新規の営業では求められるスキルである。これは、やったことがない人ではなかなかできないものである(特に、アイデアマンや夢を見て突っ込むタイプの人の多くのベンチャー創業者は、提案というものは、いったん提案したら社内で検討して進めてくれると思っているか、もし進まなければ企業の応対した担当者が無能と思って、他の企業に営業に行けばいいと思ってしまう。そしてフォローが遅くなり、見込み客を失注してしまいがちである。結果として受注できないということが、「市場のニーズがなかった」とされている場合が多い)

もちろん、フォローすればいいというものではなく、フォローしすぎてその分赤字ということもありうる。こういう個々の判断は難しいのだが、企業の最初のころの売り上げはどうあっても欲しいものだ。なので、この営業先は無理してでも獲得しよう、とかの判断を営業担当者や営業担当役員は日々している。そういう仕事をスタートアップがでどこまでできるかが成功の分かれ目ではないかと思っている。

これが地方の話になると、この営業という仕事の重要性がさらに増してくる。地方というのは良くも悪くもしがらみが強い。なので、この商品を売りたいとか新しいサービスを広めたいといっても、「よっぽどの新規性の有るサービスや商品でない限り、既存の取引先や競合相手がいる」。簡単な話、地方の情報を提供するような起業をするにも、観光協会のようなものはどこの市町村にもあるし、地域の物品を都会に売り込むのであれば農協や、全国的に展開しているサービスなどがある。どんなものであれ、地域の人にしっかり説明して顧客もしくは取引先として獲得していくことが大切である。

なので、もし地方でスタートアップするのであれば、確実に必要なのはマーケティングに長けた人より、その地域の・もしくはそのサービス(業界・商品)の営業活動(調達活動)に長けた人を確保することだと思っている。それがうまくいかなかった結果が「市場のニーズがなかった」という中に含まれてしまっていると思う(poor marketing、という理由やIgnore Customerという理由は、マーケティング自体や顧客関係政策といったことが明確に失敗したときのみにカテゴライズされると推測する)。

地方の中で必要なのは、先に架空で挙げたような「その効果を生むまでに既存のシステムを捨てたり各部署に説明したり上司の決裁をとったりする」果てしない道のりを乗り越えられるように粘り強く営業して顧客として獲得し、顧客とともに成長しようという姿勢である。多くの成功事例を見てきたり失敗事例を見てきた。しかし、成功事例に共通しているのは地域内外の顧客・取引先に対して粘り強く働きかけをしてきた人だと思っている。



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