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親の生きがいをサポートし、実家の思い出をステキに

noteユーザーは若い方が多いので、実家のことで悩むのは、ちょっと先のことかもしれません。
でも、いつかはその時が訪れます。

親に優しく接することができなくて悩んだり、親に思いがうまく届かなくて怒ってしまったり、いろいろな感情が交錯するでしょう。

私の場合は、親が死ぬほど不幸だと思ってしまうのだけは絶対に避けたい、という気持ちで行動しました。
ちょっと親不孝だったかもしれませんが、すでに旅立った両親は、きっと笑って許してくれるだろうと思っています。

振り返ってみると、親との時間はなかなかステキな思い出でした。

子供たちは、親の行動を見て学びます。
そして、たぶん歴史は繰り返すのでしょう。

すでに還暦を過ぎた私と娘との関係が、今後どうなっていくのかは、楽しみでもあり怖くもあります。

今日は、私の経験を踏まえ、ちょっと頭の片隅に入れておいたら実家の思い出がステキになるかも、というお話です。

高齢者の生きがいとは? スウェーデンやアメリカと比べてみた

「政府統計の総合窓口(e-Stat)」で、ちょっと面白いデータを見つけたのでご紹介します。

出典の「高齢者の生活と意識に関する国際比較調査(2015年度)」 は、60歳以上を対象として行われたもので、調査数は約1,000件。
それをもとに、わかりやすい表を作ってみました。

Q1 あなたは、現在、お子さんがいらっしゃいますか。同居、別居についてお答え下さい。

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日本も核家族化が進んで、もっと別居が多いと思っていたので、同居率が41.9%もあったのには驚きました。

でも、もっと驚いたのはスウェーデン。同居率が、なんと3.0%しかありません。
これは、高校を卒業するタイミングで実家を出て、一人暮らしをするのが一般的だからで、高齢者のいる家庭に限ったことではないようです。

スウェーデンの高齢者が、子供と別居していることをどう思っているのか、とても気になります。

Q2 老後における子供や孫とのつきあいについて、あなたはどのようにお考えですか。

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「子供や孫とはいつも一緒に生活できるのがよい」は、日本が27.1%と、他の国と比べるとダントツに多くなっています。
気になっていたスウェーデンは3.7%しかなく、別居は普通のことだと考えているようです。

また、数値的には、3か国とも「ときどき会って食事や会話をするのがよい」が一番多くなっています。

ある程度の頻度で会えるのならば、私もそれでいいかなと思いますが、少なすぎると、きっと寂しいと思うはずです。

別居している場合、どのくらいの頻度で子供たちと会っているのか、現実が知りたいところです。

Q3 別居しているお子さん方とは、どのくらいの頻度で会ったり、電話等で連絡をとったりしていますか。

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データには電話等も含んでいて、実際に会った頻度はわかりませんが、スウェーデンやアメリカは、日本よりも会ったり連絡を取り合ったりする頻度が高いです。

日本は、同居率は高いけれども、一旦家を出ると徐々に疎遠になっていくという感じでしょうか。

かなり残念です。

そういう事態になるのを恐れて、なるべく一緒に暮らしたいと思うのかもしれません。

Q4 総合的にみて、あなたは現在の生活に満足していますか。

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「満足している」は、スウェーデンの61.0%、アメリカの71.1%に対し、日本は30.7%と非常に低い数値となっています。

なぜ、そこまで満足度に違いが出るのでしょうか?

Q4 あなたが生きがい(生きていることの喜びや楽しみを実感すること)を感じるのはどのような時ですか。

日本に比べ、スウェーデンやアメリカのほうが明らかに数値の大きい項目を黄色にしました。

なお、複数回答の質問なので、合計しても100%にはなりません。

① 仕事やボランティア活動など

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② 趣味など

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③ 団らん

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④ その他

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「趣味に熱中している時」以外は、スウェーデンやアメリカに差をつけられています。

しかし、ポジティブに見れば、日本人の場合は趣味が生きがいのポイントになる可能性が高く、46.9%と比較的数値が高めの「子供や孫など家族との団らん」も、うまく機能させれば効果が出そうです。

調査結果を見る限りは、日本人は楽しむことが、あまり上手ではありません。
高齢になると、あきらめも手伝ってか、さらに生きがいを持つことが難しくなるでしょう。

それでは残念すぎます。

超高齢社会 生きがい支える仕組みを

「お年寄りの単身世帯が増えると、『孤立うつ』が増えるだろう」。ある精神科医を取材したときの言葉だ。自ら命を絶つ65歳以上の高齢者は今、年に8千人を超える。厚生労働省によると、2010年に500万だった単身高齢世帯は、25年には700万に増える見通しだ。(中略)人は死ぬまで生きがいを求める存在だ。(中略)生きがいを支える仕組みを、医療・介護職だけでなく、行政や企業、市民を交えつくっていくべきだと考える。

ー2016年4月16日の朝日新聞 「記者有論 佐藤陽」

歳を取っても、生きがいは大切です!

