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新刊速報【2023年7月版】|柏書房営業部通信

 柏書房営業部です。2023年も半分が過ぎ去っていき半年を切りましたね。早すぎないか。過ぎ去るというとなんだか消えてなくなった気がしますが、本に携わっていますと、刊行からしばらく経ったタイミングでかつて出版した書籍が話題になったり、また読まれたり、その流れに後押しされて重版によって復活したりと、過去が追いついてくる(というより先んじていた?)ようなことがあり、不思議です。さて、今月の柏書房の新刊は1点。1980年代以降の日本の性教育をめぐる歴史をひもといた基本の基『「日本に性教育はなかった」と言う前に』です。

『「日本に性教育はなかった」と言う前に』

堀川修平 著

【営業担当・里村から一言】
 みなさんは、どんな性教育を受けてきましたか?
 1996年に生まれ、今月で27歳になる私の実体験をふり返ってみましょう。

 小学生時代のある日の体育の時間。なぜか女子だけは体操服に着替えることもなく教室に待機したまま、私たち男子は体育館へ。なにやら大事な話をするらしいことは子ども心にも察しましたが、そんなことは意にも介さず私たちはドッジボールに興じました。あのとき教室でなにが語られたのか、いまだに詳しくは知りません。
 中学生になってはじめての保健体育の授業。恥じらいを感じない、普段の声量で語られる「性器」「性行為」「避妊」といった言葉の数々。先生の口からそんなイヤラシイ言葉を聞くなんて! 衝撃を受けた私たちは男子も女子も、「エロおやじ」だの「キモい」だの言いながらクスクス笑っていました。
 高校生にもなると、さすがにそんな幼稚なマネはしません。しかし、よりいっそう生々しさを増した性教育の教材ビデオを前に、だれもが陰に陽に見て見ぬフリをしていました。そこには、「知りすぎていない」ことが美徳といった雰囲気すらあったのです。
 大学に入学するやいなや、「ネタ」として堰を切ったかのように語られる下世話な話。ついには性暴力事件まで起きて、ミスコンが中止・消滅するまでの騒動も。性をめぐる問題が、それまでとは段違いに切迫した問題として身近にあった日々であり、それと同時にだからといって何も変わりはしない日々でした。

 ふり返ってみると、ひどい有様ですね。ですが、ご自身の受けてきた性教育とそれに対する反応を思い返したとき、私と同じような経験をお持ちの方は少なくないのではないでしょうか? そしてそんな実体験を持つからこそ、昨今の「おうち性教育ブーム」など性教育拡充の動きを前に、私も(これまで「性教育はなかった」のに、最近はすごいな~)なんて呑気に思っていました。

 しかしそれは大きな間違いだったのです!!
 なんと教育現場では、はやくも1980年代後半から先生たちによって創意工夫を凝らした性の多様性に関わる性教育実践が試みられてきたのでした。では何故、それにもかかわらず私たちは「性教育はなかった」と言ってしまうのか。その陰には当時の保守的な政治権力や旧統一協会による苛烈なバッシングがありました。

 選択的夫婦別姓、同性婚訴訟、トランスジェンダー排除、セクシュアル・ハラスメント、DV(家庭内暴力)、性病の拡大など、性や性の多様性をめぐる問題は日増しに大きくなっており、誰も無関係ではいられません。だからこそ、そして今度こそ、性教育をすべての子どもたちに届けるために私たちにできることを一緒に考えませんか? 本書は子どもたちを守るための盾であり、いつ起こるやもしれない次のバッシングと戦う武器にもなる心強い一冊です!

 『「日本に性教育はなかった」と言う前に』7月24日(月)の配本予定です。

お知らせ

 おかげさまで『常識のない喫茶店』の5刷重版が決定しました。出来は7月11日(火)になります。正統な続編にして完結編『書きたい生活』もよろしくお願い致します!

 現在好評連載中の安達茉莉子さんによる「あの時のあの感じ」、先週、弊社の会議室にてこんな動きが――。

 本の形になったとき、どのようなたたずまいになるのでしょうか。まだ少し先になりますが続報にご期待ください!(最新回は以下よりどうぞ!)

 来月の新刊は2点を予定しております。それではまた次回もよろしくお願い致します。


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