栢瑚kashiko五行歌部

五行歌人三人のチームです:白夜(さや)南野薔子(みなみのしょうこ)水源純(みなもとじゅん)。 基本的に五行で書くことだけがルールの「五行歌」をめぐるあれこれについて語ります。 栢瑚サイトhttps://www.kashiko.co/ 栢瑚ツイッタ@KGogyoka

栢瑚kashiko五行歌部

五行歌人三人のチームです:白夜(さや)南野薔子(みなみのしょうこ)水源純(みなもとじゅん)。 基本的に五行で書くことだけがルールの「五行歌」をめぐるあれこれについて語ります。 栢瑚サイトhttps://www.kashiko.co/ 栢瑚ツイッタ@KGogyoka

    最近の記事

    星座の間柄 ~『万華鏡天象』を読む

    水源純です。 南野薔子さんの五行歌集『万華鏡天象』について、感想文を寄せたいと思っていたので、書かせていただきました。 ⁂ 本が手元に届いて、<万華鏡天象>というタイトルを見たとき、造語というか独自の組み合わせと思うが、ああ、これぞ南野薔子さんだと思った。 南野さんの二冊目となる五行歌集である。 万華鏡にも本当に小さなものから巨大なものまであるらしいとはどこかで聞いたことがある。それでも私が万華鏡といって思い浮かべるのは、幼いころ手にした土産物屋にあるようなハンディなサ

      • 「五行歌人研究所」の思い出

         こんにちは。南野薔子です。  だいぶ前に閉鎖した「五行歌サイト フラクタル」というのがあって、そこでの企画で一時期「五行歌人研究所」というのを開催していました。その話などを。   *******    対談や座談会の記録を読むのは面白い。一人の人のインタヴューやエッセイを読むのとまた違った面白さがある。ありふれた比喩で云えば参加者どうしの化学反応という面白さだ。この場でこの組み合わせだから出たんだろうなというような話題、質問、そこからの展開、そういうのを感じるのが楽しい。

        • 水源カエデさん五行歌集『承認欲求』(市井社)

           こんにちは。南野薔子です。  水源カエデさんの第二五行歌集『承認欲求』の感想です。カエデさんは栢瑚の水源純さんのご子息でもあります。   *******    私は早熟の才能というものに憧れているのだが、それは憧れで終わることが決定している、だから若いうちから才能を発揮している人を見るとうらやましい、という話はすでに以前山崎光さんの五行歌集『宇宙人観察日記』(市井社)の感想を書かせていただいた時にも書いているのだが、今回もそれでうらやましくてじたばたしたことは云うまでもない

          • 風風子さん五行歌集『宙の月』

             こんにちは。南野薔子です。  風風子さんの五行歌集『道の草』について以前とりあげさせていただきましたが、それに続く二冊目の私家版五行歌集『宙の月』をいただきました。今日はその感想を。  前作同様、ごく少部数作成とのことですが、風風子さんのツイッターを辿っていただくと五行歌作品を読むことができます。   *******    『道の草』とおなじように、今回もまた、生物も非生物もふくめた、命の流れ、めぐり、つながりというものを感じる。また、個々の五行歌はそれぞれ別々のタイミング

            漢字とかなの使い分け

             こんにちは。南野薔子です。  漢字とかなの使い分けについて思うところを。   *******    まず、先日開催された九州五行歌会のレポートが九州五行歌会紙媒体部のnoteに上がっているのでそちらをぜひ見ていただきたい。私は残念ながら欠席だったのだが、このレポートにあるように、二席と三席が共に「文字」をめぐるもので、漢字とかなの使い分けに関する話が大いに盛り上がったらしい。  五行歌に限らず、文字での表現を行うときは漢字とひらがなの使い分けというのは重要なポイントの一つで

            羽田怜花さん五行歌集『花を抱く』

             こんにちは。南野薔子です。羽田怜花さん五行歌集『花を抱く』の感想です。   *******    『花を抱く』は新書サイズ28ページの小冊子だ。その中に甘美で濃密な時空が封じ込まれている。ちなみにR-18指定である。  R-18であるし、私自身が恋愛の現場にたいへん疎いし、ネタバレになってもいけないのでそういう意味では感想が書きづらいのだが、しかしこの小冊子にあふれる作者の熱量について触れておきたいなと思った。  男女の恋愛の現場における女性として、相手の男性の望む女性像な

            風風子さん五行歌集『道の草』

             こんにちは。南野薔子です。風風子さんの五行歌集『道の草』の感想です。   *******    先日、風風子さんから、五行歌集『道の草』(私家版)をいただいた。  風風子さんと私とは、互いに別筆名で詩も書いている関係で知り合い、直接お目にかかったことはないのだが、たびたび詩集や同人誌を送っていただいたり、また私の方からも自分の創作関連のものを送らせていただいたりしている。  そんな風風子さんが、昨年末から五行歌を書き始められた。そしてそれをツイッタに上げたものを発表順に百首

            五行歌の中にめざめる世界

             こんにちは。南野薔子です。  岩波新書『詩の中にめざめる日本』を読み、五行歌について思ったことを。   *******    岩波新書で先頃限定復刊された『詩の中にめざめる日本』(真壁仁編)を読んだ。1966年に出版されたもの。  編者の真壁仁氏が最初に「民衆は詩人である -序にかえて-」という長く熱量のある文を寄せていることからも見えるように、この本は「民衆」が書いた詩を集め、それに真壁氏の解説を添えたものである。いわゆる著名な詩人の詩も含まれているが、そうでない詩が多い

