#パルプ小説
アンニュイ・オーミソカ #第二回お肉仮面文芸祭
「──ここでいうサザンカ、というのがお肉仮面のことだ」
「はあ」
12月末、雪のちらつく、某キャンプ場。
俺──阿佐谷ユータは、焚き火の向こうに座る女性・師走サツキさんの言葉に曖昧な相槌を返す。そこに含まれた「よくわかりません」というニュアンスを感じ取ったのか、サツキさんは「えーとな?」と笑って言葉を続けた。
「さっきの"ドレミの歌"と同じだよ。隠語ってやつ」
「サザンカが?」
「そう、
【肉帯低気圧バースト】 #第二回お肉仮面文芸祭
今日の東京はくもりのち、肉。
所により雷肉となるでしょう。
憂鬱な天気予報に思わずため息が出た。
窓から見える空には雲が流れ、うっすらと、赤い色がさしている。
東京に肉が降るようになってから、いったいどれぐらいの時が経ったのだろう。たしか、子どもの頃には肉なんて降ってなかったよな。そんなことを思う。
ため息をつき、もう一度空を見た。
空の赤みが増している。
もうじき肉が降って