親が生きがいを持てるように、なんらかのサポートができたら最高ですし、その経験は、自分にとっても役に立つはずです。

どうしたら親がもっと生きがいを持てるのか、調査データから見えてきたポイントをまとめてみます。

・ときどき会って食事や会話をする
・孫と会う機会を作る
・週に1回以上は会ったり、電話やビデオ通話をする
・趣味に熱中できる手助けをする

エンジンがかかれば、親の気持ちが徐々に前向きになってきて、自ら楽しいことを増やしていけるようになるのではないか・・・。

ちょっと願望を含んでいますが、そう思った方が親子双方にとって幸せです。

片付けは、親の気持ちを前向きにする第一歩かも

親の気持ちを前向きにするのは、実際は、なかなか難しいことです。

たぶん、様々なアプローチをとっていく必要があるのだろうと思いますが、意外に、片付けはその有効な手段の一つかもしれません。

以前、「母の要支援認定が下りて、実家に介護ベッドを入れることになったけど、置くところがなくて困った」とのご相談いただいた時、「この機会に、生前整理をすることにしたらいかがでしょう?」とご提案したことがあります。

お客さまは絵を描くのがお好きだったとのことで、たくさんの絵が置いてありました。

当初、「面倒だから絵も全部捨てちゃって」とおっしゃっていましたが、その絵は大切なもののはず。1枚も捨てないで収納しなおしました。

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それが、もう一度絵を描き始めるきっかけになり、とてもイキイキとした日々を過ごしていらっしゃるそうです。

歳を取るのは、車がポンコツになるのとは違います。

ただ、入れ物が古くなっただけ。

体の「老化」と心の「老い」は別物 日野原重明

一概に「老い」といっても、生物学的な「老化」と、人間的な「老い」は別のものです。人間として抗しきれない老化の中で、いかに生命の意味を見いだしていくか。「土の器」とも例えられるもろい人間の身体は、ひび割れたり壊れたりもします。それでも私たちは与えられた時間の中で、その器に何を入れていくか、模索し続けるのです。
 もし社会が老人を疎んじ、ポンコツ車のように見下すなら、それは真の文明社会とはいえません。必要なのは、社会がもっと交わりの中に高齢者を入れ、温かい心で包み込み、高齢者に「役割」を与えることです。
(聖路加国際病院名誉院長)

ー2015年5月23日の朝日新聞 「103歳・私の証 あるがまま行く」

歳を取ってからも「土の器」にステキなものを入れていく、その手伝いができるのは、とても面白いし、将来の自分の生き方をも変えていくのだと思います。

話を元に戻しますが、ゴチャゴチャした部屋で暮らしていると、なぜかやる気が起こりにくく、やる気が起こらないと、もっとゴチャゴチャしていく傾向にあります。

その理由は、次のnoteに書きました。

親には、ぜひ実家を片付ける気持ちになってほしいもの。

もう歳だからと老け込んでしまっては、もったいなさすぎます!

実家の片付けの現実

片付けトントンにご依頼いただいた実家の片付けのデータをご覧ください。

まずは、「どなたからのご依頼か」です。

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ご家族からのご依頼が71%と圧倒的に多く、ご本人は23%でした。

もう少しご本人からの依頼が多いのが望ましいと思いますが、現実はご家族の支援が必要だということでしょう

次は、「実家を片付ける理由」もお聞きしました。

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入院・施設入所が38%、引っ越しが24%と、合計62%が止むを得ない理由でした。

実家の片付けは、物を処分することに対して、親が拒否反応を示すのが通例です。「減らしたい」と思う方が38%もいらっしゃったのには、逆にちょっとびっくりしました。

親の生きがいをサポートし、思い出をステキに

ときどき会って食事や会話をしたり、毎日電話をしたり、片付けをしたりするのは、それほど簡単なことではありません。

時には親に怒ってしまって後悔することも、しんどくて泣きそうになったりすることもあるでしょう。

でも、親が喜んでくれる時もたくさんあります。

この歳になって思うのは、実家の片付けや介護が、意外にもなかなかステキだったんじゃないか、ということ。

それに、期せずして自分の「土の器」に入ってきたその経験が、自分をちょっと深くしてくれたような気がしています。

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