            三隅美奈子氏五行歌集『博物詩』(市井社)

             こんにちは。南野薔子です。  五行歌の会同人の三隅美奈子さんが初の五行歌集『博物誌』を出版されました。  その感想となります。よろしければどうぞ。 *******  装丁のシンプルさが目をひく。地味目の分野の専門書、といったたたずまいだ。けれど『博物詩』というタイトルが示すように、歌われている内容は多岐にわたり、また、おそらくそれらに対して著者がある種のニュートラルさを保ちたいという意思もあるのだろうと感じた。だから、タイトル以外に、内容を暗示するようなものは必要ないの

            水源純五行歌集『まだ知らない青』(市井社)

             こんにちは。南野薔子です。  栢瑚五行歌部(仮)のメンバー水源純さんが『この鳩尾へ』『ほんとう』『しかくいボール』(いずれも市井社)に続く四冊目の五行歌集『まだ知らない青』を出版しました。  その感想となります。よろしければどうぞ。 *******  ずいぶん前のことになるが、ネット上で五行歌関係の話をしていて、私は「丸くなりたくない」と云ったことがある。その前後の文脈は忘れてしまったけれど。そうしたら純さんは「私は丸くなりたい」と云った。それがすごく印象に残っている。

            五行歌会で点が入る歌の二つのタイプ

             こんにちは。南野薔子です。  五行歌の「歌会」で点が入るタイプの歌には二通りある気がしています。それについて書きます。 *******  五行歌の「歌会」は他の短詩系文学の歌会や句会と同じ形式で行われていると思われる。すなわち、参加者は歌を提出し、それらの歌が作者名を伏せた状態で参加者に配布される、参加者はそれらの歌の中から、決められた数の歌に、決められた点数を配分する。だいたい、点を入れられる歌の数は全体の半数程度、点数の総計はその1.5倍程度に設定されることが多い。

            栢瑚の四人が歌うテーマについて

             こんにちは。南野薔子です。  先日、市井社から『五行歌秀歌集4』が出ました。五年ごとにでる秀歌集の四冊目です。紹介はこちらのページをどうぞ。全国の書店やネット書店で注文できます。  上記紹介にあるように、この本は五年間の秀歌を、テーマ別に章分けしたものです。さまざまなテーマの秀歌がぎゅっと凝縮された本になっています。きっと興味のあるテーマ、好きな歌に巡り会えるかと思います。お読みいただけると嬉しいです。栢瑚の四人の歌も収録されています。  この秀歌集にちなんで、以前アメブ

            「五行歌的人間」ってあるだろうか

             こんにちは。南野薔子です。  坪内稔典氏の『俳句的人間 短歌的人間』(岩波書店)という本で読んだことをめぐって思ったことなど書きます。 *******  坪内稔典氏の『俳句的人間 短歌的人間』(岩波書店)については、十年くらい前、堺雅人氏の雑誌連載エッセイで存在を知った。ちなみに、その後そのエッセイは『文・堺雅人②すこやかな日々』(文藝春秋)に収録されている。  そのエッセイで触れられていた「俳句的人間と短歌的人間の区別」が面白くて、わりとすぐに坪内稔典氏の本を入手して

            ツイッタに出した南野薔子の五行歌(写真付き)その6

             残暑お見舞い申し上げます。南野薔子です。  気づくと、その5から半年くらい経ってました。いや、別に定期的にシリーズ化しようと思ってるわけじゃないのでいいのですが。  暑くてめんどくさいので説明は省いて画像だけ貼っていきます。月刊「五行歌」誌に出したもの、個人歌集『硝子離宮』(市井社)に収録したもの、何らかの創作企画作品に出したもの、ツイッタだけにしか出てないものなど入り混じってます。  それでは今日はこのへんで。

            オリジナリティをめぐる私感

             こんにちは。南野薔子です。  よい歌に欠かせないオリジナリティについての個人的な雑感を書いてみます。 *******  しばらく前にオリジナリティをざっくり分類してみるという記事を書いたが、じゃ、どうやったらオリジナリティを歌に持たせることができるんだ、という、これは五行歌のみならず創作に関わる人にとって永遠の問題なんだろうな。  オリジナリティをざっくりと「ありふれてなくて、そのひとらしいもの」と捉えてみる。じゃ、ありふれているかいないか、自分らしいかそうじゃないかの

            月刊「五行歌」誌掲載の鳴川裕将氏五行歌集『配達員』(市井社)書評

             こんにちは。南野薔子です。  月刊「五行歌」誌2021年5月号に、鳴川裕将氏五行歌集『配達員』について私が書かせていただいた書評が掲載されましたので紹介いたします。  私が書けたのは、この五行歌集の魅力の一側面に過ぎません。月刊「五行歌」誌2021年5月号には、他の方々の素晴らしい書評も掲載されていますので、ぜひそちらもお読みいただければと思います。月刊「五行歌」誌についてのお問い合わせは五行歌の会へどうぞ。『配達員』についての市井社のwebページもごらんください。 **