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お土産屋で見るポイント(マーケターの習慣あれこれ)

①お土産という巨大市場
②お土産商品開発において気を付けること
③視察でチェックしているポイント

さて、今日はこれから新幹線で岡山です(最終目的地は真庭なので、新大阪駅から岡山までの時間より、岡山から真庭市までの時間の方が長いw)。

今日も新大阪駅は、帰省して祖父祖母のもとへ行こうかという家族連れや、
週末を関西で過ごして東京方面などへ帰ろうという人でいっぱいでした。

①お土産という巨大市場

さて、新大阪駅や岡山駅には、とてもたくさんのお土産が並んでいて、毎日飛ぶように売れて行っている。新大阪駅の新幹線改札内、一番大きなお土産物売り場だけで一日当たり最低500万円は売れているだろう(週末の場合  レジ5台ほどがほどんど絶え間なく稼働していて(1客あたりだいたい1分ちょっと≒1時間当たり40人と仮定)、平均単価2000円(あるいはもっと高い)くらいとしても、7時から20時までで13時間、5×40×2000×13=520万円)
新大阪駅全体でお土産だけでどのくらい売り上げがあるのか考えると本当にすごい。お土産という巨大市場がある。

岡山駅も非常に多くのお土産がある。特にこの時期は、旬のシャインマスカットと桃関連商品が非常に多い。特に、昔からの名産「きびだんご」にシャインマスカットが入ったものが人気に見える。シャインマスカットを求肥で巻いただけのように見えて、それは果たして「黍団子」と言ってよいものか気になるところではあるが。

大勢の人がたくさんのお土産を買う。その市場を巡って、日々新しい商品が開発されるが、そのすべてが定番商品として多くの人の口に届いているわけでなく、人知れずお店の棚から消えていくことも多い。

②お土産商品開発において気を付けること

さて、私の仕事の一つにこういったお土産の商品開発の仕事もあるのだが、最初に気を付けることは「だれのためのお土産なのか」ということである。

一応言うておくと、お土産として求められる「地域のストーリーやブランド」「適当な値段」「デザイン」「保存性」「持ち運びのしやすさ」などはもちろん考慮している。
ただ、それ以上に大切なのは「だれのために」そのお土産を買うかという買う側の意識を理解して商品開発を取り組むことなのだ。

というのも、かつては職場の人たちにお土産を、というのが主流だったが、今はそういう時代でもない(詳しくは「お土産と鉄道」という鈴木氏の著書をご覧いただきたい)。地方名が書かれただけのお饅頭やクッキーが売れる時代ではない。
お土産を自分用に買う人もいる。ご当地のフルーツをふんだんに使ったプチケーキ、フィナンシェなどのスイーツ商品や、タオル、グッズ、Tシャツなど。その土地に来た人の、『来るに至った理由』や『その理由を前提に、誰に何を買って帰るか』まで想像をめぐらすことが必要である。

例えば、友達とUSJに行った場合、お土産を買って渡す相手は、おそらく学校の同級生であったりママ友だろう。となると、ミニオンズやマリオのデザインされたもので、正直中身のお菓子は「何でもよい」。渡したい相手が大家族なら20枚ほどクッキーが入ったものだし、個人であればクッキー3枚入りの小さな箱だろう。恋人に渡すのであれば、3枚入りのクッキーに、さらに小さなグッズなどを考えるかもしれない。

私が今アドバイザーを務める石川県能登町の「イカの駅つくモール」では、巨大なイカのモニュメント「イカキング」が鎮座して多くの人を食べ、、、もとい、もてなして(?)いる。

ここでお土産として必要なのは、食べ物ではない。イカキングを見に来たことが記念としてその人に一生残るようなグッズである。例えばステッカーだし、スタッフTシャツであり、イカキングをモチーフにしたぬいぐるみやグッズなどだ。その証拠に、訪れる人(しかも個人のバイカーが多い)が求めるのがステッカーなど軽くて自分のバイクやガレージに貼れて、他人にもアピールできるものである。


③視察でチェックしているポイント


さて、そろそろ岡山駅に到着してしまうのでここらで筆をおくが(新大阪から岡山までは44分ととても早い)、私が各地のお土産物屋で見るのは、商品だけではなく、それを買い求めている観光客の行動だ。どんな商品の前で立ち止まり、何をチェックしているか。レジでは、どんな人がどんなものを買っているか。そして、もし何も買わないで帰ろうとする人がいれば、その人の世代的特徴などだ。

とある北陸地方の道の駅で、お土産物屋に入った後、3分ほど見回っていたが何も買わずに帰っていった明らかに地元の人でない女子大生世代2名がいた。しかし、お店の奥の方には、非常にかわいらしくて、その世代の人でも一度は立ち止まりそうなものがあった。お店の人に聞くと、確かに大学生世代に売れているという。では、この店が行うべき施策としては、棚の入れ替えだ。

どんな人がどのお土産を買っていくかを注目することは、実は品ぞろえを考える上でも重要である。サラリーマン風の人は、新大阪駅にもかかわらず、赤福と生八つ橋を購入していた。一人旅風の40代女性は淡路島のレモン(私も何度か支援した平岡農園)をつかったアンリシャルパンティエのフィナンシェを買っていった。その人たちは、どのような理由でその商品を買い、誰に渡すのか。何も買わずに出ていった30代の男性一人客もいる。

その行動にこそ、商品開発の重要なヒントが隠されている。

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