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刀箱師の日本刀ブログ 中村圭佑
2024年7月24日 23:48
色々な図録などを見ていてもなかなか金一色の鐔というのは見かけない。ありそうでない、のが金色の鐔な気がする。とはいえ実際に展示会などに足を運ぶと、飾太刀拵や兵庫鎖太刀拵には金の鐔が付いているのをよく見かける。例えば「徳川美樹館蔵品抄③」などにもいくつか金の鐔が載っている。なので見かけない金色の鐔というのは、具体的には打刀拵や短刀拵に付くような鐔をここでは指している。以下は半太刀拵に金鐔が
2024年6月26日 23:38
一見小汚いがよく見ると全体が銀の布目象嵌で華やかに彩られている鐔を鑑賞。覆輪部には唐草模様がデザインされている。素材は特定が難しいが、鉄などの素材に思えるが匂いから山銅かもしれない。いまいち自信がない。横72.7㎜×縦74.6㎜×耳厚6.3㎜、切羽台厚5.3㎜布目象嵌部の拡大。耳部も縁まで丁寧に象嵌が施されており、錦布を触っているような感触が鐔から得られる。
2024年6月25日 23:46
以前この鐔について軽く触れたものの、単体ではまとめてはいなかったので久々に取り出して鑑賞。阿弥陀鑢の掛けられた素銅地に五三桐紋、十五菊紋、三巴紋の刻印が押され、雁(ガン)の透かしが入っている。横79.2㎜×縦84.1㎜×耳厚3.3㎜(切羽台厚2.1㎜)
2024年6月22日 23:38
重要文化財に指定されている伝村上義輝所用と伝わる鐔を成木一成氏が写した作。本歌は以下の作。同図を船田一琴も写している。こちらは独自の文字を刻んだり、耳に桜の象嵌を施すなどオリジナリティを加えている。さて以下が成木氏の製作した同図の鐔。こちらは本歌を忠実に写している。横95.9㎜×縦96.2㎜×厚1.8㎜ペラペラだが手で曲げる事は出来ない。薄い板材を買ってきてそのまま使って作って
2024年6月21日 23:30
江戸中期頃とされる会津信家の鐔。横76.3㎜×縦82.2㎜、耳厚12.1㎜(最厚部)、切羽台厚4.5㎜鉄鐔の王者と呼ばれる信家は尾張の金工で室町末期から桃山時代頃とされるが、今回の鐔はその信家ではなく、もっと時代の下がる江戸中期頃とされる会津の信家鐔。離れ銘の銘にも見ている様子が伺える。高温で熱した三本爪の孫の手のようなもので鉄が柔らかいうちにぐにゃりと曲げて造形したように見える。そし
2024年6月20日 22:51
軽くて頑丈な鐔で、表には漆がかけられている。2枚を合わせているように見受けられる。切羽台から耳にかけて徐々に薄くなる。横77.9×縦87.1×耳厚4.6㎜、切羽台厚5.8㎜、重さは30gと通常このサイズの鉄鐔であれば120g位はあるので4分の1位の重さとなっている。茎孔部を拡大したのが以下。材質の特定がいまいち難しいものの、けば立っている所も見られ革っぽさはある。耳は以下のように2枚
2024年6月19日 22:44
鋤出し彫により打ち返し耳を表現したと思われる素銅短刀鐔。横53.1×縦56.7×耳厚5.0mm、切羽台厚3.0㎜
2024年6月12日 23:20
今回鑑賞記録を残すのは山吉兵写の成木鐔。横82.4㎜×縦85㎜×厚5.3㎜。地鉄が常に見る成木鐔とは異なり、赤茶けている。以下左の柳生鐔写しはよく見る成木鐔の艶のある少し白みのある黒色、右は今回の山吉兵写しである。赤茶けている様子が伝わるだろうか。拡大して見ると、明らかに異質な地鉄が露わになっている部分が見られる。肌触りも独特で全体的にカサカサしたような触り心地。成木氏なりに山吉
2024年5月28日 23:57
鉄鐔作りで有名な成木一成氏による四分一地の牡丹獅子図の大小鐔。この鐔を手にしたのは2022年の大刀剣市であるが、まさかこのような四分一の成木鐔が存在しているとは思わず、目にした瞬間に衝撃が走ったのは記憶に新しい。成木一成氏の作ではその殆どが鉄鐔である事は図録を見ても分かり非常に珍しい作に思う。他に色金だと真鍮の安親写しなどが存在しているようである。(本鐔については以前こちらのブログで触れた
2024年5月20日 23:05
武州伊藤派の初代は伊藤正長と言われ、一説にその弟と言われる人物が今回取り上げる伊藤正次である。相州小田原伊藤派の祖とも言われ正徳頃(1711年頃)の金工とされる。伊藤家は慶長頃(1596~1615年頃)からの古い金工家の家柄とされ、伝系は正確には判明されていないものの、一説には正阿弥系、埋忠系、長州萩鐔系、相州小田原系と言われている金工らしい。「鐔の鑑定と鑑賞 著:常石英明」を見ると、伊藤
2024年5月16日 23:22
表に葡萄の葉と蔦、裏に葵の葉と唐草を毛彫で表現し、水滴を表現しているのか金と銀の点象嵌が施された古金工極めの鐔。この鐔の鑑賞記録を残しておく。縦77.6mm×横76.1mm×耳厚4.5mm、切羽台厚3.8mm。・象嵌部の拡大金と銀の点象嵌は綺麗な丸い形をピッタリはめ込んでいるというよりは、球のような窪みにラフに打ち込んでいる様子が見られる。因みに象嵌が外れている部分もいくつかあり、その
2024年5月7日 22:41
成木鐔を探していると何度も何度も目にする鐔がある。それがこの中津川市制40周年を記念して作られた鐔。表には長野県阿智村と岐阜県中津川市にまたがる「恵那山」と風流踊り、裏には中津川の市章と市の花であるサラサドウダンが描かれている。同図の鐔はヤフオクでも度々出るし、昨年の大刀剣市でも出品された。上記は2023年大刀剣市の時の物であるが、ここに書かれているように鍛造の鐔ではなく、鋳造の鐔に
2024年5月1日 23:55
最近少し刀装具の鑑賞記録を残せていなかったので久々に。古金工極めの花弁虫散図鐔である。縦76㎜、横73㎜、耳厚5㎜、切羽台厚3㎜。材質は鑑定書では四分一とある。縦に魚々子が入り古色が感じられる。「花弁虫散図」という名称が付いているが、虫は蝶と蜂と思われる。一方で描かれた草花は多い。草花は知見がなく、どのような物が描かれているか分からないものが多い。更に鐔全体を駆け抜けるように
2024年4月11日 22:20
今回紹介する鐔は無鑑査鐔工、成木一成氏により平成4年に作られた信家写の道歌鐔。刀連全国大会の天位賞で送られた鐔と箱書きがあります。この本歌は以下になります。表裏それぞれ並べて見ます。櫃孔は後世開けられたものと思われるので、写の方は製作当初の形を再現するためか櫃孔は開けられていません。この鐔は平成作でいわゆる成木氏の作風が確立した頃の作と見られ、トロンとした艶やかな地鉄をしている。